スポンサーリンク

2011年10月06日

<第9話> あなたは私?

なんと約2年ぶりの空想短編集 (^_^;)
しばらくぶりにイマジネーションが戻ってきたようなので書いてみます。

興味ない人はスルーでお願いします。スルーで。


【あなたは私?】

私は時々ヒトカラをする。
ヒトカラ ⇒ 1人カラオケ ⇒ 略してヒトカラである。
旧友が札幌駅南口界隈のカラオケ店で、ストレス発散を目的に時々ヒトカラへ行っていたので
いつかは自分も……と思っていたら
ちょうど単身赴任で北関東の、とある町へ引っ越すこととなり
1人暮らしの生活にも仕事にも、そして職場の人間関係にも落ち着いてきた或る日
思い切ってヒトカラにチャレンジしてみることにしたのだ。

初ヒトカラから約1年。もう何回目になるのだろう。
私はいつもPP・SOUNDの部屋で歌っている。
PP・SOUNDは、自分が歌う姿の動画を保存し、PP・SOUNDサイトのマイページで
好きな時に見ることができるからだ。
自分の歌声が聞けるので、少しでも上達するのにとても役立つ。

その日はモニタに映る自分自身を見ながら歌うのが嫌だったので
設置されている小型カメラに映らない位置に座って20曲ほど歌って帰った。

いつものように帰宅してからPCでPP・SOUNDのサイトに入り、マイページを開いた。
そしてつい30分ほど前に歌った曲名をクリックし画面が映った瞬間
私は仰天した。同時に背筋が凍りついた。
映っていないはずの私が画面に映っているのである!

落ち着け!自分!
映らない位置に座ったし、歌っている最中も当然モニターに映っていなかった私が
今こうして映っている理由を考えよう!冷静に考えれば何か理由が解るはずだ。

すると曲が突然フェイドアウトしはじめ、数秒して曲が完全に消えた。
だが画面には私の姿が映ったままだ。
そして画面の私が口を開いた。
「カメラニウツラナイノハキンシ……カメラニウツラナイノハキンシ……
カメラニウツラナイノハキンシ……カメラニウツラナイノハキンシ…………

同じ言葉を延々と続けてしゃべる私の画像を見て怖くなり、私はPCをシャットダウンした。


『何かの幻覚としか思えない。月曜に病院へ行って診てもらおう。』
そう考えると少し気持ちが落ち着いてきた。


そして再びPCを立ち上げた私。

今度はデスクトップ全体が画像になり、最初から私が映っている!
また何かを喋ろうとしている!

直ぐにシャットダウンした。


私はその日カラオケ店の室内で、カメラに映らない場所で歌うことに罪悪感を持っていた。
映らなかったり替え玉を映すのは禁止事項になっているのだ。
もしかしたら……あり得ないことだとは思うが
その強い罪悪感が画像となって…………いや、やはりそれは違う。
とにかく月曜になったら病院へ行こう。それがベストな選択だと思う。

*****  *****



過去の空想短編集

第1話 エレベーター
第2話 目を開けたら
第3話 one more 初入院
第4話 起きている時と寝ている時
第5話 地下歩道の扉
第6話 みんなどうしたの?
第7話 宇宙人から教わったこと
第8話 届かない声

自分で書いておいてなんですが、個人的には第2話が気に入っています。
第8話は少しヤバイかもです。

posted by hiroki |20:41 | 空想短編集 | コメント(0) |

2009年11月11日

<第8話> 届かない声

「もうすぐJ2開幕ですね」 と今年の3月に
このカテゴリーでエントリーして以来、8ヶ月ぶりの短編空想話。
「もうすぐJ2も閉幕ですね」 です (^_^;)



【届かない声】

遠い勤務地へ単身赴任して1年ぶりに帰った我が家は
家の形そのものが違っていたし、部屋の位置も数も変わっていた。
しかも20歳台半ばの子供達が小学生に戻っていたのには驚いた。
息子は黄色いロバの着ぐるみを着て、ソファーの上でおどけて私を迎えた。

