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2009年12月02日

学校で教える引き算は遅い

分数の計算を出来ない大学生がいる、という実例があったそうです。

2桁の引き算を習うのが何年生だったのか忘れてしまいましたが、日本人なら子供でも引き算が出来て、買い物をした時の釣り銭も暗算で分かるので、渡された釣り銭を何食わぬ顔で受け取ります。

他の国では、引き算が出来ない子供がいるし、大人でさえ引き算の暗算が出来ない場合があります。
釣り銭をまとめて渡すと、受け取る客から「少しごまかしてるんじゃないか」と疑われる恐れがあるようなんです。

そんな疑いを晴らす自衛手段?として、釣り銭の渡し方が違うんですね。
例えば、328円の買い物をして1000円札で支払った場合、日本なら672円をまとめて返されます。

ところが、釣り銭の額に間違いが無いことを納得させる方策として、買い物の額と釣り銭とを合計した金額が、支払った額と同じになるような方法で返されるんです。

  • まず、カウンターに1円玉を2個置いて、330円とします。(買い物328+釣り2)
  • そこに10円玉を2個足して、350円にします。
  • 次に50円玉を足して、400円にします。
  • 次に100円玉を足して500円にし、さらに500円玉を足して1000円にします。

こうやって、買い物の額と釣り銭とを足せば、あなたが払った金額と同じになったでショ? と納得させて丸く収まる訳です。

その途中で、「さんびゃくにじゅうく、さんじゅう、よんじゅう、ごじゅう、よんひゃく、ごひゃく、せん」と読み上げるもんだから、その間は釣り銭を受け取れずに待ってなくちゃならないんですよ。
日本でこんなことしてたら、「何やってんだ、早く釣りよこせ!」って客から怒鳴られますよね・・でも仕方がないんです。双方とも納得しないと商談は成立しないものですから。


小学校で教える引き算の方法では、下の方の桁から計算し始めて、最上桁まで計算すれば終わります。
しかし、この方法では手間がかかって遅いので、私は上の桁から計算し始める方法を使っています。

例えば、下記の引き算をする場合の手順をトレースしてみます。
引き算

 
【A】学校で教える方法
下の桁から、地道に1桁ずつ計算していきます。

  1. 1の位で、2から6は引けないから、上の桁から1を借りてくる。借りたことを忘れないように、上の桁に例えば「-1」と書いておく。
  2. 借りた1は上の桁の値だから10倍して、2を足すと12になる。
  3. 12から6を引いて「6」と書く。
  4. 10の位で、下の桁へ貸した1を7から引いて、6とする。
  5. 6から5を引いて「1」と書く。
  6. 100の位で、3から5は引けないから、上の桁から1を借りてくる。借りたことを忘れないように、上の桁に例えば「-1」と書いておく。
  7. 借りた1は上の桁の値だから10倍して、3を足すと13になる。
  8. 13から5を引いて「8」と書く。
  9. 1000の位で、下の桁へ貸した1を8から引いて、7とする。
  10. 7から7を引いて「0」と・・書かない。

4桁の引き算をするのに、これだけの手順が必要になるんです。

 
【B】萌が使う算法
上の桁から2桁ずつ比べていき、判定することは「上の数字と下の数字のどっちが大きいか?」だけです。

  1. 1000の位で、8は7より大きいから、この桁の引き算は出来る。(Yes)
  2. 100の位で、3は5より小さいから(No)、1000の位で8から7を引いて、さらに1を引いて「0」と・・書かない。
  3. 10の位で、7は5より大きいから、この桁の引き算は出来る。(Yes)
  4. 100の位で、13から5を引いて「8」と書く。
  5. 1の位で、2は5より小さいから(No)、10の位で7から5を引いて、さらに1を引いて「1」と書く。
  6. 1の位で、12から6を引いて「6」と書く。

これだけで終わっちゃうんです。
なぜ速いかというと、『上の桁から1を借りてくる』という手順が不要だし、『借りたことを忘れないように、上の桁に例えば「-1」と書いておく』という手順も不要です。
下の桁で引き算が出来るかどうか(Y/N)、だけを覚えておけば済むんです。

「上の数字から1を引いて、その値から下の数字を引く」という計算よりも、「上の数字から下の数字を引いて、さらに1を差し引く」という計算の方が速い、というのも要因です。(計算機による処理では同じかも)

