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2008年07月27日

秋春制のまとめ -メリット編-

秋春制のデメリットに続いて、メリットもまとめていこうと思います。
デメリットに関しては、拙稿『秋春制のまとめ -デメリット編-』を参照してください。
(※新潟戦の敗戦をうけて、この記事を出すタイミングを失いました・・・(・・;))


〇秋春制のメリット

1.『日本人の海外移籍がしやすくなる。』

私は、秋春制導入の最大の目的はこれだと思っています。
これによって最終的に、日本代表の強化を目指す意図があると思っています。
(※以前、前日本代表監督のオシムが今回の犬飼氏と似たような発言をして
物議を醸したこともあります。)


以前、私の記事(東芝からの遺産。)でも書きましたが、
海外のサッカーを知る人が、日本と海外の違いで口々にいうのが、
「下手だと思った選手が、試合では点数を取る」といった本番の強さ、メンタル面の強さです。

さらに、日本の選手は、テクニック面では引けをとらないといわれる一方で、
判断の遅さ、当たりの弱さを指摘されています。
そういった強さは、Jリーグにいたのでは身につけることは難しい。


また、根強い意見として、実力のある選手は放っておいても移籍するというものがあります。
それはその通りです。しかし、そんな実力のある選手が日本からポンポン出てくるなら、
日本代表の強化を真剣に考える必要はないでしょう。
現に、中田や俊輔の後に、それに続く選手は出てきていない。
確かに、日本はJリーグが出来てから強くなり続けてきましたが、この先もこのまま
強くなり続ける保障もありませんし、日本の進歩をその他の国が越えていけば意味がありません。


日本のサッカーが世界から注目されるのは国際大会、特にW杯の時だけです。
その時運良く声をかけられればいいですが、そうでなければ移籍の道は開けません。
(※従って、秋春制の導入年がW杯開催年と同一の予定になるわけです。)

そして、欧州のいわゆるイングランド、スペイン、イタリア、ドイツの4大リーグに
いきなり挑戦するよりも、松井のようにこれら4大トップリーグより若干下とされる
フランスなどで徐々に活躍して、徐々にステップアップしていった方が、現実的で失敗も少ない。
Jリーグから、いきなり欧州でもトップのリーグに行って活躍できないのは、
ある意味当たり前ではないでしょうか?
例えていうなら、JFLで活躍した選手がJ2をすっとばして、
J1で活躍できるかと言われれば、その可能性が低くなるのは明らかだと思います。
C・ロナウドだって、いきなりイングランドで活躍したわけではありません。


また、海外に行った多くの選手をあげて、その海外移籍の効果を疑問視する声もありますが、
海外に行けば必ずその選手が成長するとは限りません。
しかし、W杯で勝つために必要な選手は、海外で成功した選手です。
成功例を増やすには、数を増やして確率を高める、または、
一度海外でダメでももう一度チャレンジしやすくするしかありません。
そのためには、海外へ移籍しやすくするというのは必要不可欠の要素です。

多くの強豪とよばれる代表チームが、いわゆる4大リーグや欧州で活躍する選手が中心です。
世界がトップリーグでしのぎを削っている時に、
Jリーグがいくら進歩するといっても絶対的なレベルが違います。
サッカーもグローバル化の時代に、世界の流れに着いていかなかったら取り残されるだけです。

海外への移籍をしやすくし、人材を流動的にする。
そのためにもJリーグが彼らがダメでも戻ってきやすいようにし、
再びチャレンジしやすい環境を整えてあげることが大切だと思います。

中田や俊輔クラスがもっと沢山居ないと代表は強くなりません。
まして、彼らクラスの選手は、天才だから出るのが稀だと諦めてしまえば、
日本代表がこれ以上強くなることはないでしょう。
彼らクラスの選手をどれだけ沢山しかも継続的にだせるかという
工夫はしていかなければいけないと思うのです。


また、やはりシーズン途中での主力級の移籍は、お互いのチームにとって難しいと考えます。
チーム戦術の理解、コンディションの面でシーズン途中の加入は、大きなハンデとなります。


