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2010年08月10日

おぬし、できるな

海棲生物が大好きなんですが、山に囲まれた福島市ではあまり見る機会がないので、せめて飾りだけでもと、玄関には、魚やクジラグッズを置いています。

クジラヒゲという、クジラが餌を漉すときに使う、上あごから長ーく伸びているケラチンを主成分とした(爪と同じ)物体、知らない人が見たら、ただの黒い板(しかも先がほころんだ)にしか見えません。
たいてい、うちに来られた方は、興味があったとしても「これ何ですか?」と聞かれるくらい。(とても玄関の飾り物として美しいとは言えないけど、置いてあるのだから何かいわくが?って感じで)

しかし、先日、意外なシチュエーションで、そのいつものパターンが破られました。

玄関の鍵を修理してもらおうと来てもらった鍵屋さん。
「今、鍵とってきますね」といったん奥に引っ込んで戻ってみると、そのクジラヒゲをいとおしそうに撫でているではないですか。
初対面の家に来たという慎みなど、この際、考えてはおられない、久しくあえなかった恋人にでも会ってるかのように!

「これクジラヒゲですよね」
しかも、ちゃんと言い当ててるし!
「すごいなあ、はじめて見ました」
「これは爪と同じ成分で・・」「そうなんですよね」「セミ鯨なんかはもっと長いヒゲで・・」「うんうん」
皆まで言うなって感じです。

滅多に同好の士に会うことはないので、これは千載一遇の機会と思い、それからはどんどんクジラばなしです。
私にとってはもう(気分的に)鍵はどうでもいいんですが、鍵屋さんはさすがプロ、話しながらもちゃんと鍵穴の修理をすすめています。

究極は、奥の方に飾っていたクジラの脊椎骨。
「こ、これは!」
「脊椎です」
「写真撮ってもいいですか?」「どの部分でしょうねえ」
撮影後も、しばし骨を愛でながらにおいをかいでいました。
(知らない人が見たら、危ない世界かも?)

福島に来てこんなに趣味があう人に会ったのははじめて。
(多分札幌にいたときでも、数えるくらい)

鍵屋さんは、ほとんど鍵を直す時間くらいしかいなかったんですけど、その間の会話は、1を言えば10が通じるってかんじで、非常に充実していました。

おみやげに、友人がいるボストンの鯨の研究室発行のニュースレターの訳を差し上げましたが、楽しんでもらえたかなあ。

posted by じゅうよっつ |21:44 | 暮らし |