2008年10月23日
ゾーンディフェンスを考える。 -その6-
さて、久々の復活となりますが、今回のゾーンディフェンスを考えるは、 三浦監督が、その戦術をどう修正しているか考えていきたいと思います。 以前のゾーンディフェンスを考える。 -その5-で、
◎図1 (●・・・守備者 ○・・・攻撃側 ◎・・・ボールホルダー) ◎ ○ ↓ ● ×←●(※ここにスペースが出来るので左にヘルプにいけない)
>上図1のように、ボールホルダーに対して、常に1対1なのです。 >左右から挟もうとするとラインが崩れてそこにスペースが出来るので、 >基本的にヘルプに行きません。 という点を指摘しました。これは修正されてます。 どう修正されているかといえば、(※下図2参照。)
◎図2 (●・・・守備者 ○・・・攻撃側 ◎・・・ボールホルダー) ◎ ○ ↑ ←● ● ←● ←●
全体的に選手がボールサイド(ボール側)にスライドして、ボールホルダーに対して 二人がプレスにいってます。そして、ヘルプに行った選手があけたスペースを その隣の人が埋めてカバーリングするということをしています。(※上図2参照。) また、ゾーンディフェンスを考える。 -その4-で指摘した >4-4-2の4-4の2ラインによって自陣のゴール前に >2枚のゾーンの防御網を張り、その陣形を極力維持することで、 >自陣に相手に使われるスペースを消し、相手に自陣に侵入する隙を与えないこと。 >しかし、その一方で、陣形を維持することのみに囚われるとボールホルダーへの >プレッシャーが弱くなり、流石にノープレッシャーでは、J1の高い技術の前に >精度の高いクロスやミドルシュートを沢山蹴られる結果となっていること。 >そして、この2つのバランスをどうするかが一つのジレンマである。 このジレンマも、以前より、明らかに球際に強く当たりに行くように なっていますし、マークも厳しくなっています。 ただ、人に付いていくことが多くなったので、その結果、 DFラインにスペースを作ることも多くなってきました。 しかし、以前からやってはいたのですが、DFラインの選手があけたスペースに対しては、 2列目の中盤の選手がカバーに入っています。(※図3参照) さらに、チームとしてだいぶこなれて来た感じはします。
◎図3 (●・・・守備者 ○・・・攻撃側 ◎・・・ボールホルダー) ◎ ↑ ● ●(2列目の中盤の選手) ↓ ↓ ← ← ● ● ● (←DFラインはここ)
上図2と図3であげたように、また、その他の所でもチームとしてカバーリングが 以前に比べて、しっかり出来るようになっていると感じています。 特に、この間の柏戦でそれをすごく感じました。 それが、負けはしましたが、私があの試合で選手を評価していた点でもありました。 上を見て、そんなこともできなかったのかと思う人がいるかもしれません。 それは、そんなこともできなかったともいえるし、一人ではなく チームで行うわけですから、そんなことをするのが難しいといえるかもしれません。 毎日のように練習しているのですから、当たり前なのかもしれませんが、 日々、戦術の完成度は上がっています。 この間の柏戦の前半を見ればわかるように、カバーリングが上手くいってるときは、 J1でも守備が大きく破綻することは無かった。(※1失点目は、セットプレイ。) 今の選手を出来るだけ維持して今の戦術を実行できれば、 J2なら通用するレベルにあると私は思っているので、正直もったいない。 このやり方をリセットして、もう一度作り直すとなると、 ここまでくるのにこれだけ時間がかかったのですから、 再び次の戦術の完成度を上げるまで、かなり時間がかかるのは目に見えています・・・(・・;) 従って、J2最下位になっても育成をメインにするというならまだしも、 1年でのJ1再昇格を狙うなら、よっぽどの監督でもない限りは、 私は監督交代の方がギャンブルだと考えています。
フランスの1部リーグに、リヨンというチームがあります。 昨日のスペインのセビージャの話札幌とセビージャ(セビリア)FC。ではないのですが、 今でこそフランスリーグを7連覇する強豪ですが、それまではエレベーターチームでした。 さて、リヨンの転機は、同じ監督による長期政権を基本としたことにあるとされています。 リヨンの監督は、自分が辞めると言うか、どこかに引き抜かれてしまった場合を除いて、 3年以上同じ監督による長期政権になっています。 個で対抗できないチームは、組織を磨くしかありません。 しかし、組織をつくるには時間がかかるということを、もう一度考えなおすべきだと思います。
posted by whiteowl |13:24 | Tactics (戦術) | コメント(8) | トラックバック(1)
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ゾーンディフェンスを考える。 -その6- - whiteowl's Point of View | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ
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Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-
前回の セビリヤFCの時もコメントしようと思ったんですがしませんでした。
いい話ですよね。これからコンサがどのようにしてチームを 強化するのかって言う話ですよね!