従って、上記の理由から代表強化にとって、秋春制によって海外移籍をしやすくすることが、
最も効果のある強化策だと私は考えています。



2.『海外(欧州)の有力選手がJリーグに来やすくなる。』

これに関しては、あまり期待していない面もあります(笑)。
高騰する選手の年俸や移籍金の問題があるので、
一時期千葉にオーウェンの話もありましたが、欧州の一流選手が
以前のJリーグのように来る可能性は高まるでしょうが、あまり現実的ではありません。


それに、日本の外国人選手の多くはブラジル人です。
ただ、ブラジルは選手を欧州や日本に引き抜かれるのが常態になってしまっているので、
選手が引き抜かれてしまうことに諦めを感じているのかもしれません。



3.『本州のうだるような夏の暑さの中、サッカーをしなくてすむ。』

これは、札幌にとってはアウェイで気温差によるコンディション調整はしやすくなる
というメリットはありますが、ホームでは比較的夏も涼しい北海道でそれほどメリットはありません。
むしろ、7月はサッカーをするにも観るにも良い季節です。



4.『夏の中断期間のキャンプ地が涼しい北海道になる可能性がある。』

例えば、夕張などのサッカー場を抱える自治体には朗報になるかもしれません。
プレシーズンマッチも北海道で見れるようになるかもしれませんね(笑)。



5.『その他。』

後は、代表が欧州に遠征に行ったり、欧州の強豪国と親善試合を組みやすくなる可能性はあります。


上記以外に何かメリットがありましたら、コメントいただければ幸いです。





文章の量を見てもらってもわかりますが(笑)、
1が、秋春制導入の唯一にして最大の理由だといっても過言ではありません。

確かに、いくらメリット、デメリットを考えてもやってみないことにはわかりません。
しかも、欧州と開催期間を同一にしたところで、移籍はしやすくなりますが、
その結果、日本人の欧州移籍の数が増える保障はありませんし、まして、欧州のトップリーグで
活躍する選手が増える保障などあろうはずもないという指摘はその通りです。
そのような不確実なことのために、秋春制導入によるデメリットで
上げたような多大な犠牲を払ってまで現行制度を改める必要性があるのか?

現状のあらゆることが、秋春制に不利に働く状況です。
それは現行制度がそのように動いていることもあり、認めざるを得ない事実です。
しかし、唯一つの出来事が起こるだけで、それは一変してバカな選択ではなくなる可能性があります。


それは、日本のW杯アジア予選での敗退です。


考えたくもないことではありますが、可能性として0ではありません。
このW杯に出場することが、半ば当たり前と認識されつつある日本で、
その出来事が起こった時の衝撃は、想像できません。

あくまで可能性の話ですが、その結果、代表強化が叫ばれあらゆるものが一気に
代表強化一色に変わる可能性があります。そして、代表強化を金科玉条として、
世論の圧倒的な後押しのもとに、数の論理で多少の犠牲を厭わなくなり
雪国を無視してなし崩し的に、秋春制の導入が決定されるというシナリオもないとはいえません。

そういう状況になる前に、札幌側から秋春制導入に譲歩を示し、
JFAおよびJリーグからの最大限の譲歩を今のうちに引き出すという戦略も成り立ちます。

脅かすつもりはありません。しかし、秋春制が選択肢としてありえないとして、
そこで思考をストップしてしまうと実際にそうなってしまった時に、慌てることになります。
現状のあらゆるものが、その実現の困難さを示していたとしても、
状況が変われば、優先順位が変わりその制度が実現されないということにはならなくなってくる。


大切なことは、どう転ぶにしても、メリット、デメリットをしっかり検討した上で、
トラバしていただいたGekiteiさんが指摘されていたように、HFCには
どちらにでも対応することが出来るよう今から準備を進めておく強かさが必要であると思います。


ちょっと前のカップヌードルのCMで、SMAPの木村拓也さんが、 

「変わるって、すげー勇気いると思う。 でもさ、その分変わったときって、 
なんか今までにない新しい価値を手にできるときなんじゃないかな。 ちがう?」

と言っていたのを思い出しました(笑)。

posted by whiteowl |17:09 | 秋春制について | コメント(6) | トラックバック(2)

2008年07月26日

秋春制のまとめ -デメリット編-

秋春制のメリット、デメリットがだいぶ上がってきたので、まとめてみたいと思います。
具体的なスケジュールなり導入の目的、実現への具体的対策がJFAから
示されているわけではないので、現状では推測の域を超えないことを予めご了承ください。
(※長くなったので2回に分けます。)