とりあえずシャワーを浴びようと思い2階の自室へ着替えを取りに行ってみた。
部屋は何だか細長くなっていて、フトンやら何やらが散乱していた。
元々あった大きな蛍光灯の横に、古いタイプの小さな蛍光灯が2つぶら下がっていた。
階段の段数が増えていて1階のリビングから果てしなく遠い感じがした。

長い階段を降り、リビングにいた妻に蛍光灯のことを聞くと
古いのがナゼかダメになったので自分のセンスで新しいのを購入したそうだ。

私はシャワー室へ入る前に下着を持ってきていないことに気づき
かなり面倒だけどもう1度長い階段を上がり2階の自室へ戻ることにした。

面倒だと思った割には軽快な足取りで、難なく自室に到着。



テレビの上にある容器から下着を取り出そうとしたその時!



私の背中に誰かがしがみつき、左側の肩甲骨付近をガチガチと噛んでいる!
首を左に向け噛んでいる犯人を見たら
それこそ肩甲骨にギリギリ届くぐらいの背の低い…… おそらく中年女性か老婆。
髪を振り乱しながらガチガチと噛み続けている。
顔は見えないが、私と同じ黒いTシャツのようなものを着ている。

パニック状態になった私は振り払おうと体を激しく動かした。
手を使おうとしても何もつかめない。
1階の家族に助けを求めるために 「助けて!」 と叫んだ。
だが声がかすれて僅かな音量しか出ない。助けを呼ぶ声は1階まで届きそうにない。

ガチガチと音を立て無言で噛み続ける謎の女……。


そこで私はハッ!と目が覚めた。


--- END ---



この話、今朝方本当に見た夢の話です (汗)
目が覚めて夢だとわかりホッとしたと同時に心臓の鼓動が激しくて
何度も深呼吸して、ようやく落ち着きました。

夢占いに詳しい方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。
マジで怖い夢でした。
朝 5:30頃から、ほんの僅かな時間に見た夢です。

あ…… これじゃ空想とは言えませんね (^_^;)

posted by hiroki |17:36 | 空想短編集 | コメント(2) |

2009年03月04日

<第7話> 宇宙人から教わったこと

もうすぐJ2開幕ですね。
でもせっかくネタが浮かんだので開幕前にとりあえずエントリーしておきます。
11月15日以来の空想短編になりますが、関心のない方はスルーして下さいね~。


【宇宙人から教わったこと】

職場に宇宙人のような人がいる。
見かけは普通の日本人だけど、何となく日頃の態度を見ていると宇宙人に思えてしまう。
日頃の態度のほかに宇宙人っぽく見える理由としては
表情があまり無いことぐらいか……。

その彼が転勤することになった。
引っ越しの手伝いを申し出たが 「荷物が少ないから大丈夫です」 と言われた。
もしかしたら部屋には四角い台に乗った
半円状の蛍光灯みたいなものしか無いのではないかと勝手に想像した。
その蛍光灯のような部分に触れることで全てが行えるのかもしれない (笑)

やはり気になった私は彼が転勤する前日に訪れてみた。

玄関の鍵が開いていたので、そーっとドアを開けてみた。
何もない。多分もう全て運送屋さんが持って行ったのだろう。

「せっかくいらしたのですから上がっていってください」

後から声がしたのでビックリして振り返ると宇宙人…… じゃなく、彼が立っていた。


一番奥の部屋に私が想像していた通りの物体があったので、再びビックリした。
「どうせなら引っ越し先まで見送ってください」
彼はやわらかい光を発する物体を手の平で撫でた。
すると一瞬の内に外の景色が変わった! どうやら瞬間移動したらしい。

「僕のように、よその惑星から何らかのミッションのためにやって来て
それが完了すると本人の希望で、そのまま居続ける者が大勢います。
僕は1人ぼっちだったから、この賑やかな惑星がとても気に入りました。
今日は最後まで見送ってくれてありがとう。ではあなたのご家族が心配するから……」

