2008年09月30日
ゾーンディフェンスを考える。 -その1-
以前も札幌が用いている守備戦術であるゾーンディフェンスについて触れましたが、 (セットプレイ時のゾーンディフェンスの問題点について) FC東京戦の失点を自らのゾーンを気にするあまりボールホルダーに 当たりに行かなかったための失点として、 ゾーンディフェンスそのものの問題とするのは、私は早計だと思います。 ゾーンディフェンスはきちんと機能させれば、とても良い守り方です。 バスケットボールのNBAでは、2000-2001年シーズンまで ゾーンディフェンスが守備戦術として強力すぎるという理由で、禁止していたくらいです。 バスケとサッカーでは、種目が違うから関係ないということはありません。 確かにルールは違いますが、基本的な考え方は同じだからです。 まず、ゾーンディフェンスという考え方についてもう一度整理したいと思います。 『マンツーマンディフェンスが常に特定の相手選手に対して1対1でくっ付いて(マークして) ディフェンスするのに対して、ゾーンディフェンスは特定の相手選手に付かず、 自陣の守備エリアを各ゾーン(地域)に別けて、それぞれディフェンスの選手が各ゾーンを受け持ち、 自分の受け持つゾーンに侵入してきた相手選手に対して守備を行うというものである。 また、ボールホルダー(ボールを持っている選手)に対しては 原則的に最も近い位置にいる選手が守備を行う。』 (※太字は、筆者による加筆。) ゾーンディフェンス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 太字にしたところ、『ボールホルダーに対しては、原則的に最も近い位置にいる選手が守備を行う。』 が重要と考えます。 つまり、ゾーンでもマンツーのようにボール保持者を自由にしてはいけないのです。 先ほどのバスケで考えるともっとわかりやすい。 ゴール下に5人の選手が立ってゾーンを作ります。ゴール下にスペースはありません。 しかし、ここでただゴール下の選手が立っているだけで、 ボールホルダーに対してプレッシャーをかけないと遠目からどんどんシュートを狙われます。 (※ただ、ボールホルダーに対してプレッシャーをかけたとしても、 ゾーンそのものが、遠目からのシュートに弱いという弱点はあります。 しかし、遠目からのシュートは近距離のシュートよりも確率が低くなります。) 従って、ゾーンだからボールホルダーに対してプレッシャーに行かないというのは誤りです。 ゾーンであっても、ボールホルダーに対しては、 常にプレッシャーがかかっていなければなりません。 札幌の場合で考えて見ましょう。ゴール前に人が居てもボールホルダーに対する プレッシャーが弱いので、J1では精度の高いクロスやミドルシュートを蹴られて 失点するシーンというシーンを我々は多々目撃しています。 確かに、ゾーンは遠距離攻撃に弱いという特性をもちますが、さすがにノープレッシャーでは、 バスケと同じで(相手が上手ければ上手いほど)遠目から3ポイントシュートをガンガン決められます。 やはり、ゾーンであってもボールホルダーに対するプレッシャーが弱いという 状況は避けねばなりません。 それは、『ゾーン』という言葉から連想される『地域を守る』という発想が 強いからなのかも知れませんが、選手も発想を切り替えてゾーンをしないと ゾーンディフェンスは機能しないと思います。 箕輪が来た時、監督に守備時に相手をどこまで追いかけて良いのか聞いたといいます。 ゾーンを理解するためには非常に良い質問だと思いました。 また、ゾーンが機能しないのは、ゾーンがマンツーに比べて高い戦術理解度が 必要だからだとする人も居ますが、ゾーンは完成度によりますが 機能させるだけなら、それほど難しい戦術ではありません。 現に、バスケど素人の私でも、高校の球技大会で(その完成度はさておいて(笑)) ゾーンディフェンスをしていたくらいです。 確かに、バスケは5人で、サッカーは11人、コートの広さも違います。 しかし、基本的な考えは同じです。 その戦術を機能させる上で何が大事なのかを理解すれば問題ありません。 次は、マンツーマンとゾーンのメリット、デメリットを比較したいと思っています。
posted by whiteowl |12:18 | Tactics (戦術) | コメント(6) | トラックバック(1)