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2011年01月30日

熊に襲われて死ぬ事件

春や秋に、山菜などを採ろうとして山に入った人達が、熊に襲われて負傷したり死亡する事件が起こりますが、それは異常な大事件なんだろうかと考えることが時々あります。(もちろん食い殺されるなんて嫌だけど)

実際には、熊は人間を食べようとして襲っている訳ではなくて、手っ取り早い強力な武器は牙だと思っているから口で噛んだだけなのに、それを食い殺そうとしたと誤解されたのかも知れません。

熊にしてみれば、人間と鉢合わせしたのでビックリして人間を追い払おうとしたつもりが、ちょっと前足で小突いたら華奢な人間の首が折れてしまった、というだけの「過失致死」かも知れません。

森の中などで出遭った動物同士が優劣を決める場合、まずは体の大きさ(≒腕力の差)で比較します。
そのために後足で立って相手と見比べ、「この相手には敵わない」と思った方がスゴスゴと引き返すし、双方とも自信がある場合は取っ組み合いになって(自主)判定に持ち込みます。

人間が立っている姿を正面から見た場合、その身長は熊が四つんばいになっている肩の高さ(=体高)よりは高いでしょう。
そこで熊は、後足で立って自分を大きく見せながら相手(人間)と比較しようとする訳です(多分)。

四つ足で歩いてる動物からすれば、正面から見た高さが人間の体高であると解釈し、見えている頭と前足の背後には、さらに胴体と後足も繋がっているに違いないから、どんだけ巨大な怪物なんだろうと想像するはずです。

ところが人間が背を向けたり横を通り過ぎたりすると、実は頭の後ろには胴体も何も付いていなくて、正面から見た姿は芝居のカキワリのようにコケ脅しだったんだ、と気付くでしょう。

この世に後足だけで歩く動物がいるなんて夢にも思わないから、龍頭蛇尾どころか頭と前足だけの怪奇な動物が誇大広告を打っていることに騙されていたと、怒り心頭に発しても不思議ではありません。

その事実を認識すると俄然、熊の方が精神的にも体格的にも優位に立つから、こんな虚勢を張った卑劣な動物を許しておくことは出来ないんでしょう。

熊仲間から聞いた噂として、人間は大きな音が出る卑怯な飛び道具を使って自分達を殺そうとしているらしいから、正々堂々と腕力で勝負して懲らしめてやらねば、とも思うでしょう。

会社の同僚が定山渓の林道脇で見付けた羆の死体(検視中)
熊は死して皮を残す

 
地球上に生きている動物の宿命として、他の動植物の体を消化して自分の命を維持しなければならないのだから、人間が他の生物の命を奪うことは避けられません。

次善の策としてベジタリアンになるとしても、育てた植物を収穫して食べることと、養殖した魚や牛を殺して食べることとの違いは、(自分には)明確に答えられません。

強い動物が弱い動物を殺して食べることは、自然界では「アタリマエ」の生き様であって、天敵に殺されて食われることは「自然な」生き方・死に方なのだから、仮に熊が人間を食い殺したとしても、それはやはり「自然な」生き方・死に方のうちの一つであるとも見なせます。

一方で、頭だけ発達した動物が強力な武器を使って他の動物を殺し続け、しまいには絶滅させてしまうような行為は、「自然な」生き方どころか「独裁」や「横暴」になってしまいます。

 
毎年、日本国内だけでも1万人という桁の人間が交通事故で死んでいます。
交通事故とは、戦争と同様に人間同士が殺し合うという行為であって、凡そ他の動物では例を見ない、特異で不自然な行動と言えます。

こんな殺し合いの方が大事件なはずなのに、例数が多いせいか重大性を感じないせいか「事故」という不可抗力的な言い回しを使い、追い詰められた熊や猿が人間に立ち向かえば「凶暴」だと表現して「駆除(退治)」してしまいます。

自分達の罪を正当化する一方で、悪意が無い他者の過失は死刑という厳罰を以って対処していることになります。

 
最近になって知ったんですが、鹿が交通事故に遭って死ぬことを「ロードキル(Road kill)」と呼ぶそうです。
「鹿が道路に飛び出した」というのは人間側の言い分であって、もし鹿が虫の息で証言したとすれば「信じられないほど足の速い動物が襲ってきた」と言うでしょう。

自動車というものは、人間が持っている機能のうちの、走る能力だけを特別に強化した補助具のようなものです。
他の能力は相変わらず昔のままで進化していないはずだから、人間の反射能力は自身が全速力で走れる程度、つまり100m進むのに10秒かかる(=時速36km/h)程度の能力しか備わっていないことになります。

時速36km/hに見合う反射神経しか持ち合わせていない人間が、時速100km/hで走る車を操っているんですから、身の程知らずと言われても反論できない状態でしょう。


次回予告
春から縁起は良いが


posted by 雁来 萌 |22:13 | 雑念 | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:熊に襲われて死ぬ事件

おおおおおおー!
当たったんですねえ。あの☆のついたベンチコート。
次回のお披露目、楽しみにしています。

(ちっとは熊にも反応すべし。や、楽しく読みましたよ。)

posted by あきっく| 2011-01-30 22:34

サッポロさん、ごめんなさい

普段はビールを飲まないのに、こんな時だけビールを買い込んでチビチビ飲んでるだけの人間に当たっちゃって。
平素からビールを大量に消費している人には申し訳ないです。(←誰のこと?)

posted by 萌| 2011-01-30 23:07

Re:熊に襲われて死ぬ事件

交通事故による死者数は減少傾向にあります。
警視庁の資料によりますと、事故後24時間以内の死者数は平成8年以来1万人を
切っていますし、去年は5千人以下でした。いろいろな要因があると思いますけれど
シートベルト着用義務化や飲酒運転の厳罰化など、少なくとも人が死なないような
努力はしています。

交通事故はニュースになるだけまだマシで、年間3万人以上死んでいるのに、滅多に
報道されることのない自殺の方がよっぽど不自然な現象なのではないでしょうか。

posted by luchun | 2011-01-30 23:15

Re:熊に襲われて死ぬ事件

luchun さん、いらっしゃいませ。

交通事故の死者数は24時間以内に死亡した人数しか数えていないので、それ以後に死亡した人数を足すともっと多くなりますが、正確な数字は知り得ないので「1万人という桁」と表現しました。

道路の整備や車両の安全対策なども進んできたので、昔に比べると簡単には死なないようになったと思います。
去年は、ガソリンが値上げして交通量が減ったことも要因かと思います。

自殺者当人は、本当に「死にたい」のではなくて「死ぬのが最善」と考えてしまう精神状態なのだから、これも一種の「病死」であると考えますが、そんな状況に追い込んだのならば殺人に近いかも知れません。

自殺の場合は第一発見者が身内の者であることが多く、報道を控えるように依頼しているのだろうと思いますが、自殺者が増加すると社会的にも大きな損失になるので重大な問題であり、やっと対策を取ろうかという段階のようです。(すぐに効果が現れるとも思えないけど)

posted by 萌| 2011-01-31 00:02

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