私は引っ越す前の彼の社宅に駐車した車の中に戻っていた。



翌日、久々に実家へ行き、冗談で宇宙人だと思っていた人が本当の宇宙人だった話をした。

すると母が……
「父さんと母さんもそうなんだよ」 と笑って言った。
さすがにそれはジョークなのだろうけど。

--- END ---

posted by hiroki |18:07 | 空想短編集 | コメント(2) |

2008年11月15日

<第6話> みんなどうしたの?

9月16日以来の空想短編集になりますが、関心のない方はスルーでお願いします。
少々長めだし (笑)


【みんなどうしたの?】

中学を卒業してから27年も経つというのに
古びた温泉旅館で行われた同期会には約半数の45人もが参加。
1泊での同期会は初の試みだった。

夕食を兼ねた大広間での宴会も終わり
二次会を…… といきたいところだが
残念ながら旅館の中も外へ出ても、飲み屋やカラオケBOXは一切無い。
誰かの部屋に集まって飲み会の続きをしようとか
とりあえず温泉に入ろうとか、大広間を出たところにある
少し広い場所でガヤガヤと盛り上がっていた。

その時、右奥の方向でガシャン!という大きな音がした。
「何だ?」 「どうした?」 と、みんな音の方向へ走って行った。
いつもなら真っ先に突っ走って行く私はナゼか足が動かない。
その場に私1人が取り残された。

みんなの声も、そしてバタバタというスリッパ音も聞こえなくなってから
ようやく私の足が動いた。

急ぎ足で音がした方へ向かった。突き当たりのガラス戸が破られている。
どうやらガシャンという音は、それが原因だったようだ。
みんな左右に分かれ廊下に座り、誰もが下を向いている。頭を掻いている者もいる。
「どうしたのさ」 と、今でも顔を会わせる機会が割と多い男子に聞いたが
チラッと私の顔を見て直ぐに下を向いた。
続けて元気のいい女子にも 「どうした?」 と声をかけたけど反応が無い。
異様な光景に動揺した私は傍らにあった1人掛けの椅子を蹴り倒して
「みんな!何なんだよ!何があったんだよ !!」 と叫んだ。

音がした時、ナゼ私の足だけが動かなかったのか。ここで一体何が起こったのか。
従業員を探しに戻ってみたが、宴会場もフロントも空っぽで誰もいない。
再び割られたガラス戸の場所へ。

私はガラス戸の向こう側へ行くしかないだろうと考えた。
何か手掛かりが見つかるかも知れないと思ったのだ。
ガラス戸の向こうは、廊下の左右に客室が並んでいるが
どの部屋も戸が開いたままで中は真っ暗だ。

角を曲がった時、奥の方にある1つの部屋から灯りが漏れていた。
備え付きテレビの音声が、ほんのかすかに漏れている。
その部屋の前まであと2歩というところで 「入れよ」 という男の声。
浴衣の上に丹前を羽織っている男の顔には確かに見覚えがある。
それは中学1年だった頃の我々に散々からかわれていた英語教師だった。

「お前が首謀者だったよな」
「はっ? 何がですか?」
「俺を馬鹿にしていた首謀者だよ」
「僕じゃない!…… いや僕だけじゃないですよ」
教師は声を張り上げて 「俺にとっては、お前が最も嫌な存在だった!」

その時、後の入り口から他の生徒達が、わらわらと狭い部屋に入ってきた。
「みんな歩けるようになったんだ!」 と私は味方を得た気がしてホッとした。
しかし1人から意外な言葉が返ってきた。
「お前だよ。お前が首謀者だったんだよ」
「えっ?」
すると英語教師も 「ほうらみろ。みんなもお前が首謀者だと認めている」
他のみんなもトーンの低い声で 「お前が首謀者だった」 などと言い出し
部屋の中がその声で一杯となり、耐えられなくなった私は耳を塞ぎしゃがみこんだ。