正しい選択でしょうね。
未だに決まらないチームコンセプトなど よく考えれば解かることかなと....!
さらに悪化する強化費考えれば おのずと先見えませんか?
こんな簡単な事に 本気で悩んでる強化部及び首脳陣プロじゃありません。
やるべき事は あるはずです。
コンサの為には やる事決まってます!
と怒っておきました。
posted by プリオール| 2008-10-23 22:35
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-(プリオールさんへ)
>未だに決まらないチームコンセプト
私が考えるポイントは、
・ユースとスカウトの強化。
・チームカラー(どういうサッカーをするのか)の固定。
・そのサッカーの実現をクラブがサポートする体制をつくる。
だと思います。確か、equipさんも同じような点をあげていたと記憶しています。
まあ、ただ、チームカラーをどうするのかというのは揉めるかもしれませんね。
私も札幌時代の岡田サッカーを観て、観には行ってましたが、
よくこんなつまらない試合を金払ってみてるなと思っていた人ですから(笑)。
当時のTVの実況で、泥臭いサッカーが札幌のスタイルだと言っていたのも、
そんなサッカーださいとも思ってましたしね(笑)。
まあ、私も若かったということで(笑)。
posted by whiteowl| 2008-10-23 23:08
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-
最近負け続けているし、(良い試合が少ないんで)そこまで本気で見ていなかったんで忘れたんですが、ゾーンの基本である、ボールサイドにシステムをスライドさせるというのは、コンサではどの有効に出来ているんでしょうか。
また図3に関してCBがカバーすべきである場面も多々あると思うんですが、それが難しい程度にCBはスピードが不足していると考えますか?
私にはサイドの選手が遅らせながらサポートを待ち、(4-4-2なのでもう一人サイドにいるはず・もしくは中央がサポートするにしても後ろではなく中央へのパス・ドリブルコースを切りながら)システムをボールサイドにスライドさせ、CBが中央と一緒にサイドにも目を配るべきだと思うんですが。これだと中央にスペースが出来て、パス、ドリブルの両方の可能性が出来てしまいます。
またラインの駆け引きについてや、総合的な強度とウィークポイントについての考察も知りたいです。
あとコンサのボール奪取はどのように行われているとと考えますか?