「必ず、上の数字から下の数字を引くことが出来る」と決める方法なので、3から5を引くということは13から5を引くことだ、と解釈します。
「借りてくる」という負い目?が無い分だけ、計算のモチベーションも高いです。借金の計算なんて、気が重いでしょ。(笑)


自動車教習所に行くと、最初の方の講義で「引き算の問題(20題くらい?)を制限時間内に解く」という試験がありました。

この試験の本来の目的は「引き算の計算の速さ」じゃなくて、「焦っても作業を間違えない」かどうかを調べる試験なんですけど、普通の人は制限時間内に最後まで解けません。

私は最後まで解いて、時間が余ったから検算を途中までやってたところでタイムアップとなりました。それほど速さが違うんです。
珠算をしてる人で、しかも暗算が得意な人はどうなんでしょう?

 
学校で教える引き算の方法は、「正しい方法」です。
「正しい方法」を使えば「正しい答え」が得られます。
でも、「正しい答えを得る方法」は世の中に一通りだけとは限らないので、他に「正しくて速い方法」があるのなら、そっちを使うべきだと信じています。


posted by 雁来 萌 |19:45 | 雑念 | コメント(3) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:学校で教える引き算は遅い

初めてコメントします。
今の自動車教習所では、そんな計算をするんですね。
珠算をしている人は、暗算でやる時に算盤を珠を頭の中に浮かべて、
上から引いていきます。
暗算では、足すより引く方が頭の中に浮かべる量が少ないし、
掛け算より割り算の方が、答えの桁が少なくて頭に入り安い。
特に最近では、コンピュータの発達で算盤は、小学校の授業でも殆んど教わらなくなったようです。
ですが、足し算や引き算を電卓でやるよりは、算盤でやった方が本来は速いのです。
しかし、今の人は電卓で足し算や引き算をやっています。
長い加減算を電卓で行なうのは、正解を出すには余程打ち間違えを無くしなければいけません。
間違えた場合、その数を修正してから改めて正しい数を打つなどしなければいけませんが、
算盤では、間違いに気づいた部分だけで良く、修正が簡単なのです。
電卓では桁が多く、0が沢山入ればそれだけ遅くなりますが、算盤は0を全く何もしなくて良いので、
速く計算できるのです。
電卓が算盤より速いのは、掛け算と割り算は結構速いと思います。
ただ割り算は、暗算の方が割りと速くできます。

電卓と算盤は、用途によって使い分けると、効率良いと思います。

長くなった上、取りとめも無い内容になってすいません。
計算は、色々なやり方と考え方があるのは確かです。

posted by consa.kazu | 2009-12-02 22:08

Re:学校で教える引き算は遅い

こんばんは。
日本では、例えば910円の買い物のとき、1010円渡して100円のお釣りをもらいますよね。
フランスのキオスクで、それ式にお札と小銭を渡したら、即座に小銭は返却されて、沢山の
小銭のお釣りをもらってしまいました。
あちらではそういうことはできないのだと思っていたけど、なるほど、トラブルを恐れて
そういうことをしないのかも知れませんね。

アインシュタインは、おつりの計算が不得意で、市電の車掌としばしばもめたのは有名ですが、
単純な計算が苦手でも、応用ができればいいのかという気もしないでありません。

posted by かもめ| 2009-12-02 22:11

色々と勉強になりました

consa.kazu さん、いらっしゃいませ。
私は算盤を使えないので頭の中に珠を浮かべることが出来ないし、そのイメージを動かして計算してしまう作業は神業に思えます。

「0」は何もしなくていいというのは、目から鱗でした。
電卓だと「0」でもとにかく入力しなければならないし、打ち間違いもあるし。
ローソン端末などでチケットを買う時に、入力を間違えたら「1文字戻る」というボタンがありますけど、電卓にもその機能を付けては? と思いました。
そいういうボタンが付いた電卓を使ったことが無いだけ、かも知れませんが。
「タイガー計算機」は回したことがあるけど。笑

かもめ さんへ
フランス人は自分の都合しか考え・・というか、数の数え方自体が複雑だから、余計な事をすると間違いの元・・ということなんでしょうか。
「94」と言う時に、「9×10+4」じゃなくて「4×20+14」と表す発想が・・古代には足の指も使って勘定してたのかなぁ。

posted by 萌| 2009-12-03 06:43

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