2008年10月28日
守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。
守備崩壊の原因として、三浦監督の用いるゾーンディフェンスのせいだとか、 昨日の「Fの炎」の平川さんの言では、川崎Fの強力な攻撃を 止められないのは、リアクションサッカーの限界が原因だという。 意図することはわかる。ゾーンを意識しているから、出足が鈍くなる。 攻撃する時間が少ないので、結果的に押し込まれる時間が長くって、失点してしまう。 しかし、DFだろうがFWだろうが、守備がゾーンだろうがマンツーだろうが、 サッカーがアクションだろうが、リアクションだろうが、基本は選手間の1対1だ。 守備の基本は、ボールホルダーに対しては、誰かが当たりいかねばならないのだから、 この基本の1対1での対処が悪ければ、どう守ったところで守りきれない。 人が沢山居ても守りきれない理由はそこにある。 従って、根本的な原因は、札幌の選手が1対1での相手選手との間の取り方が悪いことにある。 守備側が相手との間を急激に詰めようとして、不用意に相手の懐に飛び込むと交わされる恐怖がある。 だから、特に川崎Fのブラジル人選手のように上手い選手と対峙した時、 相手との間を開けがちになる。(※その気持ちは、後にも書いたがすごくわかる・・・(・・;)) かといって、相手との距離を開けてしまえば、相手に自由に動き回るスペースを与えてしまう。 その結果、精度の高いパスやクロス、シュートをうたれる結果になる。 だから、極力相手との距離を詰めなければならないのだが、 札幌の選手は、局面で相手選手との駆け引きに負けている印象だ。 ↓はFWとしてDFとどう間合いをとるかの解説だが、 蹴球計画 ~スペインサッカーニュース~から、 個人技術 結果からプレーをつくる(逆算) サビオラ 相手との駆け引きという1対1の基本である「間」を考える上で、 非常に参考になる解説だ。(※それ以外の解説も秀逸でお薦め。)
この1対1については、空手の組手と合い通じるものが多いと感じている。 従って、これからは私の空手の組手の経験から考えたい。 相手が強い選手だと、どうしても相手との間をとりたくなる。その気持ちはすごくよくわかる。 まず、空手だと体重差20k以上あると、前に行くのが怖い。 しかし、離れていては絶対に相手には勝てない。 相手の攻撃も当たらないがこちらの攻撃も当たらないからだ。怖くても間を詰める必要がある。 かといって、相手と相対した時に、こちらがおっかなびっくりだと後手に回ることになる。 だが、難しいのは承知で例え受けに回っても絶対に気持ちで負けてはならない。 少しでも、相手の気持ちに気圧されて後ろに下がったら最後、 絶対に相手はそれに乗じて一気に押し込んでくる。 (※ただ、自分の間合いでなら、距離をとるのはいい。これが難しいところ・・・(・・;)) そして、相手と対峙した時、必ず相手をよく見る。 その時、重要なのは、よく見るといっても漠然と相手の全身を見ることだ。 空手の組手の場合、相手の手や足だけを注視することはしない。 必ず相手の全身を漠然と見る。 (※自分から見て、自分の頭の斜め後ろから飛んでくる上段回し蹴りや、 視野の外の横から飛んでくる下段回し蹴りに対して対処できないのは、 視野が狭くなっている証拠である。) 人間は必ず、手や足を動かす前に、どこかに予備動作が入る。 そして、上手い人間は、この予備動作がほとんどない。 しかし、その一方で、フェイントもあるので、 もちろんそれも察知しなければ、相手を止めることは出来ない。 (※フェイントかそうでないかを見分けるポイントは、 相手の重心の位置をよくみることだが、こればかりは感覚的なもので難しい。) 「後の先」とか、「先の先」というのは、この「間」を考える上での極意でもある。
しかし、相手との間を詰める上でやはり精神的な部分は大きい。 こちらに精神的な余裕がないとまず無理だからだ。 しかも、1対1の間は、守備だけではなく攻撃にも活かすことが出来る。 そして、空手とサッカーで大きく違うのは、ボールを持っている人間の方が、 ボールを扱うという行為が増える分、動作の点では不利だという点だ。 だから、基本的にはサッカーは守備者のほうが有利なはずなのだ。 そうはいっても、この状況では自信を持つことは難しいかもしれない。 しかし、それがないとまず止められないし、相手を抜き去ることも出来ない。 (※喧嘩やプロレスなどの格闘技でも、まず相手を威嚇することが多いのは、 精神的優位になろうとすることの現われでもある。) 自分の自信をつけるためにも、以前、箕輪選手と藤田選手が居残りでやっていた様に、 札幌の選手は1対1の練習をもっとしなければならないと思う。
posted by whiteowl |13:10 | 武道から考えるサッカー | コメント(8) | トラックバック(1)
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Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。
すごい初歩的な話ですよね。
ですがそこが大事ですよね!
