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2009年03月17日

クライトンのトップ下と攻撃の形。

開幕から2試合、トップ下に入ってるクライトンが中央からサイドに流れることが多い(-第1節 仙台戦-)
これが、札幌の攻撃がうまくいってないことの一つの現れではないかと思っている。
(チームの得点の形がまだ見えてこない。 -第2節 鳥栖戦-)


まず、トップ下では、ちょうど相手のボランチの守備網にひっかかり(※下図参照)、
札幌の攻撃のキープレイヤーでもあるクライトンに対する
マークも厳しくプレッシャーがきつい。


図1:●…相手(4-4-2) ○…味方(4-2-3-1) ☆…クライトン 

    ●
● ● ● ●
    ○ 
  ● ●
●  ☆  ●
○     ○
  ○ ○
  ● ●
○ ○ ○ ○
    ○



現代サッカーで、これまで日本で花形ポジションとされた
『司令塔≒トップ下』が流行らなくなった理由は、
組織的な守備力の向上と運動量の増加によって
相手ゴール前近くにいるトップ下のプレッシャーがきつくなり、
トップ下が機能しなくなったからだといわれている。

それでも、トップ下が機能するためには、
最後のトップ下といわれる元フランス代表ジダンのように、
自らの屈強なフィジカルと卓越した技術で、
前線で囲まれても容易にボールを失わないキープ力が必要とされる。

しかし、“クライトンの鬼キープ”は誰しもが知るところで、
J2なら容易に相手からボールを奪われることはないだろう。
だから、クライトンのトップ下が札幌で機能する可能性はある



その一方、トップ下の位置で、クライトンに簡単に前を向かれたら、
そのチームは決定的なピンチを迎えるとなれば、相手もそこを必死になって抑えてくるだろう。

クライトンにボールが渡ったとしても、クライトンからボールを奪うことは難しい。
となれば、相手の狙いは、そこから決定的なパスを出されないこと
にだけ注意すれば良いことになる。

また、クライトンにボールが入っても、そこからすぐにパスを出されなければ怖くない。
クライトンからボールを奪わずに攻撃を遅らせさえすれば、守備を整える時間が出来る。
常に数的優位をつくって待ち構えていれば、
クライトンからボールを奪えなくても、パスを出させないことはより易しい。
そして、そこでディレイ(遅攻)できれば、パスの出し所をなくせる。


クライトンが前を向こうとして、サイドに流れたくなるのもわかる。
だが、クライトンは、決して縦への突破が速いわけではない。
それに、サイドに流れると横にタッチラインがあるためにパスの出せる方向が180°に限定され、
周囲360°でパスが出せる中央よりも怖くなくなる。

従って、現状ではクライトンにボールが収まることや、サイドに流れるのは、
相手にとっては予想の範囲内で、かえって相手に上手く利用されており、
それほど相手に脅威を与えていないといえそうだ。


第2節の鳥栖戦で、開幕の1トップから2トップにしたのは、このような状況を打開するために、
クライトンの前へのパスの出しどころを増やす目的であったと思う。

また、1トップは、相手4バックに対して相手CBを二人相手にしなければならず、
いくらキリノが上手くても、CB二人相手にマークを外すのは難しいし、相手も付きやすい。
クライトンとの連係もそこまでまだ取れていない現状では、相手の裏をかくことも難しい。
さらに相手が引いてDFラインの裏にスペースがなければ、スピードがあっても裏には抜けられない。


この状況を打開するには、1トップから2トップのように
クライトンの前線へのパスの出し所を増やすとともに、
サイド攻撃をしかけて、中央の守備をサイドに分散させたり、
ミドルを打って相手を引き出したり、オフザボールの動きなどでスペースを作る必要がある。

つまり、クライトンのトップ下とFWのキリノをこのままの形で活かすなら、
両SHとボランチ、2トップならさらにポストプレイヤーが、積極的に仕掛けたり、
彼らのフォローなりをして、彼らのためのスペースを作る必要があるということ。

『クライトンとキリノを活かすには、周囲のサポートが必要だ』
という至極まっとうな結論で終わりますが(笑)、
攻撃の形が機能するかは、クライトンやキリノ次第というよりも
むしろ他の周囲の選手の頑張り次第ではないかと思っています。

posted by whiteowl |15:30 | Consadole Sapporo | コメント(5) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:クライトンのトップ下と攻撃の形。