みんなの声がピークになったところで突然静寂が訪れた。
英語教師の姿が無い。テレビもスイッチが切れている。

「……え?なに?」 と女子が3~4人キョロキョロしている。
「さっきまで宴会だったよな」 と仲良しの男子が私を見ながら問いかける。

どうやら正常な空間に戻ったようだ。

私はその後、みんなの前で出来事を全て話した。みんな信じて聞いてくれている。
「多分、その英語教師は現世に存在していない。
中学生だった我々に散々からかわれたという嫌な記憶が残っていたのだろう。
我々的にはコミュニケーションを取っていたつもりの接し方も
先生にしてみれば、とても嫌だったということだ。
今日は我々がここに集まることを知り
先生にとっての首謀者だった僕に怒りをぶつけたくて現れたのだろう」

--- END ---

posted by hiroki |10:21 | 空想短編集 | コメント(3) |

2008年09月16日

<第5話> 地下歩道の扉

7月29日以来の空想短編です。関心ない人はスルーして下さい。
もちろん話はフィクションです (笑)
しかも、出だしこそ事前に浮かんだネタですが
以降は文字入力しながら行き当たりバッタリでストーリを考えているし (^_^;)
なので、実は自分でも少しワクワクしながらやっています (笑)


【地下歩道の扉】

毎日の通勤で、ここを通るたび気になっていた。
JRのN駅を降りて100mほど歩くと、線路の下を通り抜ける地下歩道があるのだが
階段を降りて左へ曲がり真っ直ぐ進むと、その途中の左側に小さめの扉がある。

扉の向こうには、この地下歩道を管理している部署にとって必要な物が置いてある
或いは設置されているのだとは思うが、時々中を見てみたい衝動にかられる。



まだ真冬とは言えない12月17日、朝まで雪が全然なかったのに
札幌は昼過ぎから、発達した低気圧の影響により大荒れとなった。
この日は職場の忘年会があり、その前にボウリング大会も開催される。
3時にボウリング場へ集合となっていて
私は同僚のB君と一緒に職場から、猛吹雪の中をN駅へ向かい歩き出した。
湿った雪が横殴り状態で、雷も鳴っている。

長い直線道路からようやく地下歩道に辿り付き、我々は階段を降りた。
地下歩道の中は静かだった。外の荒れ模様も感じないほどだ。

すると…… いつもは施錠されているはずの気になる扉が少しだけ開いていた。
「ここだよ。俺が前に話した扉」
B君は 「早く駅に行こうよ」 と怪訝な表情。
「中はどうなってるんだろう。せっかくだから覗いてみようよ」
私とB君は扉をもう少しだけ開き、そして中を見た。


機械室っていう感じで、色々なマシンが設置されていた。内部は予想外に広い。
機械の間をぬって進むと、1番奥の突き当たりに、また扉があった。
ドアノブを回すとカチャっと音がする。どうやら鍵はかかっていないらしい。
でもさすがにその扉を開ける気にはならず、私はグルリと中を1回りして
最初に入ってきた扉へ向かった。

すると最初は関心を示さなかったB君が
奥の扉の前に立ち止まってドアを開けようとしている。
「おーい!ボウリング場へ行くぞ~!もうここから出ようよ!」 と声をかける私。
しかし返事がない。
私は奥の扉へ戻った。B君はいない。まさか中に入ったのか !?
閉まっている扉のドアノブが今度は回らない。鍵がかかっている。
「B君!B君!中から鍵をかけたのかい !? 出て来いよ !!」

力を込めてドアノブを回し続ける内、カチャっと音がして扉がすーっと開いた。
私は目を疑った。
そこは最初の地下歩道だった…… じゃあ、これは最初に入った扉なのか……。
でも、そんなはずは絶対にない。