〇秋春制のデメリット


1.『冬期間に試合をする可能性が高くなる。』


秋春制導入で一番心配されているのは、この部分です。
札幌の場合、現状の3月下旬の開幕ですらドームの芝生の雪かきに始まり、
宮の沢の練習場も雪で埋もれ、道外でのキャンプを余儀なくされています。
12月に行われている天皇杯もトーナメントの上に行けば行くほど、決勝が元旦のために
札幌は道外でのキャンプを余儀なくされています。

札幌に限っていえば札幌ドームがあり、また、ホーム集中開催によって試合をする分には、
この冬期中断期間をより短いものにすることは、可能だとは思います。

ただ、問題は練習場の確保です。
漫画キャプテン翼の松山くん率いる富良野は、雪中サッカーで足腰が鍛えられて
強くなったことになってましたが、やったことがある人ならわかると思いますが、
雪中では、普通にドリブルすることも困難です(笑)。

そのため、最低、屋内練習場を完備する必要はあると思われます。
冬期中断を短くするならば、そこに対する雪国特有の出費を
JFAなりJリーグがフォローしないなら、雪国切捨てといわれても仕方ありません。

従って、この冬期中断期間を短くすることは、
特に、練習場の面で札幌にとって大きな負担になる可能性があります。

また、冬期中断期間が現状と同じで3ヶ月とするならば、
長期間休みに入ることになり、慣れの問題や前後期制を考えるとしても
1つのリーグとしての継続性を保てるかという問題も発生します。


2.『大卒高卒新人の加入が、シーズン途中になってしまう。』

言うまでもなく、日本の学校は4月始まりの3月終わりなので、
新人の加入は前倒ししたとしても、早くて2月ということになります。
そうなると、シーズン途中での加入ということにどうしてもなってしまいます。

ただ、この問題については、
クラブのユースにいる選手は、在学中であっても登録さえしていれば、
試合に出られますし、学校に所属している選手も練習の面でユースより更に
厳しくなると思われますが、特別指定選手の枠でより早い段階で
Jリーグの試合に出ることは現状でも可能です。
また、冬期中断期間が現状と同じだけあるとするならば、
新加入選手をチームにフィットさせる時間はあると考えられます。


3.『冬期間は集客が望めない。』

実は、これは様々な要素が絡んでくるので場合によってはそうともいえないと思っています。

積雪があると外出したくなくなるというのは、雪国ならわかる実感なのですが、
それを否定する要素もあるからです。

①プロ野球の試合がないこと。
②今まで高校サッカーや天皇杯は正月に行われてきたことあり、(日本海側を除く)関東以南では、
「サッカーは冬のスポーツ」というイメージがあること。
③サッカーは運動量が多いスポーツなので、暑い夏より寒い冬の方がプレイしやすいので、
夏よりも質の高いサッカーができる可能性がある。

つまり、1の理由も併せて、
札幌にとって冬に試合をやることは大きなハンディキャップなのですが、
関東以南のチームにとっては、それほどデメリットを感じないという現状があります。


4.『試合スケジュールがきつくなる可能性がある。』

1で示したように、冬期中断期間を3ヶ月設定した上に、夏休みをとると、
(※その両方の中断期間をどれくらいに設定するかにもよるのですが、)
今よりも年間にこなすことができる絶対的な試合数が少なくなる可能性があります。

ここで問題になってくるのは、
①ナビスコカップと天皇杯のカップ戦をいつするのか。
②今後22チームにするというJ2の試合数は確保できるのか。
といった問題が浮上してきます。

繰り返しますが、夏休みと冬休みの設定期間にもよるのですが、秋春制導入によって、
J1とJ2の総チーム数や総試合数、カップ戦の開催時期や廃止なども考える必要性が出てきます。


5.『日本国内の他リーグとの整合性』
(※指摘により、追加しました。)

学校関係のリーグは、4月始まりの3月終わりの日本の学校にあわせるしかありません。
(※学年をまたぐと選手が変わってしまいます。)

