2008年01月26日

2008シーズンを前に思うこと

今季の試合日程も発表になり、チームはグアムでキャンプを始めました。
これからリーグ開幕までの1か月あまり、サポーターとしてはシーズン開始を待ち遠しくワクワク待ちながら、つかの間の充電期間でもありますね。


2007年は、5年ぶりのJ1昇格を決め、J2優勝もし、「最高の結果」で締めくくることのできたシーズンでした。
予想していた以上の好結果に、とてもハッピー!と天真爛漫でいられればよかったのでしょうが、すっかりスレてしまった私は嬉しいながらも諸手を挙げて喜ぶだけの心境ではありませんでした。

「あのころはこんなことを考えていたんだなあ」と後で振り返るための自分の備忘録代わりに、今思っていることや考えていることを書き留めておこうと思います。
反論や感想のコメントは大歓迎ですが、チームが始動したばかりのこの時期に素人のぐだぐだな机上の空論や杞憂を読むのはごめんだという方は、どうぞここから先は読まないでくださいませ。
しかもすごい長文になってしまいましたし。

あと「いまだにヤンツーとか言ってる人いるの? けっ!」という方も、お読みにならない方が無難かと思います。

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…というわけで、始めていいですね?(笑)


去年、開幕戦こそ躓いたもののシーズン序盤から快進撃を続けるチームに対し、私はいまいち乗り切れない思いで過ごしていました。
マスコミが「ここ数年ずっと低迷していたチームを就任初年度で劇的に生まれ変わらせた三浦マジック!!」と強調し、三浦コンサを称えるあまり過去数年がすべて無駄や失敗だったように扱うのにうんざりして反発したことや、攻撃パターンが後ろからのロングボールor両サイドが突破してサイドからクロスを入れる形orセットプレーに限られるという単調さに飽きてきちゃうこと、智樹の出番がないこと(爆)など、おまけ的な理由もありましたが、乗り切れない理由の核心はもっと別のところにありました。
それは、こういうやり方を続けていると選手の考える力や工夫が落ちるのではないか、決まったことをやるのに慣れてしまうのではないかという、素人ながらの(素人ゆえの?)懸念がいつも頭の隅から離れなかったからです。
大宮時代の印象とも相まって、私にとって三浦監督の戦術は、きちんとしている、やや特殊、ソリッド、堅い、というイメージがありました。監督の意図どおりちゃんとやれればうまくいく反面、汎用性に欠けるのではないかという先入観。その両面性(諸刃の剣)が私にとっては不安だったのです。
というのも、岡田監督の時代の2000年のことが頭に浮かぶからです。シーズン半ばころだったと思いますが、試合後のコメントでアウミールが勝因について「うちはいつも練習でやっていることを試合でやればよいから」と言ったことがありました。当時昇格争いの最大のライバルだった浦和は、斉藤和夫監督の采配や、ひいては練習メニューについてまで「なにやってるのだか分からない」とサポの間に不満や批判が渦巻いていたころでした。「練習のとおりやればよい」というアウミールのコメントは、浦和サポには羨望の的のように語られていました。当時の私は「その点、うちの監督はすぐれているから。」と誇らしく思っていました。
ところがその後、岡田さんがマリノスの監督になり、就任初期のころのマリノスについて後から「選手を型にはめすぎたのかもしれない」と振り返っていることがあって、改めてプロチームの監督の仕事の難しさを考えるようになりました。
ちょうど私が育成年代のサッカーに興味を持つようになり、選手の能力全般を伸ばす汎用性あるサッカーに関心が向いたことも、考えるきっかけとして影響したかもしれません。
マリノスは、岡田さんが「選手を型にはめていた」と振り返ったその時期こそが、3連続ステージ優勝を遂げるというもっとも輝かしい成績を残した時期でした。その後選手にもっと自由に考えさせて動かすサッカーへ転換しようとしましたが、成績があまりうまくいかず、岡田さんは結局そのシーズンの中途でマリノスを去ったと記憶しています。