「えっ?そんな……?」 私が地下歩道に出た瞬間、扉は閉まった。
そして施錠されている。もう開かない。

B君は一体何処へ……。

--- END ---

posted by hiroki |18:19 | 空想短編集 | コメント(0) |

2008年07月29日

<第4話> 起きている時と寝ている時

【起きてる時と寝てる時】

10日前の日曜日、僕は札幌市西区の幹線道路沿いを歩いていた。
ちょうど昼時で、そろそろお腹が空いてきたから何か軽く食べようと考え
コンビニか安そうな食堂を探しながら車でしか通ったことのない道を歩いた。

信号を渡ろうとして立っていると、道路の反対側に見たことのある初老の男性がいた。
『え~と、あの人は……』 と、少し考えた後、僕は仰天した!
昨年の春に病気で亡くなった以前同じ職場にいた先輩だ !!

信号が青に変わった。僕はその場に立ちすくんでいた。
すると先輩がニコニコしながら大股で道路を渡って来た。

「久しぶりだな!元気そうだね!」 と普通に声をかけられた。
「あの~ …… 昨年亡くなられましたよね……?」 と恐る恐る聞いてみた。

「アハハ! そうだね~ こっちでは死んだとか亡くなったとかって言うものね」

最初は仰天していたけど全く怖さは無かった。
なぜなら、服装もそうだし、もう何もかもが普通に生きている人と同じだからである。

怖がっていないけど、かなり不思議そうにしている僕に、先輩は説明をしてくれた。
我々は、寝ている時は精神があちらの世界…… 俗に言う死後の世界へ行っているそうだ。
そして眠りから覚めたら、精神がこちらの世界に戻って来ているとのこと。
「時々夢を見ることがあるでしょ? あれは実は夢じゃなくて、あの世での出来事を
見ているんだよ。でも大抵は目が覚めた時点で忘れちゃうんだよね~」
そしてこちらで死ぬと、その瞬間から、全てが逆になるのだそうである。

「いま俺は、自分がいる世界 (こちらで言うところの死後の世界) で眠っていて
そこで見ている夢が君と立ち話をしている俺なのさ (笑) 」 わかるかい?

僕は聞いた。「ということは、その辺にいる人の中に、あの世で夢を見ている人……
すなわち、あの世の人も混ざっているということですか?」

「あれっ? 先輩?」 大先輩の姿は既に消えていた。

僕は、今ここで見たことを幻想だとは思わないようにするつもりだ。
「先輩、きっと目が覚めたんだな~」

--- END ---

posted by hiroki |18:10 | 空想短編集 | コメント(2) |

2008年07月10日

<第3話> once more 初入院

【 once more 初入院 】

夏風邪に罹り具合が悪い。熱っぽいのとかは我慢できても食欲ゼロは辛い。
だからあの日、私は札幌の平岸に在る大病院へ行ったのだ。

食事が摂れないと話したら点滴を打ってくれることになった。
「1時間ちょっとかかると思います」 と看護師さんに言われベッドに寝た。
針を刺された後は暇なので少し眠ることにした。



目覚めた私は平成4年に初めて入院を体験した個人病院のベッドにいた。
点滴はもう終了するところだった。
『これは完全に夢だな』 と思いながらナースコールのボタンを押す。
「もう終わったんだね、早いね~」 と懐かしい看護師が現れた。

点滴が終わったら昼食まで何もすることがない。
いつものように、病室を出てディールームへ行く。
窓際に3人用ソファーが2つ向かい合っている。
1番奥に座って雑誌を読んでいると、1人、また1人と顔なじみが集まって来る。
毎日パジャマ姿の男女5人には妙な一体感が生まれていた。
たわいもない話や、深層心理の本で盛り上がる。
先生の奥さんでもある看護師長が現れ 「またくだらない話してる!」 と笑う。
5人の中には日本国籍を持つ香港出身の李 (リー) さんがいる。
「今日は僕の奥さん紹介する。hirokiさんも奥さんに来てもらってよ」