また、Jリーグが秋春制にするなら、将来J2とJFLとの入れ替え戦も考えられており、
そうなるとJFLも変えるのかという問題が浮上してきます。
そして、JFLを変えると地域リーグも変えることになりと・・・。

しかも、JFLのチームには流通経済大学(しかも現在18チーム中10位!)も
含まれていますから、現状でJFLを秋春制にすることは難しいということになります。


JFAで川渕前会長がキャプテンズ・ミッションというのを推進していて、
11のミッションを掲げています。
http://www.jfa.or.jp/jfa/mission/

そのミッション8に、「リーグ戦の推進と協議会の整備・充実」があります。
そして、ここに地味ながら、「年間カレンダーの整理」というのがあります。
これだけだとどう変えるのかは全く見えてきませんが、変える気だけはあることは分かります(笑)。

ただ、一ついえるのは、現行が4月始まり3月終わりで全て回っているので、
それを動かすのは難しいということです。それを言い始めると何も出来ませんが。


6.『その他。』

現在Jリーグは、外国人枠にプラスして、アジア枠の検討をしています。
そこに入ってくるであろう中国と韓国は、春秋制という問題なども考えられます。

細かい点については、まだ指摘しきれていない点もあるかもしれません。
(※他にもこんなのがあるよというのがあれば、コメントください。よろしくお願いします。)




以上の点と事の発端である、犬飼JFA新会長の早急とも思われる
「2010年に秋春制に移行したい」発言を考えると、中断期間の設定をどうするにしても、
J1とJ2のチーム数を変えたり、冬期中断期間を短くするためのインフラ整備の
準備期間が短いので、何も具体的なものが出されてはいないものの、
2010年での秋春制の導入は、現状でも十分雪国の地方チーム札幌の負担が
増える懸念は払拭されないことはわかります。


ただ、なぜ今から2年もない2010年からなのかということに実は意味があると考えます。
また、Jリーグの鬼武チェアマンも、(さっそく犬飼改革!J「秋春制」検討)
>「10年になるのか14年になるのか、やらない方がいいのかも含めて考えていきたい」
と発言しています。

2010年と2014年に何があるかといえば、それはW杯しかありません。
これは、W杯によって、(出場できればですが、)日本のサッカーが注目を集め、
日本人の海外移籍が盛んになる可能性があり、その時に移籍しやすいように
シーズンを欧州と同じにする。そして、日本人選手の海外移籍を活発にして、
その結果、日本代表の強化をはかるという意図があるものと考えます。


次に、この海外への移籍のしやすさを中心に秋春制のメリットについて考えていこうと思います。

posted by whiteowl |14:27 | 秋春制について | コメント(9) | トラックバック(3)

2008年07月24日

秋春制に反対する人への疑問

Jリーグが秋春制の導入を検討していることに対して、北国札幌は大反対の様です。
しかし、私はこの議論に非常に噛み合ってないというか違和感があります。
(※反論のある方は、お手数ではありますが、昨日の拙稿秋春制に私は賛成です。
をお読みになってからにしていただけると助かります。)

まず、反対する人に聞きたいのですが、
秋春制を導入すると冬に無理やり試合をしなければいけないのでしょうか?
反対する人の多くが、北海道で冬に試合をするのは不可能だ、若しくは、
ドームでやったとしても積雪や寒さのために観客動員が見込めないなどの反論を掲げています。
もし、冬に試合をすれば仰るとおりだと思います。

しかし、私が腑に落ちないのは、なぜ秋春制は冬に試合をすると決めつけるのでしょうか?
むしろ、ヨーロッパでも積雪のある北欧、中欧の国々は、
秋春制ですが冬期中断期間が1ヶ月~3ヶ月あることの方が普通です。

昨日のブログにも書きましたが、2010年からの導入を検討するということは、
冬期間も試合をするとしても、いきなり全天候型のドームを全ての雪国
チームにつくることは不可能ですから、そもそもインフラ的に実現不可能です。
なぜ、秋春制でも中断期間を設定するという発想が頭からないのでしょうか・・・(・・;)

