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2009年12月02日

今季、石崎サッカーの進化を求めた2チームのそれぞれ。

柏の話だが、札幌サポが読んでも、↓のスポーツナビのコラムは興味深い。

鈴木潤 スポーツナビ 2度目の降格から柏は何を学ぶのか (1/2) 新戦術への移行から始まった失敗 2009年12月1日(火)


昨季までの柏は、現札幌監督である石崎監督が率いていたことが大きいが、
戦術面において今季の札幌と似たような課題を抱え、
奇しくも、今季、違うアプローチから、それぞれのチームがその解決に取り組んでいたからだ。


>昨年までの柏は、石崎信弘監督(現コンサドーレ札幌監督)が率い、
前線からのハードプレスと奪った瞬間に素早く攻守を切り替え、
スピーディーなショートカウンターから相手ゴールを脅かすという特徴を持ったチームだった。
だが、その戦術がハマったときには上位チームに太刀打ちできる強さを見せるも、
その反面、柏の長所を消してくるような対戦相手、例えば引いて自陣にブロックを作り、
スペースを与えないチームや、柏のプレッシングを回避するために、
前線へ長いボールを供給してくるチームを攻略するすべに乏しかった。


正に、今季、同じことがJ2の札幌でも繰り返された。

今季昇格したセレッソに前線からの積極的なプレスで互角以上に戦い勝ったかと思えば、
リトリートして、前線からのプレスを避け、
ロングボールからカウンターを狙ってくるチームには攻めきれず、
逆にカウンターを喰らってあっさり失点するなど滅法弱かった。

ステージこそJ1とJ2と違い、微妙に時期こそ違えど、同じ監督なので当然かもしれないが、
昨季までの柏と今の札幌は、同じ課題を抱えている。


そこで、昨季の柏は、監督解任というリスクをとって変化を求めた。

そして、石崎監督のサッカーをベースにして、更なる進化を狙った。
その意味では、コーチ昇格という監督人事も頷ける。

>今季の柏は「アクションサッカー」をスローガンに掲げ、
石崎監督が3年かけて作り上げた「前線からのプレス」と「ショートカウンター」をベースとし、
そこへ新戦術を上積みするという形を採った。
つまり、相手に押し込まれる場合は闇雲にプレスにいかず、リトリートとプレッシングを使い分ける。
また、攻撃面では、これまでのショートカウンターは相手に引かれた場合に効果を発揮しない。
したがって、ポゼッションからパスを回して相手の守備を攻略するという、
攻守両面において2つの武器を持つことを目標として、春季キャンプに臨んだのである。


しかし、基本的に、“万能な戦術はない”。

つまり、弱点のない戦術はない。
大事なことはその戦術をマスターし、
それと同時に、相手の対策に柔軟に対応する、弱点をカバーする術も身につけること。

そして、柏は監督交代というリスクを払って本格的な弱点カバーを狙った結果、
今までの良さに上積みするのではなく、本来持っていた良さまで失ってしまった。

怪我人が多かった誤算もあっただろうが、上手く戦術を進化させることに失敗してしまった。

それが今季の柏の失点増加に繋がり、降格の原因になったと考えて良いだろう。





一方、おそらく石崎監督も同じ課題を感じていたのではないだろうか。

昨季の天皇杯決勝まで行った頃のインタビューで石崎監督は、

正に、今後のチームの課題として、

>リトリートとプレッシングを使い分ける。

と言っていたからだ。


自分の戦術に対する強さも弱さも最も熟知していたのは、
他ならぬ石崎監督本人であったに違いない。

自分の戦術の欠点に気付いていないはずがない。


しかし、昨季の柏のフロントとの話し合いで、そこのところを言われ、
結果的に、あなたではその問題は解決できないと判断され解任されたわけだから、
石崎監督としても内に期するモノがあったに違いない。


奇しくも、違う2チームが、同じ目標、“石崎サッカー”の進化を求めたのが、
今季だったともいえるのではないか。


だから、札幌就任早々、ホームとアウェイで、リトリートとプレッシングを使い分け、
“戦い方を変える”と言った石崎監督の発言も納得できる。

また、ポゼッションということで、クライトン残留を希望したこともわかる。

そして、リトリートとプレッシングを使い分けることや、
ポゼッションからパスを回して相手の守備を攻略することは、
正に代名詞である“チャレンジ&カバー”の石崎サッカーの導入とともに、
石崎サッカーの克服すべき課題として、同時に今季の札幌も取り組もうとしていたことだ。


長く監督をやっていると、その戦術も研究される。
石崎監督もJリーグの監督として生き残るために、
自らの戦術を進化させる必要があったことは想像に難くない。


しかし、最初から二兎を追うには、昨季J1から降格し
J2からリスタートするとはいえ、札幌は実力が足りなかった。

札幌には、昨季までの三浦監督の下で、
ブロックを形成しリトリートしてカウンターを狙う戦術の土台はあった。
そこに石崎監督の代名詞である“チャレンジ&カバー”の戦術を春季キャンプで植えつけた。


だが、一番難しいのは、両者の戦術の判断だろう。

刻一刻と変化する試合状況に合わせて、
引くか前からプレスに行くかを瞬時に判断することは難しい。
その上、全員が同じことを考えていなければ、プレスは効果を発揮しない。

その意味で、大人しいままで、もっとコミュニケーションをとらないとこの戦術は機能しない。

柏も、今季は思うような補強ができなかったこともあっただろうが、
J1上位を目指した野心的な挑戦は、その課題を上手く克服できず降格した。

札幌が昇格できなかったのも、レベルこそ違えど、
正に、同じ課題を上手く克服できなかったからだろう。


しかし、繰り返しになるが、弱点のない戦術はない。

その戦術をマスターし強みを発揮する一方で、
弱点をカバーする術も同時に身につけることが、
その戦術の完成度を上げる唯一の策ともいえる。

相手が常に研究して隙を突いて来る以上、基本的に完成することはないだろうが・・・。


その意味では、今まで柏が取り組んできた“チャレンジ&カバー”を継続しているのは、
石崎監督本人がいるので当然だが(笑)、札幌ということになる。

その辺りが、生粋の柏っ子である石川が札幌残留に心動かされている理由かもしれない。

石崎監督の下で、石崎サッカーのある程度の完成形を見たいと思っているのではないだろうか。

柏のネルシーニョは、堅実な守備を基本とする監督だけに、
やり残した仕事は、最早、石崎監督の下でしか果たせない。


来季、札幌も、この難しい課題を克服しない限り、昇格はないだろう。
ただ、その難しい課題を克服し完成度を高めていけば、
J1残留も視野に入る戦術であるともいえる。

それが現有戦力で実現できる戦術なのかは、若干議論の余地があるかもしれない。


柏の事例は、監督交代の怖さも同時に教えてくれる。

果たして、来季、札幌はこの課題を克服できるのだろうか?


まだ、今季は終わってませんが、先日の横浜戦を見る限り、まだ克服できてませんしね・・・。



posted by whiteowl |13:37 | Column | コメント(0) | トラックバック(1)

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