洗濯物を持って来た妻と待っていると、李さんが色白の美人妻を連れて現れた。
奥さんは北京出身。最低限の日本語を使い、私の奥さんと会話が弾んでいるようだ。

今夜の当直ナースは超オープンなKさんだから
深夜0時に外来ロビーで全員集合するのが恒例である。
その時は5人のほかに近い年齢の入院患者達も集まって朝方まで茶話会が続く。

翌日は5人の中にいる女性Nの職場同僚Tさんが
受診に来たついでにディールームへ立ち寄った。
胃の具合が悪く、先生に入院を勧められているそうである。
みんなで 「入院しなよ!」 「毎日楽しいよ!」 と誘う。
それを聞いていた看護師長が 「楽しいってどういうことよ!」 と笑顔で口を挟む。

私は午後1時から道路向かいの歯医者に通うことになっていた。
ちょうどTさんも帰ると言うので一緒に病院を出る。
雨が降っていた。
Tさんが傘を私の頭上に掲げ 「アイアイ傘ですね~」 と微笑む。

病院の前の横断歩道を渡り切るとTさんはいなくなっていた。
振り向くと、ビルの2Fに在る私が入院していた病院の窓には貸店舗の表示。


あれから既に16年も経ったのか…… 時の流れとは早いものだな。
私は地下鉄の南平岸へ向かって、また歩き出した。

--- END ---

posted by hiroki |18:41 | 空想短編集 | コメント(3) |

2008年06月19日

<第2話> 目を開けたら

【目を開けたら】

私は朝風呂に入る習慣がある。
夏など暑くて激しく汗をかいた日は夜も入浴するが
基本的には休日を含め毎朝入っている。

その日もいつものように朝風呂に入った。

目をつぶって洗髪し、タオルで顔を拭いて目を開けようとしたが
ついでに目をつぶったまま洗顔も済ませた。

もう1度タオルで目周辺の水分をタオルで拭い目を開けたら………



そこは……

幼い頃いつも1人で遊んでいた実家の裏から50mほど離れた所にある小さな沼だった。
そして私は自分の姿が見えない。だが情景は見えている。
まるで魂とか精神だけがここへ飛んできたような感じだ。

沼のほとりに目をやると、小学校へ入る前…… 5歳くらいの少年が
1人で沼に石を投げている。
近づいてみるとその少年は40数年前の私自身だった。


この地に引っ越して以来、近所には一緒に遊ぶような子がいなかった。
9歳まで1人っ子だった私は小学校へ上がるまで
毎日こうして1人遊びをしていたのだ。
私はけなげに1人で遊んでいる自分自身を見て、とても可哀想に思えてきた。

今度は家に行ってみることにした。
そう思っただけで、私の目は実家の玄関先に瞬間移動した。

母がミシンで何か縫い物をしていた。
すると……

「来たのかい?」と言う母。
私は幼い頃の自分が沼から戻って来たのだと思い、後ろを見た。だが誰もいない。
「何やってるの?上がりなさいよ。自分の家なのに」 と苦笑いする母。
私は思い切って母に語りかけた。「母さんは僕が見えているのかい?」
まだ30歳前後の母は少し笑いながら 「見えるさ」 と答えた。

母 「今は結婚して子供はいるのかい?」
私 「ああ、いるよ。もう上の娘は25歳。もう1人は息子で23歳だよ」
母 「そうかい。それは良かった。たまにはここへ来ているのかい?」
私 「家族4人で行くことはないけど、娘も息子も、そして僕も各々たまに来ている」
母 「ふ~ん。それは嬉しい話だねぇ。父さんも喜ぶよ」

私は、自分でさえ見えない私自身の姿が
どうして40数年前の母に見えているのか不思議で仕方なかった。
でも何だか心が安らぐ気分だった。

私は平屋で3つしかない部屋を散策してみることにした。
そしてガラクタだらけのオモチャ箱を見つけた。
その中に、自分で分解してしまったブリキの蒸気機関車があった。
それをずーっと見つめていると、急に意識が遠のいた。



