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2008年05月02日

セットプレイ時のゾーンディフェンスの問題点について

昨季J2で堅守と言われJ1に昇格したものの
今季の札幌は、9試合連続失点中で、総失点もリーグワースト2の17。
そして、毎試合のようにセットプレーで失点し、セットプレーをあくまでゾーンで守る
札幌に対して、多くのサッカー解説者が疑義を呈しています。


始めに、この問題に言及する前に一般的な守備戦術について整理したいと思います。
まず、守備の戦術には大きく2つの方法があります。
常に特定の相手選手に対して1対1でくっ付いて(マークして)
ディフェンスするマンツーマンディフェンスと
特定の相手選手に付かず、自陣の守備エリアを各ゾーン(地域)に別けて、
それぞれディフェンスの選手が各ゾーンを受け持ち、自分の受け持つゾーンに
侵入してきた相手選手に対して守備を行うというゾーンディフェンスがあります。
ゾーンディフェンス(出典:Wikipedia)

「人に付くのがマンツーで、地域を守るのがゾーン」というのは、
二つの守備の違いを端的に表現する言葉としてよく使われます。
ただ、ゾーンは基本的な考え方が危険な地域に人を置いて守るというコンセプトなので、
状況が変われば当然、危険な地域も変わるので自分の守備地域が、
常に特定地域であるということではありません。
例えば、左サイドの選手にとって逆サイドの右サイドからボールを持った相手が侵入してきた場合、
左サイドの選手は、ボールサイド側の中央に(右に)ポジションを絞り(ずらし)ます。
(※ボールのない左サイドよりもボールのある右サイドの方がより危険な地域のため)
ですから、当然自分が守るべき地域(ゾーン)は相手が侵入して来る前よりも中央寄りになります。


次に、ゾーンディフェンスのメリット(長所)とデメリット(短所)を検討したいと思います。
前出のWikipediaによれば、

〇ゾーンディフェンスのメリット

①ディフェンスの選手が存在しないスペース(空間)を作りにくい。

②ディフェンスの選手同士の連携が上手く取れていれば、個々の選手の1対1における守備能力が
それほど高くなくとも失点を防ぐことができるとされている。


〇ゾーンディフェンスのデメリット

①自分のゾーンから他の選手が受け持つゾーンへ出て行こうとする相手選手に対して
マークの受渡し行うかマークの受渡しを行わずそのままついて行くかは
そのときの状況やチームの方針などによって異なるが、
マークの受渡しを行うとオフェンスの選手とディフェンスの選手の間に
身長差や能力差といったミスマッチが発生しやすく、
それによってオフェンスの選手に有利になってしまうことがある。

②マークの受渡しはゾーンとゾーンの境界で行われるため、
どちらのディフェンスの選手のマークなのかあやふやになってしまったり
と隙ができやすい。

③マークの受渡しを行わないとゾーンの配置が崩れ守備のバランスが悪くなり
ゾーンディフェンスの利点が失われる。
また、本来は適していないエリアの守備を行わなければならなくなる。

④それぞれのマークマンが決まってないためリバウンドが取られやすい等の問題が発生する。

以上が、ゾーンディフェンスのメリットとデメリットをまとめたものです。


最後に、セットプレイ時のゾーンディフェンスとそれ以外のプレイ中の
3ラインをコンパクトに保つ三浦式ゾーンディフェンスを区別して
考える必要があります。
ここからは、セットプレイ時のゾーンディフェンスについて主に言及していきます。

セットプレイの守り方として、全ての選手がゾーン、もしくはすべての選手がマンツーで守る
ということは、普通はあまりありません。ミックスするのが普通です。
大体、CKであれば、まずゾーンで危険な地域に人を置きます。
ニアサイドに厚めに人を配置し、ファーサイドやペナルティアーク周辺にも人を配置します。
それ以外の選手は、マンツーかカウンター要員として前線に残ります。

札幌の場合は、浦和戦では、トゥーリオにだけ吉弘がマンツーで付いていました。
このように浦和だとトゥーリオ、FC東京だと今野など、セットプレイ時に
相手チームのヘディングが強い選手一人だけに、札幌はマンツーで付くことが多いのです。
(※残りの選手は、ゾーンで守っている。)