確かに、プロチームのトップチームの監督はチームを勝利へ導くのが最大の仕事ですから、監督の分析力や戦術眼、選手の力を最大限に引き出して組み合わせる力が優れていることは大いなる武器です。むしろ、それがうまくやれないんじゃ監督がいる意味がないんじゃない?と思われるほど重要な事項なのだろうとも思います。でもその一方で、そういう「今あるもので最大限の効用を引き出す」ことだけに重きを置きすぎると、いずれメッキがはがれて先細りになるのではないかと思い、そのバランスが大事だよなあと改めて思うのです。
そういう思いがあったものですから、三浦監督の戦術と采配とチームの雰囲気作りが功を奏して、どう見ても「すごく強かった」とは思えない勝ち方であっても勝ち進んでいる状態は、嬉しい反面、三浦監督が去った後には何も残らない危険をはらんでいるように思えました。


しかしシーズンが進むにつれ、違うものも見えてきました。
それは「勝つことそのものにより得られる力」です。
チームが勝ちを重ねていることで、選手はこれまでより自信をもってプレーしているように見えました。勝っているから自信をもてて、意欲的で、それが新たなトライを生んだり、しんどくてもあと一歩のがんばりを生み、勝つことへの執着やこだわりを身につけているように思えました。チームの雰囲気がよいからチームとしてのまとまりができ、互いに助け合いカバーすることができる、だから思い切ったプレーをすることもでき、それでうまくいくとさらに高みを目指せるという好循環。
勝つ体験や勝利を目指す気持ちがないと本当の意味での実力は伸びないというのは、ユース年代での育成でも言われていることですけど。
こういう経験ができることは、単なる「勝ち点」以外に、まさしくチームが得ている「後に残るもの」なんだと痛感しました。
そう思うと、トップチームの監督の役割についても、相手チームの分析や戦術の対応は監督の仕事とすんなり割り切れる思いになってきました。ある意味、選手の仕事との分業というわけです。選手全員が高精度の情報収集・分析・判断能力を搭載していなくても、ある程度は監督に預けるのもエネルギーを他に使えていいかもね、と。もちろんそれで選手が頭からっぽになっちゃ困るわけですが、要はバランスだね、と。
何はともあれJ2で勝ち点を重ねてJ1へ行ければ、そこでまた違うステージが待っている。J1でやることで初めて得られること、伸ばせる能力も大きいはず。
そう思うと、J2の13チームの中で上位2チームに入ることの特殊性を考えたサッカーも悪くないねと、シーズン終盤には現状肯定的な気持ちが比重を増してきました。