ドンドン!とドアを叩く音が聞こえる。
「父よ!このままだと仕事に遅れるけど大丈夫かい?」 という低い声。
私は手に持っていたタオルで顔を拭き、目を開けてみた。
自分の家の浴室に戻っていた…… というより最初からここにいたのだ。

ほんの10数分 (時計で確認した)、私が行って来た私自身の過去。
単純に気を失って夢を見ていたとは到底思えないが、信じられない思いもある。


私は職場に着くなり、実家の母に電話をかけた。

私 「あのさ、僕が5歳くらいの頃、40を過ぎた僕が訪ねて行ったとか
  そんなことは無かったよね」
母 「ああ、来たよ」

--- END ---

posted by hiroki |18:07 | 空想短編集 | コメント(4) |

2008年06月10日

新コンテンツ <第1話> エレベーター

次の試合まで間隔が空くし、シーズンオフ期間もネタが少なくなるし
元々コンサネタの割合が少ない私は、それに輪をかけるように
更に新コンテンツを作ることにしました。

そのコンテンツは 空想短編集 です。
私は結構空想するのが好きなので、浮かんだらエントリーしてみたいと思います。

では早速エントリーします……が、どうか期待しないで(笑)



【エレベーター】

その日、私は平日昼間の繁華街を歩いていた。
用を足したくなった私は、とりあえず雑居ビルの中に入りトイレを探した。
夜は賑やかな繁華街も平日の昼間は閑散としており、ビルには人の気配が全くない。
このフロアに、どうやらトイレは無いようだ。

ほかの階を探そうとしたが階段より先にエレベーターが目に入った。
私はそのエレベーターに乗ってみた。

スーッと閉まる扉。
階数表示はデジタル式。四角い画面に階数がオレンジ色で表示される。

地下1階へ行ってみることにした。
ビル入口の看板に、地下にも数件の店名が書いてあったからだ。
もちろんこんな時間だからまだ営業はしていないだろう。

B1のボタンを押した。
私1人を乗せたエレベーターが下降する。


「あれ? 1階分しか下がらないのに随分時間かかるなぁ」
まるで病院のエレベ-ターのようにゆっくりだ。
動いているのになかなかB1階に着かない。変だな……。

私は階数表示を見た。その瞬間、腰が抜けそうになり座り込んだ。
表示が B10・B11・B12・B13 …… と、どんどん下がっている!
「こんな雑居ビルに地下10階以上とかって絶対にありえない!」
どうしよう…… 表示を見つめるしかない。

B17あたりで元々ゆっくりだった下がり方が更に遅くなり
そしてB20の表示でエレベーターは止まった。
扉は閉まったままである。

私はゆっくり立ち上がった。「この扉の向こうに何があるのだろう……」
「いや開けちゃダメだ!何があるかわからない !!
1階のボタンを押して上に戻ろう。そしてこの怪しい雑居ビルから出よう!」
心の中で葛藤が続いた。

そして私の選んだ結論は……



私は震える指で開くボタンを押してみた。

少し間を置いてから、扉がスーッと開き始めた。



扉の向こうには…… 扉の向こうには……

私自身が立っていた。
扉が開いたところには、扉と同じ大きさの鏡があったのだ。

「これ以上冒険するのはやめよう」私は扉を閉めて1階のボタンを押した。
下がる時とは比べ物にならないスピードでエレベーターは上昇した。

エレベーターは1階に着き、扉が開くとそこは元の風景だった。
私は足早にエレベーターを後にし雑居ビルから外へ出た。
トイレに行きたかったことは完全に忘れていた。
外は何の変哲もない平日昼間の閑散とした繁華街だった。

-- END --


本気でプロの小説家を目指している実妹にこれを見られたら
……きっと指摘されまくりだろうな~ (笑)

posted by hiroki |18:41 | 空想短編集 | コメント(6) |