現行でも、3月下旬から12月上旬までリーグ戦があるので、
その日程を大幅に変えない限りは、秋春制にしても現状とさしたる違いはないと思うのですが・・・。



次に、秋春制を導入したところで海外へ移籍する日本人は少数で、
そんな少ない人のためになんで多くの人が迷惑を被らなければならないのか?
という意見もよく見ます。

では、このままで日本代表は強くなるのでしょうか?虎穴に入らずんば虎児を得ずです。
欧州のトップリーグで何人活躍しているかが、現状その国のサッカーレベルを
表しているといっても過言ではありません。
そして、日本代表が強くなることは、日本のサッカー界にとってもプラスだと思います。

日本を代表する選手たちが世界的なトッププレイヤーであることは、
そのスポーツにとって大きな魅力になるはずです。
中村俊輔が海外で活躍することが、日本のサッカー人気に繋がります。

そして、残念ながら、現状、日本代表を強化する抜本的な方法が、
レベルの高い欧州でプレイする選手を増やすくらいしか考えられません。
少しでも選手を海外へ送る工夫をしなければ、南米や欧州との差は
いつまでたっても埋まらず、W杯で勝てません。


日本代表のためなら何をやってもいいのか?日本代表のために
地域密着のJリーグが犠牲になる必要はないという意見もあるでしょう。

野球とサッカーの魅力の違いの一つは、世界に繋がっているかいないかです。
野球はアメリカのMLBが協力しないので、世界大会も盛り上がりません。
それに強い国が限られていて、サッカーに比べて世界的にチーム数も少ない。
(※そもそも一国の王者を決める試合をワールドシリーズと呼称したり、
その勝者がなんでワールドチャンピオンなんだと・・・(・・;))

野球は日本代表が強かったので、アメリカがベストメンバーではなかったとはいえ、
WBCは国内的に大いに盛り上がりました。
世界的にみてトップレベルで活躍するその他のスポーツが日本にある以上、
サッカーもその水準にある必要があります。
やはりバレーボールを見てもそうですが、
代表が強くないとそのスポーツそのものが盛り上がらない。
例えば、今後もW杯に出ても1勝も出来ないとか、
もしくは、この先、W杯に出場すらできなかったとしたら、
日本のサッカー人気はどうなるでしょうか?
代表が弱いことは、サッカー界に未来がないことと同義でサッカー人気も先細りする一方です。

秋春制反対の方に、秋春制導入以上の効果のある日本代表強化策はあるのでしょうか?
このままで日本は、W杯で勝てる国になるのでしょうか?
そして、日本代表とJリーグの人気は本当に別物だと言い切れるのでしょうか?

posted by whiteowl |23:48 | 秋春制について | コメント(32) | トラックバック(2)

2008年07月23日

秋春制に私は賛成です。

事の発端は、日本サッカー協会の犬飼基昭会長が22日、↓の発言をしたことに始まる。
Jリーグが10年から秋春制に変更を検討
>Jリーグの開催時期を現行の春から年内までの「春秋シーズン制」から欧州で一般的な秋に
>開幕して翌年春に閉幕する「秋春シーズン制」に2010年秋から変更する方向で検討していることを明らかにした。


軒並み反対意見が多いので、賛成というのも気がひけるが、私は秋春制に賛成である。
大まかなメリット、デメリットは前出の記事から↓のようになる。

>Jリーグのシーズンを欧州に合わせることは、外国人選手の獲得や日本人選手の海外移籍の面で利点がある。
>当初は06年をめどに「秋春シーズン制」に移行する方針を01年に固めていたが、
>積雪地帯にあるクラブの試合会場や練習場の確保、春に卒業する高校生や大学生の受け入れ
>などでの問題が解決できずに導入が見送られてきた。

早速、矢萩新社長も
Jリーグ秋春制移行検討 HFC社長が会場確保など問題点を指摘
冬期間の会場と練習場所の確保が難しいという話をしている。

しかし、犬飼新会長は2002年から浦和の社長に就任しており、この問題は既知であろう。
まして、氏が冬に試合をしたいといったところで、12月から3月までは、
北国での開催は実際問題不可能である。現行のリーグは3月下旬開始の12月上旬終わりだが、
百歩譲っても札幌は12月中旬から3月下旬までは試合は無理なので、
この開催時期については動くことはないと考えます。
(※ただし、この期間をもっと短くするというのであれば、話は別。
それは断固無理だと主張するべき。)