空手に置き換えた話わかりやすい話ですよね!
そのとうりですよね。
予備動作は必ず有るはずです、それを見破るためには相手を上回るフィジィカルか経験が必要なのでは?
残念ながらコンサには、経験という部分では当てになる選手は居ないので前者が必要だといえますね!
やはり頼りになる選手の獲得とあわせて とにかくフィジィカルの強化が今後の必要事項では?
とにかく走れると言うシンプルな事が 攻撃の創造性よりも大事な要素かな?と思います。
posted by プリオール| 2008-10-28 18:35
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。(プリオールさんへ)
>相手を上回るフィジィカル
この言葉で、加賀選手を思い出しました。抜かれても追いつく足の速さ(笑)
フィジカル強化も必要ですが、それだとマッチョ最強になります。
これは千野さんの受け売りですが、1978年W杯アルゼンチン代表を指揮して優勝に導いた、
セサル・ルイス・メノッティ監督の選手選考基準の3つの要素は、
「テクニック」「インテリジェンス」「勇気」だそうです。
札幌の選手に一番足りないのは、多くの人は「テクニック」だと思うでしょうが、
私は、後者の2つ、「インテリジェンス」と「勇気」が足りないと思います。
大事なのは、相手をよく見る観察力です。フィジカルの優位性は確かにありますが、
間さえ上手くつかめれば、フィジカルの差など無意味です。
なぜなら、達人は、たった指一本で相手を止めることも可能だからです。
そして、どんな場面でも臆することなく相手に挑む「勇気」が必要です。
私は体格が普通なので、とにかく頭と気持ちでは負けないことを心がけました。
J1のプレッシャーに負けない気持ちがあれば、技術は自然と発揮されます。
そこに気づけば、一気にブレイクするのですがね・・・(・・;)
posted by whiteowl| 2008-10-28 22:47
長文すいません
はじめまして、僕も一対一は間が大事という内容に凄く共感しました。普段はフットサルでGKをやっているのですが、シュートを止められる間(距離)とダメな間(距離)があります。
フットサルはオフサイドもなく攻守の切り替えが非常に速いので
①とにかくコーチングしてバイタルエリアへの侵入阻止と、ミドルシュートを打たせない
②1対1で負けてしまったり、裏を取られても、相手の間でシュートを打たせないようにカバーリングをする
というのを意識しています。
どちらも重要になるのが、読みです。引用のブログにあった将棋の話もすごく理解できます。というのも、僕は小さい頃から将棋をやっていたからです。
そういった読みの部分は、フットサル(サッカー)にも生かされていまして、プレスを掛けるときに非常に役に立ちます。
僕が思うに、札幌の選手に足りないのは
①技術
パスを出す、トラップをするという基本技術が全然足りない。以前岡田監督の頃いたユース上がりの選手の出身の高校の先生に、「うちの子は、ちゃんと蹴れて止められたのに、プロになってから下手になっている。どういう指導をしているか?」と怒られてたそうな。
ということは、基本的な練習が足りないって事だと思うんだよね。リフティング、ドリブル、シュート、パスこういうのは個人個人で磨くものだと思うんですよ。野球の選手だって、全体練習のあと素振りしたり、ランニングしたり、キャッチボールしたりしますよね。
結局、その部分が足りないので、常に「後の先」もしくは「後の後」を取るはめになると思うんですよ。
②コーチング
僕がフットサルのGKをやるときには、シュートを打たせない→バイタルに入れないというプライオリティでコーチングしていますが、普通のサッカーでも同じだと思います。札幌の選手はこれが足りない。典型は、FC東京戦で大竹にやられたシーンかな?
