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2010年12月13日

パスサッカーと4バック。 -その3-

パスサッカーをする上で、3バックで中盤や前線の人数を増やして、
パスの三角形をたくさん作るという従来の方法ではなく、
4バックでラインディフェンスをして全体をコンパクトにする
一般的な考え方について説明してきました。


その1では、分かりやすい例として、漫画『GIANT KILLING』のシーンから、

その2では、3バックではなく、
4バックでラインディフェンスをする理由について触れました。


今回は、4バックでラインディフェンスをした上で、
更に、全体をコンパクトにする重要性に触れたいと思います。





前回、ラインDFをするのは、特に相手FWをオフサイドにかけるためだと説明しました。

それは、積極的にオフサイドトラップをかけることで、
DFラインを上げることが出来るからです。


オフサイドは、“待ち伏せ禁止のルール”ですから、
DFラインが上がって、DFラインの後ろに広大なスペースが出来ても、
そのスペースで相手選手は待ち伏せすることが出来ません(≒相手選手は入れない)。

ですから、近年、DFラインを上げることによって、以前よりGKの守備範囲が増えていると言われています。


ただし、DFラインを上げることが目的ではありません。

DFラインと前線のFWまでの距離を短くする(≒コンパクト)ことが目的です。

全体をコンパクトにすることによって、
味方選手間の距離を短くしてパスを繋がりやすくし、パスサッカーを実現するというのが、
4バックでパスサッカーをする上での基本的なコンセプトです。


また、単純にDFラインを常に高く設定すれば良いというわけではなく、
こちらがオフサイドトラップを仕掛けるには、
相手選手がパスを出すタイミングを予測する必要があります。
(※相手がパスを出すタイミングでDFラインを上げて、オフサイドをとるため。)

予測するためには、相手ボールホルダー(保持者)に対して、
プレッシャーがかかっている必要があります。

プレッシャーがかかっておらず、相手選手に余裕があれば、
フェイントされたりとパスを出すタイミングが限定しにくくなります。

更に、全体をコンパクト(≒密集)にすることによって、
相手選手へのプレッシャーもかけやすくなるというメリットがあります。

そのため、全体をコンパクトにしてボールホルダーに対してプレッシャーをかけることと
DFラインを高く維持することは、お互いに独立して存在できないのでセットと考えられます。


ちなみに、DFラインを上げるのは相当勇気が要ります。
後ろを抜かれたらどうしようと少しでも躊躇するとオフサイドを取れません。

従って、オフサイドトラップを成功させるには、
常にDFラインの選手が、前へ出る意識を持つことが重要ですが、
中盤できちんとプレスがかからず、オフサイドをとれずに何度かDFラインを突破されたりすると、
DFが怖がって、DFラインが次第に下がっていってしまうのが普通です。


しかし、そうなってしまうと、全体が間延びして、
パスが繋がらない、ボールを奪われる、カウンターを喰らう、
間延びしているのでプレスがうまくかからない、オフサイドトラップをかけられない、
DFラインの裏にパスを通されるという悪循環に陥ります。


なので、オフサイドトラップがかからない場合、それはチーム全体の責任といえます。

特に、中盤の1対1で簡単に負ける、
ボールを執拗に追わないという前線や中盤の個々の選手の姿勢が、
DFラインを上げられないことにつながり、チームの悪循環につながります。






4バックでDFラインを上げてパスサッカーをする好例は、スペインリーグです。

スペインリーグのほとんどのチームが
お互いにこのコンセプトでサッカーをしているため、
お互いにDFラインが滅茶苦茶高い。

その結果、センターライン付近に両チームの選手が密集します。

そのお互い中央に密集した激しいボール争いの状態から、
時々、DFラインを突破して、ボールがDFラインの裏にこぼれる
といった感じのサッカーになります。






札幌の場合は、前線や中盤できちんとプレスがかけられないので、
DFラインが次第に下がり、全体が間延びしていきます。

全体が間延びした状態だと、3バックでも4バックでも大差ありません。
むしろ、3バックにして中盤や前線の人数を増やして、
前へのパスコースを増やした方がパスが繋がるという結果になってしまいます。

スペインリーグのサッカーを目指して、4バックでラインディフェンスをするなら、
もっと中盤や前線でしっかりプレスをかけ、DFラインを上げ、
全体をコンパクトにすることを試合を通じて維持しないとパスサッカーは実現できません。


ただ、このコンセプトは、スペインの様に相手もそうなら、まだやりやすいのですが、
ドン引きしてくる相手に相性が悪く、J2ではそういうチームも多いので、
臨機応変な対応が求められます。




posted by whiteowl |18:00 | Tactics (戦術) | コメント(4) | トラックバック(1)

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パスサッカーと4バック。 -その3- - whiteowl's Point of View | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ

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この記事に対するコメント一覧
Re:パスサッカーと4バック。 -その3-

URL(右下)に「PSPカスタムテーマ依頼HP」があります。
自分はそこに「コンサドーレ札幌のカスタムテーマを作って欲しい」と依頼しました。

PSPを持っているサポーターの皆様 札幌サポーターの皆様 投票で作ってもらえるかが決まります。
1人でも多くお手数ですが投票お願いします。
URLを押して(右下)下にある「コンサドーレ札幌」に投票して欲しいです。

勝手ながらすみません。

posted by 本日もお願い | 2010-12-13 18:42

Re:パスサッカーと4バック。 -その3-

ライン、コンパクト、プレス…。こうなると三浦サッカーも石崎サッカーも根本は同じってこと?でも違うサッカーに見える。

現実(悲しい理由で)3バックでも4バックでも変わらず、3バックで中盤厚くした方が良かったりするなら、3バックでも良さそうな気がしますが、それでも論調からは4バックが良いと言う結論にいたるのでしょう。

石崎札幌が4バックである以上、3バックを語ることに意味がないのは解りますが、3バックに道はない?メキシコ(3-5-3)は?全部終わって余力があったら考察希望。

posted by MasaMaru| 2010-12-14 00:58

Re:パスサッカーと4バック。 -その3-のお返事。(まさまるさんへ)

>三浦サッカーも石崎サッカーも根本は同じ

三浦サッカーの方が、極端なゾーンディフェンスなんで流動性がないですね。

ただ、最近のサッカーは、大体、今まで説明してきたことが基本的なコンセプトになっているので、
そこの部分は、あまり変わらないってのはあると思います。

>3バックに道はない?

オシムも3バックでしたし、その弟子のペトロビッチも広島で3バック。
かつての大分もシャムスカで3バック。

ラインディフェンスをするなら、3バックでする“フラット3”がないというだけで、
別に3バック自体が否定されるわけではないかと。

何処のチームも4バックなら、その隙を突くために敢えて3バックにするというのも
考え方によってはアリだと思いますよ。

posted by whiteowl| 2010-12-15 11:23

Re:パスサッカーと4バック。 -その3-

↑さすが。解りやすいです!

posted by MasaMaru| 2010-12-16 07:27

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