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2005年12月11日

花嫁の父

例年のように、来季の契約を結べないトップチームの選手がいる、という憂鬱さを振り払うため(?)、ユースの選手がトップチームに昇格する話題で盛り上っているようです。

一般のサポーターの感覚としては、「ユースの選手がトップチームに上がって来る」ので、「若くて新しいメンバーが増える」と捉えるから嬉しいんでしょうが、私の場合はちょっと違います。
親しんできた「ユースの選手がトップチームへ去ってしまう」とか「送り出す」という感覚なんです。

ユースからトップへ昇格できる選手が1人もいなかったら、それはそれで困った事態なんですが、昇格するということを手放しで喜べる心境じゃないんです。
トップチームに上がるとなると、言うなれば「可愛がってきた娘を嫁に出す」ようなもんで、花嫁の父親になったような、変な感情なんですよ。「良かったね!」と言われても愛想の良い表情はできませんので悪しからず。

たとえトップチームに上がらなくたって、時期がくればユースを退団して進学やら就職する訳ですから、どっちみち彼らと別れなくちゃならないけども、その「別れる」という事実が先にきて、憂鬱になっちゃうんです。初冬に現われるこの症状を「ユースメランコリー症候群」と・・言いませんが、秋からジワジワっと、しかし着実に発症してきます。

その辛い時期を過ぎて春になり、彼らがトップチームに合流してしまうと、かえって楽になるような気がします(単に「木の芽時」だからかも)。
いったん嫁に出したら、「煮て食うなり焼いて食うなり、勝手にしてくれ」という感じで、自分の方から一線を引いてしまうようなところがあります。

トップに上がった選手の場合は、ユースへの「出戻り」はあり得ないので、「トップが辛かったら帰っておいで」とは言えません。一方通行の別れになってしまい、「もしかしたら帰ってくるかも・・」などという中途半端な期待が入る余地が無いからこそ、吹っ切れるのかも知れません。

ユース昇格1年目の選手を戦力外と判断したことに対してクラブへ抗議するのって、娘が出戻ってきた時に、実家の親や小舅(姑)が嫁ぎ先に苦情を持ち込むことに似てると感じるんです。「嫁の出来が悪かった」とは微塵も考えないのか?と。


posted by 雁来 萌 |11:25 | トップチーム | コメント(2) |