2009年09月18日

「このチームは、あなたたちのチームなんです」

ここ最近Jリーグのチーム運営にかかわる大きな出来事が続きました。
ひとつはヴェルディの運営会社の株主交代。これまでヴェルディを支えたきた日本テレビが事実上撤退して、日テレがこれまで所有していたヴェルディの株式を新しく設立した会社が引き受け、持ち株会社としてヴェルディの親会社となるそうです。
親会社とは言っても日テレとは異なり、独立した収益事業を持たない受け皿会社ですから、つまりヴェルディはこれまでとは違って親会社からの赤字の補填なく、独立採算で事業を運営してなければならなくなりました。また、この持株会社への株式譲渡自体が、まだJリーグの条件つきの承認で、今後スポンサー確保など越えなければならないハードルが残っている状態のようです。
元々親会社のないコンサからすると、ヴェルディも私たちと同じ土俵にあがったにすぎないとも思えますが、これまでふんだんなお金を遣ってチーム運営をしてきたクラブだけに、サポーターを含め関係者の方々にはとっては今後厳しく切ない日々が続くと感じられるかもしれませんね。

そして出来事のもうひとつは、大分のサポーターが先日の試合でクラブの社長や新しくスポンサーになった会社に対して批判する(大分オフィシャルの表現では「誹謗中傷的」とされています)メッセージダンマクを掲げ、撤去を求められても応じなかったとのことで、クラブが当該サポーターを無期限の入場禁止とする処分をしました。
処分の是非については触れませんが、このダンマクを掲げたサポーターたちは、手段や表現が穏当ではないところがあったにせよクラブに対して強く訴えかけたいメッセージがあったのだろうなあと思いました。

それで、ここ数日クラブとサポーターの関係についてあれこれ考えているのですが、うまくまとまりません。
なら書くなよ。ってもんですが、断片的に思い出したことなどをとりあえず挙げておいて、いつか考えがまとまったら改めて書いてみたいと思います。
考えているテーマは、サポーターがクラブやチームに対して口を出す(サポーターの意思を反映させる)ことができる・許される・望ましい分野・場面と、口を出してはいけない分野・場面の線引きはどのあたりにあるのかなあということです。
例えば、どの選手と契約するかなどチーム編成についてはクラブ(強化部)の専権だし、試合でどの選手を起用するかなどはチームを任されている監督の専権だと思うから、サポーターがあれこれ口を出してはいけない分野だと思っています。サポーターもいろいろ考えたり、願ったり、喜んだり悲しんだりはしますけれど、それはあくまでも受け身の立場のはずで。
でも、サポーターが「うちのチーム」というように、チームやクラブのために自分の力を貸したい、力になりたい、と思う気持ちもあり、それが活かされる分野ではサポーターがクラブやチームと協同して進んでいけたらいいなあと思うのです。
もし、クラブが、サポーターの目からすると受け容れがたい、クラブの将来にとってよくないと感じる経営判断をしている場合、サポーターはどうしたらいいのだろう。何ができるのだろう。何をしてはいけないのだろう。
そんなことをあれこれ考えています。

コンサドーレはJクラブの中でも、比較的昔からサポーターがクラブの経営(主として資金面)について関心を寄せてきましたし、「自分たちで支えなきゃ」という意識が強いサポーターだと思います。
そしてクラブ(HFC)も、そんなサポーターの存在を好意的に受け止め、サポーターを大事にする意識をもってくれている方だと思っています。や、サービス面とか営業面で「もうちょっと客商売意識をもってくれよ・・・。」と思うことはないではないですけど(爆)、それとは別の話として。
そんなサポーターとクラブの関係に関するコンサドーレの特色を断片的に挙げてみると。