最初のセットプレイからゴール前に送られてくるボールで競り負けているのは、
ゾーンでもマンツーであっても基本的に1対1で負けているということです。
更に、当然相手がゾーンのデメリット①②をついてきているのもあるでしょう。
しかし、三浦監督は、恐らくですが、それでもゾーンのメリット①②を優先しているがために、
セットプレイ時にゾーンで守備する選手がほとんどなのだと思います。

あと、よく解説者に指摘されるのは、ゾーンのデメリットの④です。
マークが決まっておらず、セカンドボールに対してフリーな相手選手が多いので危なく見える。
セットプレイからワンタッチで直接狙われるのとセットプレイのこぼれ球(セカンドボール)の処理では、
当然、危険な地域が違うので、本来ならば、ゾーンも臨機応変に変えなければいけない。
しかし、実際、臨機応変にゾーンを変えるのは、かなり難しいので、それができていない。

上の二つの点から、相手チームの危険な選手に対して
もう少しマンツーで人について守る選手の数を増やした方が
守備が安定するのではないか?と言われるのだと推測しています。

確かに、相手のヘディングの強い選手が一人ではない場合、マンツーの選手を増やした方が
良いと思いますし、セットプレイのセカンドボールの対応も
現状できていませんので、解説者の言うことは最もかと思います。
ただ、ゾーンの人数を減らしマンツーを増やせば、その分危険なスペースが
空く可能性があるわけですし、結局マンツーを増やしても1対1で負けていたら意味がありません。

まあ、三浦監督も信念でこの戦術をやってるんでしょうし、
万能の戦術というものは存在しません。もしあれば、どこも採用するわけで・・・(・・;)
どれも一長一短なんです。今の札幌の監督は三浦さんですから、
周りがあーだこーだ言っても変わらないかも(笑)

不幸なことに、今季は怪我人が多いですし、私は、これまでの失点の多さは
三浦監督の戦術に綻びが出てきているためだとは思っていません。
更に、客観的に見て戦力の劣る札幌にとって合理的な選択とも思えるので、
今季は、この戦術を貫徹するしかJ1残留の方策はないとさえ思います。
ですから、チームがこの戦術を信頼して完成度を高めていくしかない
と思っています。

posted by whiteowl |09:03 | Consadole Sapporo | コメント(3) | トラックバック(1)

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セットプレイ時のゾーンディフェンスの問題点について - whiteowl's Point of View | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ

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Re:セットプレイ時のゾーンディフェンスの問題点について

私がセットプレーでゾーンで嫌だなと思うのは基本的にスタンディングのジャンプになるからです。
自分のゾーンに入っている状態からのスタートで、相手はランニングジャンプなので、
身長が同じならばどちらが勝つか明確。

ゾーンだからかはわかりませんが、進入してくる相手ではなくボールを見てしまい、
自分の前でプレイされることが怖いですよね。
前に入られたら身長とか関係なくなっちゃいますから。

マンツーマンのほうが集中しやすいですけど、中沢相手なら動き出しが本当に上手だから
フリーで打たれそうw

とにかくどちらにするにも継続して荒い部分を削ることでしか、
解決はできないですよね~

posted by Ryosuke| 2008-05-02 23:54

Ryousukeさんへのお返事

>セットプレーでゾーンで嫌だなと思うのは基本的にスタンディングのジャンプになるから
>相手はランニングジャンプなので、身長が同じならばどちらが勝つか明確。

( ̄∧ ̄)(_ _)フムフム・・・確かに。
J1はキックが正確だから後ろから走りこんできても
そこをピンポイントで狙ってくるしなぁ。

次のプレイの予測を速くして、ポジショニングを修正することで、
相手を抑えるしかないんじゃないかな。

攻めてる方としては、マンツーだとマーカーだけはずせばいいけど、
ゾーンだとゴール前にごちゃっといると嫌にならない?w

posted by whiteowl| 2008-05-03 01:13

Re:セットプレイ時のゾーンディフェンスの問題点について

攻めてる方としては、マンツーだとマーカーだけはずせばいいけど、
ゾーンだとゴール前にごちゃっといると嫌にならない?w

posted by motorcycle wheel spokes suppliers | 2017-08-28 17:32

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