宮澤やキリノが狭いところでちょこちょこ頑張って動き回り過ぎるのも、クライトン持ち過ぎ運び過ぎ状態を助長しているかもしれません。

彼らはまた、こちらの攻撃中に相手にボールが渡るとあっさりボールホルダーを追いかけてポジションを下げるので(いや、前からそうしなければあの最終ライン、もっと失点してますけれど)、そこでもう一度ウチの攻撃になっても、クライトンより前にいないこともままあります。

クライトンFW起用しているのと実質変わらないような気もします。いや、それこそ狙いなのか?ラストパスは基本クライトンからマイナスでオフサイド知らず、ミドルの強い選手が多いし…。

posted by MasaMaru| 2009-03-17 17:21

Re:クライトンのトップ下と攻撃の形。

またまた興味深いお話…。 ”クライトンは、トップ下に張り付いていることに意味がある!” 私的にはそう考えて観ています。だから、鳥栖戦など、クライトンがサイドに顔を出す度に、複雑な思いを…。 プレッシングサッカーのトップ下… クライトン的に、最もディフェンス面のデメリットが抑えられる場所攻撃で言えば、クライトンがJ2で最も怪物クラスな長所は、「ボールキープ」 そこでクライトンが後ろ向きでボールを納める可能性が最も高いと考えた上で、周囲の選手が効果的に動くのが理想。 クライトンにボールが入ると、相手の2,3人が寄ってくる。ボールが入らなくとも、相手のWボランチのうち一枚は、張り付き気味のマークをしてくる。結果、クライトンはトップ下の位置に”いるだけ”で、ある程度、相手チームのボランチを引っ張り続けることができる。大げさに書くと、クライトンは相手チームのボランチのポジショニングを決定できるということ。この”存在感”によるメリットを攻撃にフル活用。 相手チームのボランチの心境は… (サイドハーフ&サイドバックによるサイド攻撃を受けている状況で)サイドで数的優位を作りたい… 自分が行けば3対2の状況を作れる… でも、クライトンのマークをはずして行くべきか… もう一枚のボランチがクライトンを見てくれるかな… でも、クロスが上がったらエリア内のゾーンも埋めなきゃならないし… セカンドボールを拾うためのポジショニングも… クライトンが真ん中にいるだけで、相手にはこれくらいのことは少なくとも思わせられるでしょう。90分間なら、これはけっこうしんどい…Wボランチは常にこの判断を適切に行わなければならない状況になる。一つミスすると、真ん中で、前を向いて、クライトンがボールを持つことになり、それは極めて危険。 稚拙な例になってしまいましたが、クライトンが真ん中に残っていない状態でのサイド攻撃は、メリットが激減しているように思うのです。 サイドでの1対1(もしくは2対2)は、サイドバックやサイドハーフの選手が頑張って!同数なんだから。 では、サイドにボールを供給するのは誰?もちろんWボランチですよね。後ろ向きでボールをキープするクライトンから、よい形で前を向いてボールをもらえるポジショニングを、上里&ダニルソンに期待。上里ならそこから両サイドに展開できるし、キリノへのラストパスも狙えるはず。キリノを狙ったボールのこぼれを狙うのはクライトン&ダニルソン。ダニルソンは今のところ、まだパスセンスに疑問符?なので、上里を生かせるように動いてほしい。これも期待。 クライトン…今のところ、攻撃面では、”決定的な仕事をすること”にこだわり過ぎているような気がしてしまう。ラストパスを出すのは、クライトンでなくてもよいですよね…。クライトンがサイドに流れてクロスを…クライトンとはいえ、毎回ピンポイントクロスを上げられるわけではないし、縦に突破する早さがあるわけではないから、はっきりいってサイドにいるクライトンは”怖さ激減”。相手チームの心理ならやりやすいはずです。 クライトンには真ん中にいて、ラストパスの一つ二つ前の仕事をしてほしい。玉離れはお早めに。 サイドや上里から、決定的なパスがガンガン出れば、相手のWボランチだってクライトンに気をとられてばかりいられなくなる。結果、90分のどこかでは、真ん中の決定的な場所で、前を向いてクライトンがボールを持てることにもつながるのではないでしょうか。その時に点を取れなければ、アンラッキー…。 でも、このサッカー…自分で書かせていただいていても思うのですが、「クライトン抜けちゃったら成立しないんだよなあ…」だから、コンサのカラーとして定着するような戦術ではないから、ビミョーに思えて、少し切なくなったりするわけです。 長々とわけのわからないことを綴ってしまい失礼いたしました。 クライトンとキリノのホットラインを構築するより、上里とキリノのホットラインを構築した方がよさそう。相手がドン引きの時はきついけれど、そうでなければ有効なはず。クライトンのポジショニングで相手Wボランチの高さが決まり、それに合わせて相手DFラインの高さが決まる(Wボランチとの距離を空けたくないのはCB心理か)。キリノが裏への飛び出しを狙えるような場面を、もっと多く作れるような気がします。 また読ませていただきますね! 楽しみにしています!