posted by ねこじゃらし| 2008-11-04 08:21
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-(ねこじゃらしさんへ)
>ボールサイドにシステムをスライドさせる
今季の前半戦に比べてですが、明らかにボールサイドに寄せるようになっています。
前半戦は、1対1で孤立する場面が多かった。
後半戦は、数的優位を作ってボールを奪取する場面も増えてます。
ただ、サイドではボールを追い込めるのですが、中央ではまだ追い込めていません。
>図3に関してCBがカバーすべきである場面も多々ある
図3は、わかりやすい一例として挙げました。
CBがスライドしてカバーに入る場面もあります。
足が遅いというか、確かに寄せは甘いと思いますね。
>サイドの選手が遅らせながらサポートを待ち
というかですね、これが出来てないんですよ。
1対1で、すぐ負けちゃうから、他の選手がカバーリングする時間もないので、
足が遅いとかCBだけのせいでもない。
ええ、本当こんなとこから出来てません・・・(・・;)
>ラインの駆け引きについてや、総合的な強度とウィークポイントについての考察
ちょっと簡単には答えられないような質問ばかりですが(笑)
ラインについては、特に中央でボールを持たれたときにボールホルダーに
プレッシャーがかかっておらず、ズルズルただ下がるだけという場面が多いですね。
しかし、基本的に、ラインは低いですね。低すぎます。
PA内にラインがあるとかも普通なので、マイボールになった時などに
思い切ってもう少し上げる意識が必要です。
>コンサのボール奪取はどのように行われている
基本的には、自陣を均等にゾーンで守備をしてスペースをつくらないようにして、
相手にロングボールを蹴らせてそれを奪うというコンセプトだと思いますが。
そういうことではなくてですか?
posted by whiteowl| 2008-11-04 13:35
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-
最近気づいたんですが、ユベントスが三浦札幌と守備の方向性が同じです。前線でプレスをかけて奪いに行くのではなく、相手のパスコースを消しつつ、じっくり待ちかまえています。当然ですがやってるレベルは圧倒的に高く、その守備力は世界屈指といえると思います。
コンサとの最大の違いはラインの高さ、CBのポジショニングセンスにあると思いますが、全ての面で質が高いです。
結構考えさせられる守備なので、見てみることをおすすめです。レアル戦などは、ポゼッションで圧倒されつつも、守備の破綻がほとんど見られませんでした。
未だ発展途上のチーム、これからいっそう進化する可能性もあります。最近のプレス主流の流れの中では、珍しいと思うので、これからのユベントスに非常に興味を持っています。
posted by ねこじゃらし| 2008-11-21 10:26
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-(ねこじゃらしさんへ)
ユーべの例をあげていますが、横に2ラインを敷く4-4-1+X系の布陣は、
基本的に札幌の守り方と同じだと感じています。
ACL決勝、アウェイ前半のガンバの守り方も複数でプレスに行くというより
コースを限定させて、待ち構えるという感じでした。
アリゴ=サッキ以来、DFラインを高くしたコンパクトな布陣と
プレスがセットになって考えられるようになっていますが、
そのプレスの考え方の違いだと思うんですよね。数的優位をつくってボールを取りに行くのか、
ボール奪取よりも自陣にスペースを作らないことを優先してコースを限定するのか。
どちらにしても、コンセプトの明確化と1対1での守備の強さは必要だと思いますが・・・(・・;)
posted by whiteowl| 2008-11-21 20:14
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-
そうですね。コンパクトならどっちもアリだと思いますが、コンサみたいにラインが低いと、プレスすると死にますね。ただ、今の札幌はそれ以前にミスで自滅しているんですが。
ユベントスは教科書みたいだったので、思わず書き込んでしまったのですが、有名チームですからすでにご存じでしたね。以前のショートカウンタースタイルと少し変わった感じがして、いろんな意味で新しさを感じました。
なんで三浦さんはラインを高くしたかったのか、ユベントスは本当にわかりやすい。
posted by ねこじゃらし| 2008-11-23 15:43
Re:ゾーンディフェンスを考える。 -その6-(ねこじゃらしさんへ)
ミラン時代のアリゴ=サッキは、DFラインをあげて全体をコンパクトにしたんですが、
チェルシー時代のモウリーニョは、DFラインを下げて全体的に退きつつコンパクトにしたので、
三浦さんは、どちらかというとモウリーニョ型だと思います。
当然、ラインを低く設定するとFWの決定力やサイドの選手の縦への突破力が
重要になってくるので、それがないと攻撃ができない。
だから、全体を押し上げることで何とかそれを補おうと
J1に上がってラインを高くしたのではないでしょうか。
posted by whiteowl| 2008-11-24 22:58