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2012年09月19日

“ハモン・スペシャル”で大丈夫?

 さて、サッカー本をいろいろと読破中。4-2-3-1は柔軟なシステムであるらしい。
 4-4-2や4-3-3に変化させやすい・・・と書いてあったんだが、石崎コンサはどうなんだろう?

 今の石崎コンサはハモンを3の真ん中に置いた4-2-3-1にしているんだけど、あんまり柔軟に変化しているような感じがしない。むしろ4-4-1-1のまんまで攻め手が足りずに苦労している、4-4ブロックを敷いて人数を割いているわりには守備が甘く早々に失点・・・というイメージがある。映像を見てないんで想像でしかないが。

 ハモンのパス出しを生かそうとするのが主な目的で、そのためには守備免除もやむなし。そうなるとハモンが守備をしないぶん誰かが守備をやらなきゃならなくなる。石崎コンサの場合、前線からも守備をやることを求めているのでSHだけではなくて1トップもプレスバックして守備に入る。すると肝心なときに1トップがスタミナ不足に陥りやすく、特にウッチーのような裏抜けで勝負するタイプの選手はさらに切れ味が鈍くなる。

 攻めの枚数が足りないのはSHが斬り込めないこと以上にハモンはほとんどドリブルでは仕掛けずパサーに徹していて、また一瞬で裏に抜ける速さや敏捷性もないから(だと思う)。だからハモンがPA内に侵入してくることは大して考える必要はない(はず)。相手DFとしてはハモンが自分でシュートを撃ってくるか、パスを出すかの2択で考えれば大ケガはしないと踏んでいるのではなかろうか。ハモンがPA内に侵入するのがイマイチ想像できないんだよなあ。
 例えば、同じ4-2-3-1のトップ下で香川が凄いのはPA内にガンガン侵入してくる怖さがあること。札幌ドームでの日韓戦では狭いところでもお構いなしにシュートまで持っていった。こうなると守備側としては人につくことを優先したくなってくる(実際は本田がトップ下なので厳密には違うんだけど、トップ下の選手のプレーエリアでやってほしいことというニュアンスでとらえてほしい)。すると、それを逆手にとって食いついてきたところを・・・というのも成立しやすくなる。改めて日韓戦を観たが香川は持って良しスペースに走り込んで良しの2ゴールで文句のつけようがないよなあ。

 さらに、コンサは選手個々の能力で劣るのでハモンが焦れてボールを受けるために低い位置に下がってくることがある。これで考えられることは2つ。安易にハモンに預けて相手のプレスの餌食になり一気にピンチになることと、ハモンが下がってきて空いたスペースを活用できないこと。
 柏戦で宮澤が良かったという評価が多いのはここいらあたりにあると思う。ハモンが下がってきたときには自分が前に出る。具体的な指示が出ていたかどうかはわからないけど、半分くらいは宮澤のセンスでやってしまっていたんじゃなかろうか。監督が宮澤を天才と評価する所以の1つだろう。

 4-2-3-1の真ん中の3に注目してみる。といっても、2列目の3人ではなくてボランチの2人とトップ下のトライアングル。柏戦では河合と真希、そしてハモンだったわけだけど、「ハモンは攻める人、河合は守る人、真希は2人をつなぐ人」と考えると、河合のフォローもしつつ攻撃時には前線に出て人数不足を補うことになり、最も割を食うのは真希ということになる。柏戦では宮澤が上がっていける場面が出てきたので幾分楽にはなったと思うが、天皇杯で真希が足を攣るのはよほどバランスが悪いんだなと思った理由がここにある。

 とまあ、確かにハモンの個の能力は高いんだろうけど、
 “ハモン・スペシャル”にはデメリットもかなり多いんじゃないかと妄想してみた次第。
 

posted by フラッ太 |18:30 | 戦術厨の戯言 | コメント(2) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:“ハモン・スペシャル”で大丈夫?