posted by はげお| 2009-03-17 22:39

Re:クライトンのトップ下と攻撃の形。

 現状としては「札幌はクライトンを抑えれば何とかなる」と思われているんでしょう。かといってJ2ではクライトンを1人で抑えられる選手はほぼいないので、2人(主にボランチ?)で囲んでとりあえずクライトンだけは抑えとけって感じなのかと。
 パスの起点がクライトンだけなら上里が出て行きゃいいじゃんって話になるんですが、そうなるともともと上里がいたエリアはどうするの?ってことになるワケで。ダニルソンが上里の分もカバーできるならあまり問題はないんだけど、不用意なドリブルでカットされたりしてたしイマイチ信頼が置けない(奪う能力は高いと思うけど)。鳥栖戦のフォーメーションで大伍を左サイドに置いたのは、大伍なら空いたスペースのフォローが問題なくできるからなのかな、なんて思ってました。
 仙台戦はスペースに出すことがそれなりに出来ていたようにも思ったんですが、鳥栖戦はキリノと宮澤がカブっていたんでしょうかねぇ。ただ、J2だとコンサはどっちかというと強いチームと思われていて、ドン引きサッカーをされやすい傾向があると思うのでDFラインの裏には出しにくい。
 
 悩ましいところですけど、ミドルが枠に行っているだけ良しとしましょうか(苦笑)。
 

posted by フラッ太| 2009-03-18 00:49

Re:クライトンのトップ下と攻撃の形。

クライトンは 1.5列目と固定概念でとらわれると痛い目に遭うかもと感じます!

いわゆるトップ下と考えると トップ下の選手を抑えられるとチームが機能しないはずだ!?

クライトンはフリーマンだ!
フリーの人間を生かすために、”周りが汗をかけ”と言うのが今のコンサのサッカーだと私は理解してるんだが?

戦術にこだわると去年のように迷宮に迷い込むかも!
もっとシンプルに、サッカーは将棋に似ていると思う!
業と手薄にしてみたり、手厚くしてみたりみんなが相互理解の上でそれが出来る事が理想だと思う!?
 
そうする事で他の選手のポジショニングも決まるのかな~!?
判んないけど!?

posted by プリオール| 2009-03-18 23:12

Re:クライトンのトップ下と攻撃の形。のお返事。

皆さんから熱いコメントを頂き、ありがとうございます。

MasaMaruさんが指摘するように、パスのレシーバー(受け手)の問題はあると思います。
受け手が欲しいところに出し手が出していなかったり、
出し手の出したいところに受け手が居ないという状況だと思います。

はげおさん、長文ありがとうございます。
私もクライトンはサイドよりも中央に居ることが重要だと思ってこの記事を書きました。
そして、そうすることがチームのクライトン依存体質を助長する結果に
繋がってしまうのではないかという危惧もそうだと思います。

ただ、その過程で、現状が、周囲の選手が一方的にクライトンに依存している状態だとすれば、
周囲がクライトンを活かし、周囲がクライトンを利用する関係になっていけばいいのではないかと。

後半の途中交代からですが、砂川が相手のサイドをえぐって試合が動くことが多いのは、
決して偶然の産物ではないと思っています。

フラッ太さんの↓のコメントから、

>パスの起点がクライトンだけなら上里が出て行きゃいいじゃんって話になるんですが、
>そうなるともともと上里がいたエリアはどうするの?ってことになるワケで。
>ダニルソンが上里の分もカバーできるならあまり問題はない

トップ下のクライトンとダブルボランチのトライアングルのバランスが、
ノブリンシステムを機能させる一つのキーなのかなという気がしています(笑)。

プリオールさんの言う
>フリーの人間を生かすために、”周りが汗をかけ”と言うのが今のコンサのサッカー

仰るとおりだと思います。ただ、まだチームとしてフリーの人間を作り出して、
それを活かすことが出来ていないという段階だと思います。

まあ、、チームとして連動しなければいけないので、まだまだ時間がかかるかもしれませんが!

posted by whiteowl| 2009-03-19 00:37

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