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2008年01月27日

北極圏での生活(3・水道)

【水道・下水】
北海道に住んでる人なら気が付くはずで、水道は凍らないの? と思いますよね。(水道じゃなくて水道水が凍るんですけど)
極地では土も凍ります(凍土)から、水道管や下水管を地中に埋めておいて凍結してしまったら、地面を掘り起こして修理するのも大変です。凍った土は岩と同じになるので。

凍土の中に温水のパイプを通すと、周囲の凍土を融かしてしまって地盤沈下が起こる、という不都合も生じます。凍っているものは凍ったままにしておく、自然には逆らわない、というのが賢い生き方です。

発想を転換して、水道管や下水管は空中を通します。
ただ空中に配管しただけじゃ、北海道でさえ凍結してしまうので、ぶ厚い断熱材で包みます。その結果、水道管や下水管、スチーム暖房のパイプを包み込んだ直径2mくらいのパイプが、街中に張り巡らされています。

絶えず水が流れていれば凍りませんが、留守にしてる家や空き家では、住居内のパイプが凍結する恐れがあります。留守なんだからどうすることも出来ない・・だからと言って放っておくと、街中のパイプが詰まってしまいます。
そこで、役場の係員が定期的に各家庭を巡回して、通水するかどうかを点検します。留守宅でも空き家でも構わず「侵入・点検」出来るように、役場では全ての家の合鍵を持っています。
いきなり挨拶もなしに錠を開けて入って来るんですから、何事かと思いますよ。

そんな無用心な、と思うかも知れませんが、コミュニティー全体が不自由(場合によっては死活問題)になるような事態を避けるためには不可欠な対策です。

総じて、寒い土地では悪い事をする人はいないんです。
悪事を考える人って、楽をして金を儲けようというポリシーですから、わざわざ寒い土地に行って苦労しようという発想は出て来ないでしょう。
仮にそんな土地で悪事を働いたとしても、逃げ場が無いんです。誰も助けてくれないような所業をしておいて隣町まで逃げようとしたって、ヘタすりゃ途中で凍え死んでしまいますから。

魔除けの神の像で、骨を彫刻して作ってあります。
ネ申(not ソダン)
悪霊のような顔に見えますけど、これが善良な神なんです。日本でいえば鬼とか天狗のような存在らしく、家の中の重要な(と思われる)場所に鎮座しています。

彫刻の材料としては、トナカイの骨や角、クジラの骨や歯、イッカクジュウの牙(確か現在は捕獲禁止)等が使われ、柔らかい石や硬い石も使われます。

つづく


posted by 雁来 萌 |09:44 | 雑念 | コメント(0) |