守るときの優先順位がバラバラなんですね。それが、ゾーンにこだわって、個についていかないということになっていると思います。
③読み
これは、経験というより、選手の賢さだと思うんですよ。言い方は悪いですが、札幌の選手は賢さが足りないのでは?と思うわけです。※あくまでサッカーに対しての賢さで、選手を誹謗中傷するものではありません。
賢さが足りない部分を経験で補うんだと思いますが・・・
例えば、自分のチームのDFはこういう欠点があるから、こういう感じでやられそうだから、こういう風に動く準備をする・・・こうやられたからこう準備する・・とかですね。
予測しておけば、「先の先」が取りやすいと思うんですよね。
このあとにフィジカルだったり、戦術理解が来るんじゃないかと思うんですが、札幌に限らず下にくるチームは、順番間違っていると思うんですよね。
①~③がしっかり揃って、チームワークなんじゃないかと思うんですよ。
やっぱり日々の練習の質の差が出ちゃってるんだろうなと、あとは根性です。技術論の究極の先には、根性論があると僕は思っています。
監督・コーチ・フロント・選手すべてがかみ合わないと札幌の規模では、j1残留は厳しかったんじゃないかと思うんですよ。j2だと設備も含めて上の方ですが、J1だと下っぱですからね・・・
posted by らんぐ| 2008-10-28 22:49
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。
井原正巳選手が行っていた攻撃的なディフェンスが思い浮かびます。
取りに行くと見せかけて行かなかったり、
ルーズにしておいてパスをさせて取りに行ったり。
駆け引きですよね。
ダヴィなんて1対2でもガンガン勝負してますよねw
自信の裏返しですけど、砂川、藤田、西、上里とかは
1対1なら何とかなりそうなんだから勝負していくべきですよね。
そうゆう状況を超えない限りチャンスが生まれないですから。
posted by Ryosuke| 2008-10-28 22:54
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。(らんぐさんへ)
コメントが入れ違いになってしまったようですね(・・;)
コメントありがとうございます。
①については、J1での精神的なプレッシャーはあると思います。
それに、フィジカルの差もある。サッカーの上手い小学生がいても、
多分、大人の私は1対1で勝てる。札幌の選手を見てると
あんなトラップミス、俺でもしないというようなミスをすることもある(笑)
でも、彼らもプロですからプレッシャーがなければ我々より遥かに上手いですよ。
だから、よくブレイクする選手というのがいますが、
あれは特別技術がうまくなったわけではないと思っています。
コツをつかんだとか、「勇気」というか精神的なものだと思うんです。
それと、おそらく、勘違いされていると思うのですが、相手に先をとられて、
後手を踏んだ状態のことを指していらっしゃるのだと解しましたが、
「後の先」は、やってもいいのです。
「後の先」とは、簡単にいうと、カウンターのことです。
相手より遅れをとっても、相手の動きを見てそれにすかさず
カウンターをあわせ相手の先を制するという意味です。
②は、仰るとおりだと思います。コーチングが足りない。
③については、上のプリオールさんへの返信にも書きましたが、
私もサッカー的な意味での「インテリジェンス」が足りないと思います(笑)
根性だけでは勝てないですが、結局、どんなスポーツでも
大事なことは、どれだけ練習したかですからね。
とあるオリンピック選手が、科学トレーニングだとか世間では持て囃してるけど、
ただの無茶苦茶きつい根性トレーニングだと言って愚痴ってるのを思い出しました(笑)
posted by whiteowl| 2008-10-28 23:15
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。(Ryosukeさんへ)
(゜ロ゜;)エェッ!?
また入れ違いかwwww
コメントありがとう!
>井原正巳選手が行っていた攻撃的なディフェンスが思い浮かびます。
そうそう、どうしても相手との間を取りがちになるけど、
間を取るために敢えて相手の懐に飛び込むというのもありなわけですよ。
参考になりそうなのが、↓の記事。(DFは、必見!w)
http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/372/
つーか、この↑サイトの人凄すぎて、自分が恥ずかしくなってきますw
>砂川、藤田、西、上里とかは1対1なら何とかなりそうなんだから勝負していくべきですよね。
ガンバ戦で、藤田が対面の安田をチンチンにしてたから、
彼らはポテンシャルを持ってるとすげー思う。
それを発揮できるかは、正にメンタルですよ。
posted by whiteowl| 2008-10-28 23:31
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。
安田をチンチ
posted by Information | 2019-09-29 16:10
Re:守備の破綻は、選手の『間』の取り方が悪いから。
彼らはポテンシャルを持ってるとすげー思う。
posted by site | 2019-10-11 17:53