そんなシーズンを過ごしてきて、今後のことを少し展望。

J1で戦うチームとしては、コンサは慢性的に資金不足、戦力不足の状態に置かれるチームだろうことは自覚しています。おもしろいサッカーがどうとか、どういう勝ち方が好きとか、なりふりかまってられる状態じゃないことも自覚しています。
まずはJ1に残留すること。それもできればあまり疲弊しない状態で残留できたら上々。
だから、今季も三浦監督が残留するための現実的なサッカーをしてくれるだろうことは期待しています。よろしくお願いします。って頼むしかない気持ちです。
ですが、だからといって「チーム作りは結局は資金力」とは認めたくありません。
それではコンサドーレは立ちゆかないから、そうではないやり方をやろうというのが「5段階計画」の理念だったはずです。
お金がなくて目の前のことに汲々とする状態であっても、始終おなかを空かせた状態であっても、明日のコメだけではなく将来へ向けた肥料やりを怠ってはいけないと思うのです。
三浦監督は、今のチームを勝たせることに専念するのが仕事です。そのためには監督の戦術を実現しやすそうな選手の補強をクラブに求めるでしょう。勝利のために練習情報の流出を嫌うなど、私にとってはクラブの地力を削ぐように思える要求をクラブやマスコミに対してすることもあるでしょう。(練習公開を嫌うことに対する私の不満は→こちらで。)
これに対し、将来を見据えた長期的なチーム作りを担っていくのはクラブの仕事です。たぶん、トップチームの監督にそういうことまで求めちゃいけないのです。これまで私はつい、求めがちでしたけど。
HFCでチーム作りを直接に担当しているのは三上大勝強化部長ですが、三上さんに対してはそういうことを十分に考えてくれているという信頼感があります。
今季の補強も、監督が欲しいタイプの選手をある程度揃えながら、でも長期的展望をもってコンサを「チーム三浦ONLY」にはしない工夫がされているように思いました。
CBの吉弘は、三浦監督の欲しいタイプにかなった選手でもあるのでしょうが、22歳という若い年代のしっかりしたCBはコンサにとっても喉から手が出るほど欲しい存在です。それを完全移籍で獲得してくれました。長くコンサの力になってくれることを期待します。
それとは別に三浦戦術では監督の意図を実現できる長身DFがたくさん必要ですが、三上さんは吉弘以外にも長身DFを何人かレンタルで補強しました。レンタルであれば今後のチーム作りの方向性によって獲得するなり戻ってもらうなり調節が容易ですものね。もちろん使えるお金とのバランスでもあるでしょうけど。
そもそも三上さんは、99年からHFCにいて、岡田コンサが昇格したときのことも、その後の降格も、選手の流出も財政破綻も全部見てきている人です。私がコンサやHFCについて思っている程度のことは先刻ご承知で、そのうえでどうしたらよいかを考えてくれていると思っています。
だって自分の仕事がかかっているのですもの。そりゃあサポとは真剣度が違いますよね。
だから私は去年のシーズンが始まる前、ヤンツーさんの後任監督にいろんな人の名前が取り沙汰されて、その中でも本命は三浦さんらしいと報道されたとき、三浦さんのサッカーはヤンツーさんのサッカーと基本的指向が違うからチームにとってよくないんじゃないだろうかと心配な思いもありましたけど、でも三上さんがそれがいいと考えるならそれが一番いいんだろうとも思いました。
素人の私が不安に感じたとしても、プロの目から見るとヤンツーさんの後を三浦さんが引き継ぐのがコンサにとって最善なんだろう、あるいは仮に最善ではないとしたら、最善のことができない事情が何かあるのだろうから無い物ねだりしても仕方ないし。と。

こういうふうに信頼できる人がHFCにいてくれるのは、ありがたいことです。
もっとも、心配性が高じると、三上さんに頼ってばかりだともしも三上さんがいなくなったらどうなるのだろうかと、それこそ杞憂のようなことも考えたりするのですが(笑)。
順風満帆に見えたジェフの状態とかを思うとね。
でも心配してもきりがない。
どんな組織でもずっと同じということはあり得ない。少しずつ人が入れ替わりながらそれでも続いていくもの。
コンサは三上さんひとりでできあがっているわけではない。
考えたくはないけれど、もしもいつか将来三上さんがコンサを離れるような事態になったとしても、それでも残っている人でやっていくしかない。にしんさんのこのエントリを見て、さらにその思いを強くしました。
今年のユーススタッフの体制も、きっとそうなんだよな・・。


ちなみに、去年の今ごろ私が考えていたことは→こちらです。
1年間で変わっているんだかいないんだか(苦笑)。

【追記】
ついでに、昨シーズン途中でそのころの心境を綴ったエントリをいくつかピックアップ。メモ代わりです。
2007/07/10 チームとの距離感(第26節あたり)
2007/10/10 腹くくって、行こう(第44節あたり)
2007/11/21 気持ちがすっきりした(第50節あたり)

posted by あきっく |18:43 | コンサ周辺のいろいろ | コメント(0) | トラックバック(0)

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