  • 1997年から毎年開催されている「サポーターズ集会」は、コンササポ(とクラブ)が積み上げてきた財産だと思います。最初はJリーグ入会金の支払いにも苦慮するほどの破綻に瀕した経営状況をなんとかしようとサポーター有志が集まって開いた会だったと「歴史書」(consa de consaとか)で知りました。近年、クラブがサポーターに対して説明等をするクラブカンファレンスと呼ばれる会を開くクラブが多くなりましたが、それはあくまでもクラブが主催するもの。会場の確保や開催費用などをクラブが負担してくれる旨味はあるものの、議事録の作成を含め、場合によってはクラブの都合のよいようにしか運営されない危険もあります。サポーターが自ら開催して、自分たちで運営し、それにクラブも出席して協力してくれるコンサのやり方は、誇りに思ってよいものだと私は常々思っています。
  • サポーターに対して情報を開示してくれるHFCの姿勢も特筆すべきものだと思っています。もともとは市民から「サポーターズ持株会」で出資を募った都合上開示をせざるを得なかったのかもしれませんが、Jリーグが各チームの経営状況を公開するようになるずっと前からHFCは会社の財務諸表をネット上にも公開していました。その姿勢は、佐々木利幸社長が就任してから一層明確になったと思います。今回の大分の騒動を見て、佐々木社長のインタビュー(→これ)を読み直すと、あのとき佐々木社長が舵をきってくれた方針はこれでよかったなあと改めて思います。
  • その佐々木社長が何かの記事で「答えはサポーターの中にある」と言っていたのが記憶に残っています。コンサの運営のことで悩んだり迷ったりしたときは、現場に出てみるんだと言っていました。そして現場であれこれ見たり、サポーターの声を聞いたりするうちに、次第に考えがまとまってくるんだというようなことを話していたと思います。佐々木社長の時代に打ち出した「5段階計画」という名の強化計画+経営再建計画も、サポーターに受け容れられたからこそ進めることができたのでしょう。「だって受け容れるもなにも、カネがないからそれしかないじゃん」とも言えますけどw
  • 「このチームは、みなさんのチームなんです。」というのは、去年J2への降格が決まった厚別での柏戦の後で、USを中心とするサポーターに対して当時GM(兼総務部長兼寮監)だった村野さんが言った言葉だそうです。私は現地にいなかったので、その場の様子を伝えてくれるブログ等を読んで知ったのですが。この言葉が発せられた局面を考えると人によっては良くも悪くも捉えられる言葉かもしれませんが、私はこれを聞いて嬉しく、心強く思いました。
  • 1997年末に、JFLで優勝したにもかからわずHFCが深刻な資金難に見舞われたとき。サポーターは缶バッチを買ってチームに寄付?をし、少しでもコストを抑えるようにCVSを発足させました。2000年末にはサポーターズ持株会会員の大規模な募集があり、サポーターから3億円近い資金が寄せられました。記憶に新しいところでは、2008年に減資に際してサポーターズ持株会の新規会員を募ったときにも、目標の1億円を超える1億2500万円以上のお金が集まりましたもんね。その他にも「お布施」と称して試合に行けなくてもチケットを買ったり、宴会のおつりなど何かにつけて小銭を「コンサ神社」に寄付したり、サポートシップスポンサーやパーソナルスポンサーになったり。資金面で直接サポーターがコンサにお金を入れる場面は多いと思います。

思いつくままに挙げてみただけで、やっぱり「だからそれで?」というまとまりのなさだわ。とりあえずのメモですね。
もうやめて寝ることにします。明日は高円宮杯の試合だし。
読んでくださった方、お目汚しで時間を使わせてしまい申し訳ありませんでした。

posted by あきっく |23:54 | コンサ周辺のいろいろ | コメント(4) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:「このチームは、あなたたちのチームなんです」

初めまして。あきっくさんは真剣にコンサのことを考えておられると思います。以下いくつか自分の意見を・・・。
 サポーターがクラブに対して、自己主張を伝えるのは色々なクラブであります。どこまでが適正かはケースバイケースですし、人によっても考え方が違うでしょう。また自分の意見を強制できるものではありません。
 例えば大分が菊池選手を入団させた件については、たとえ復帰させるにしても最初1年間は社会奉仕活動に専念させて、試合に出させないという方法もあったと思います。そうすれば反発も少なかったでしょう。
 サポ集会については、個人的にはクラブが主催した方が良いと思っています。その理由は、サポ集会主催者がサポであることによって、主催者個人の意見の発露が目につくようになっていることです。また集会でのサポ同士の話し合いでは、サポを批判するような意見も出ています。本来スタジアムでサポを「こんなことはしてはいけない!」と拘束可能なのは、興行主であるクラブとJリーグのみです。最近のサポ集会で批判され続けたUSメンバーの大半は、昨年からはサポ集会に出席せずに独自集会を2月に開催しています。
 申し訳ないですが、サポと運営会社はお互いに立場が違います。サポが協力したいと考えるのは自由ですが、なかなか難しい部分があります。 
 なお議事録についても、サポ独自で作成しているところもあります。またクラブ主催となれば、年に複数回サポ集会開催が可能です。

posted by たっきー| 2009-09-19 05:53

Re:「このチームは、あなたたちのチームなんです」

>たっきーさん
中途半端なエントリーですのに、コメントをありがとうございました。お返事が遅くなってしまってすみません。もう少し考えがまとまったらまた改めて何か書くかも知れませんので、とりあえずの書き散らしでご容赦くださいませ。