これを動かすとなると現状でもかなり厳しい上に、他のチームにも
冬も試合の出来るドームを作ることはすぐにはできない。
また、そもそも2010年開始予定であるなら、
中断期間を短くするためのインフラ整備が間に合わない。

そうなると冬に3ヶ月近い中断期間があって1シーズン制を導入すると考えるのが妥当である。
ただそうなると、長い中断期間のために1シーズンとして
ちょっと分かりにくいなというのが一つの問題点だと思われます。

それについては、equipさんが、秋開幕のシーズンで、
冬期中断期間の実際の例を示してくれている。(以下抜粋)


3、冬期の中断期間の設定
  ここでは3つの国の例を出します

  ①ドイツ・ブンデスリーガ(1部18チームの2回戦制で34試合)
   2005~2006シーズン
   8月5日~12月17日(17試合)
   1月27日~5月13日(17試合)

  ②オーストリア・ブンデスリーガ(1部10チームの4回戦制で36試合)
   2006~2007シーズン
   7月19日~12月9日(21試合)
   2月24日~5月20日(15試合)
   ※オシム氏はこの国のチームの監督経験があります

  ③チェコ・ガンブリヌス・リーガ(1部16チームの2回戦制で30試合)
   2006~2007シーズン
   7月29日~12月2日(17試合)
   3月10日~6月15日(13試合)


チェコのように、3ヶ月近い中断期間が存在するリーグは実際にある。

equipさんが、ここで考察されているようにナビスコカップ、天皇杯などのカップ戦の見直し、
J1とJ2の総チーム数と総試合数の見直しなどが必要になってくるでしょうが、
現行の試合開催設定期間のまま、秋始まり春終わり(というか夏終わりですが(笑))
にすることは、可能だと考えます。


これから先は、秋春制を導入したとしても冬に3ヶ月近い中断期間があるという前提で話をしますが、
そうであるなら、練習場に関しては、結局、現状その期間はキャンプを張っており今と変わりません。
(※降雪地帯には、金銭的な補助があっても良いとは思いますが。)

日本は3月終わりなので新人の加入問題もありますが、これも3ヶ月間の中断期間があるなら、
現状と変わりませんし、その間にチームにフィットさせることは可能だと考えます。

ただ、前述のように3ヶ月というかなり長い中断期間を設定してしまうと
1つのシーズンとしての継続性を保てるのかといった心配もあります。
しかし、以前のJリーグがそうであったように前後期制で2つの優勝チームを出す必要はない
とは思いますが、中断前と後の前後期制だと思えばいいのではないでしょうか?
チェコでは、実際そうやっているのですから後は慣れの問題かと・・・。


私が秋春制に賛成する最大の理由は、日本人の海外(欧州)移籍がしやすくなるからです。
この問題については、本当に実力のある選手なら開催期間に関わらず、
移籍するはずだという声があります。
確かにそうです。ただ、移籍のしやすさは格段に違います。

卑近な例でいうと、留学があります。
欧米は、概ね学校も秋春制なので、9月頃に始まります。
日本の学校でも色々と制度面での工夫をしていますが、
この学年の始まりの問題は解決が出来ません。
日本と欧米の学校との空白の期間、語学研修をするなどしています。
また、編入するとなると、学年をまたいでしまうので、
単位の認定・評価や学習内容、途中からなので学校に慣れるのもまた大変です。
学期の始まりの違いが留学をする上で大きな障害になっていることは間違いありません。
同じようなことは、サッカー選手の海外移籍にもいえるのではないでしょうか?


日本代表を強化したいなら、もっとレベルの高い欧州で
経験を積む選手が増えないと強くならないと考えます。
やはりオファーがあっても、シーズン途中でチームを抜けることは気持ち的にも難しい。
ですから、日本代表の強化を狙うなら、秋春制にした方が良いと思います。

海外の有力選手が日本に来やすくなるということもあるでしょうが、
まじめに日本代表を強くしたかったら、秋春制は効果あると思いますね。

最近、人気の凋落がいわれる日本代表ですが、そもそも代表が強くないと
サッカーそのものの人気が上がらないのではないでしょうか。
そして、本気で強くなりたいなら日本のサッカーは変革の時期に来ていると思います。

posted by whiteowl |12:05 | 秋春制について | コメント(8) | トラックバック(2)

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