フラッ太さん毎度どうもです。

札幌の4-2-3-1は、相手が最終ラインでボールキープしている際の守備時に4-4-2(ハモンと内村が並ぶ)になり、サイドでキープしている際の守備時には4-3-2-1(ボールサイド側のサイドハーフがボランチにラインを揃える)になり、自陣に深く押し込まれれば4-4-1-1(4-4ブロック)になる。と思っています。

この柔軟なポジショニング変更が4-2-3-1の最大のメリットでありますが、これを実際にやるには実に莫大な運動量が必要なんですよね。特にサイドハーフが一番キツイ。自分なら絶対このポジションでプレーしたくありません。(苦笑)

この守備に対する柔軟さが、逆に攻撃に出る場合の足枷になっており、山本が脚を攣るような症状を起こしているのだと思います。
山本は「つなぐ」というよりも3列目から一気に前線の空いたサイドスペースに飛び出してくる、というプレーのイメージが私には印象的です。

ここで守備を上手に手を抜き、攻撃にパワーを残すクレバーな選手がいれば別なのですが、札幌には見当たりせんね。古田がもうちょっとズルく守備に手を抜いてくれればいいなぁと思うのですが、どうも古田は自分の特徴を100%理解しているとは言えないのかなと思います。古田と内村がすぐにDFの裏を狙うプレーを仕掛けてくれれば、ハモンとしても選択肢が2つあるのは得点の可能性を上がるのになぁと思います。

それが出来ないとなると、選手のそもそものスタートポジションを高めに取るのが1つの手として考えられ、前節の3-4-3が成功したのはそこに要因があるのかなぁと考えています。

考えれば考えるほど4-2-3-1って、難しいフォーメーションですよね。
今の札幌の選手のレベルではこなせないんだろうなぁとおぼろげに感じています。

やべー!自分のブログネタを1つここでバラしちゃいました。(笑)まぁいいっか。

posted by 真田幸村| 2012-09-19 22:29

真田幸村さんへ

 なるほど、失点シーンなど断片的にしか観てないので、いつも4-4-1-1で押し込まれているように見えるってことなんでしょう。去年観た最終戦では序盤で近藤と内村がチェイシングしてましたからね。
 幸村殿の仮説が正しいとするとアメフトのプレイブック並みとは言わないまでも約束事が多岐に渡っていて覚えるだけでも一苦労で、実際にピッチ上でやるのは相当苦労する。SHは体力的にもしんどいですがアタマもかなり使いそう・・・。

 古田に関してはマジメなのがアダになっているんだと思います。代表のSH、特に岡崎は献身的に守備するのが当たり前なので攻撃だけではダメなんだという意識が働いているんでしょう。古田が最も活きるのは4-2-3-1の3の右ではなくて4-3-3の3の右(微妙な違いですが幸村殿なら理解してくれるかと)。なので、3-4-3の右だったら古田はもっとできると思います。

>山本は「つなぐ」というよりも3列目から一気に前線の空いた
>サイドスペースに飛び出してくる、というプレーのイメージが私には印象的です。

 真希に関してはそんな感じですね。実際にドームで観た開幕戦では川口に防がれたものの、あの動き&シュートは「そうそう、そういうのを観たかったんだよ!」と思わせてくれました。現状、河合と真希のコンビだと走り回る仕事は真希だけが担うことになってしまう。
 以前にも書いたことだけど(「銀と金。」(http://www.consadole.net/flatta/article/1264))ボランチ2人のタスクはなるべく均等にしたほうがバランスを取りやすい。ハモンがトップ下固定でも真希と宮澤のコンビなら2人とも能力は高いのでうまくやれそうな気はします。

 ハモンは典型的なトップ下の選手で、ある意味クラシカル。戦術リストランテには「選手のオールラウンド化」とありましたが、FWも守備をやるとかCBでもドリブルで上がったりフィードができないとダメといったやり方では使いにくい選手と言えるでしょう。

 役割分担とユーティリティ(あるいはポリバレント)との間でのサジ加減は
 監督の永遠の悩みであり、戦術厨としても考えるところの多いテーマですよね(笑)。

posted by フラッ太| 2012-09-21 09:51

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