サポ集会については、確かに運営のあたるサポ個人の考えが強く出るということはあるでしょうね。
たくさんのサポーターの意見を(できる限度で)集約するはずの場が、主催者の考えをおしつける場になってしまわないよう気をつける必要はあると思います。
でも、言ってみればそれも主催者の特権・・とまで言うと語弊があるでしょうが、運営する人(たち)の個性が会議に投影されるのはどうしても避けられないものだと思うのです。「主催する」ってそういうものだと思います。だからこそ株主総会や種々の会議で誰が議事進行にあたるかということは重要視されるファクターになっています。
私が「サポが開催するサポ集会に意味がある」と考える理由も、まさしくそこにあるんですよね。
クラブが、クラブが主催する集会が必要だと思えば、クラブも開催すればいいんです。今のサポ集会があるからといって、クラブ主催の集会開催が阻害されるわけではないでしょうし。今のHFCは必要性を感じていないのでしょうけど。
他のサポが自分たちでサポ集会を主催したければ、どんどんやればいいと思います。USが独自にサポ集会を開くのだって、取りあげるテーマや、問題の切り口など、自分たちのニーズに合った集会が必要だと考えたからでしょうし、それを自分たち内部だけの会議としてじゃなく、広く他のサポの参加も自由な場としてくれたのは素敵なことだったと思いました。私は参加できませんでしたけど。というか、いわゆる現行の「サポ集会」にも参加したことはないのですけど(汗)。

ところで、たっきーさんがコメントされている現行の「
サポ集会」に対するUSメンバーの出欠の経緯?(応援について批判されたから出席するのをやめたという点)は、私の認識とは違うのですが。
本当にそんな事実があったのでしょうか。

posted by あきっく| 2009-09-21 12:59

このチームは、「あなた以外の誰か」のチームでもあるんです

あー小笠原楽しかったぁ。本当に頭空っぽになっちまって、社会復帰の可能性に冷や汗を掻いています。

自分はこれについてはわりかし楽観的かつ単純に考えていて、要は単純に楽しめるかどうかだけだと思うんですよ。札幌の人とかスポンサーって、何かサポーターというか、そこまでいくと篤志家とかパトロンだろとかいうのが、妙に多い気がするんですが、それが変なヒエラルキーにならないとこは美徳の一つとは思うんですよね。
以下の話はどことは特定しないし、まぁ残念にも当てはまるとこは複数なんですが(USは念頭にないと誓います)、一番の恐怖はサポが先鋭化して「精神的に戦えるか」を筵旗に、実は特定の集団への忠誠を誓わせる現象が多発してんですよね。割りにそういう事件を間近に見ているし。
これは度が過ぎるとスタジアムの空気を悪くさせると同時に、将来サポになるはずの人を確実に遠ざける、一種の営業上の機会損失と思っています。従来のサポの人生を考えても、結婚出産転居などで一時足が遠のくことを考えると(多分先日の清水秀彦コラムはこれを踏まえているはず)、一般人が寄り付くのに抵抗を感じるようじゃ、観客動員数は先細りになり、兵站の無い総力戦をやるのと似て、非常によろしくない。

ん、何が楽観的で単純だ?ま悩む考え込む楽しさもありますよ。これは問題点自体はかなりバリエーションとして少ないし。

posted by さいとー@横浜| 2009-09-26 20:30

Re:「このチームは、あなたたちのチームなんです」

>さいとー@横浜さん
小笠原に行ってらしたんですか。
これはこれは現実社会にお帰りなさいませ(笑)。

違いは違いとして受け止めて(というか放っておいて)、違い故のヒエラルヒーにはならないというのは、確かにコンササポ気質にあるかもしれませんね。北海道気質なのかもしれません。
悩むことも楽しさのうち・・って余裕をもっていられるうちはいいんでしょうけどね。
でも悩み続けるのも疲れるから、私は途中で「まあ、いいっかぁ」ってなりそうでもある。←おい。

posted by あきっく| 2009-09-27 08:36

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