2011年06月27日
伊能図展@十勝オーバル
6月16日から19日まで帯広の森運動公園の「十勝オーバル」で、「完全復元伊能図全国巡回フロア展in帯広」という展覧会が開催されました。→フォトギャラリー この催しは、重要文化財だった伊能忠敬の関連資料(地図や測量器具)が国宝に指定されたのを記念して、帯広市文化スポーツ振興財団と帯広市の主催で開かれたもので、伊能図の公開は道内では初めてとなります。 具体的には、伊能忠敬が日本中を歩きながら測量して作った地図(の原寸大復元)をつないでフロア一面に広げ、その地図の上を歩いて日本一周が出来るという(笑)、大胆不敵なイベントです。 伊能図には、大図、中図、小図の3種類があり、大図は1枚が畳1枚分の大きさ(縮尺1:36,000)で、その大図214枚で日本列島を覆います。 覆うとはいっても、かつての江戸城の大広間に並べた時でさえ、半数の地図しか広げられなかったほどの規模です。 こんな壮大で痛快な企画を見逃す手は無いと思い、中札内遠征のついでに観覧してきました。 (実は以前に、ほんの一部を恵庭市郷土資料館で見たことがあります。)
展覧会のパンフレット プリンスリーグで何度も来ている「帯広の森」に着くと、「御用」という幟が敷地内の道路沿いや駐車場に立てられていました。 会場となった「明治北海道十勝オーバル」(=帯広の森屋内スピードスケート場)は、屋外リンクを2009年に改修した真新しい屋内リンク(1周400m)で、ここならば全ての地図を広げて並べるのに十分な広さがあります。 「明治北海道」とは、明治乳業(今年4月から社名を「明治」に変更)のネーミングライツに拠っています。 正面の外観からは楕円形には見えませんが、上から見るとこんな形をしています。 犯行現場に残された足型を取る時に石膏を流し込む枠のような・・ 正面入口にも掲げられた幟と看板 この催しのために臨時バスも運行されたようです。 ロビー内の広報コーナーには伊能さんも控えております。 この「御用」という小さめの幟もショップで売ってましたが、大きさの割には値段が高かったし、老後に測量旅行へ出かける予定も無いのでやめました。 さていよいよ、会場の受付(右側)でポリ袋を借り、靴を脱いで上がります。 左手のテーブルは、書籍などの販売コーナーです。 CGで復元した地図だし、一応は表面をコーティングしてありますが、裸足で歩くことは禁じられていました。 靴下を履かなければならないのは理解するとしても、ストッキングが不可というのは・・滑って転ぶとか電気が起こるとか・・それとも生足と同じ扱い? 場内を見渡す「展望台」も設けられており、さながら観閲式の趣きです。 そこから見下ろした景色←上から目線 地図の上に跪いて眺める人や、測量の様子を説明するパネルを読む人達もいますが、列に並ぶのは大儀だし時間がかかるので、ガイド資料を買ってきて読んでいます。 禁止事項・・せまい日本、そんなに急いでどこへ行く 「メモ書き禁止」(←地図上に)という注意書きもありました。 2階の「飲食コーナー」から会場を見下ろした図 たとえ複製とはいっても、苦労して作った地図を足蹴にするのは気が引けます。 場内には伊能図のみならず、松浦武四郎や間宮林蔵、最上徳内などの資料なども展示され、後援団体の一つである十勝測量協会の展示ブースがあった他、土地家屋調査士会のコーナーもありました。不動産も測量が基本ですから。 方位を示す「コンパスローズ」形のコースターをお土産に買いました。 帰宅してから気付いたけど、観覧の順路は時計周りでした・・一般的に博物館などは時計回りの順路が多いですが、スケート競技って反時計回りに滑りますよね。 伊能忠敬は49歳で家業を隠居し、天文や暦学の勉強を始めたそうです。 55歳で測量を始めて蝦夷地の南岸を根室地方まで調査したのを皮切りに、17年かけて日本全土を測量したんですから、隠居することは大事なんですよ。(笑) 最初はほとんどの費用を自腹で賄い、距離は歩数で測るという方法(後には縄やチェーンを使用)でしたが、緯度1°の距離を算定した値を現在と比較すると、誤差は0.2%だとか・・千メートル測って2メートルしか違わない精度だなんて。 緯度1°の距離が分かったということは、地球の円周や直径を測ったことを意味します。 測量成果を集大成した地図「大日本沿海輿地全図」を制作する途中で彼は死亡していますが、それを秘密にしたまま周囲の協力者が作業を続け、3年余りの後に完成した地図を幕府へ上呈してから死亡届を提出しています。 ロビーには、スケート競技毎の世界記録も掲げられていました。 壁面には、冬季オリンピックなどのスケート競技に関する資料(写真やメダルやユニフォームなど)が展示されていました。 郷土の誇りとなった地元出身の面々 十勝は菓子王国のみならず、スケート王国でもあったことを再認識します。
ついでに、帯広市内の「真鍋庭園」も見て(歩いて)きました。 ここは、かなり以前にも一度だけ訪れたことがあります。 園内には「真正閣」という古い建物があり、明治44年に当時の皇太子を迎えるために作られたのが起源で、大正時代には当時の皇太子だった昭和天皇の休憩所としても使われたそうです。 後に帯広市の公民館としても利用され、先代の真鍋正明氏が庭園内に復元移築して、真鍋の「真」と正明の「正」とから命名されたとか。 今年は築100年になるのを記念して、「帯広コンテンポラリーアート2011 真正閣の100日」が開催されています。(実行委員会) 床に並んでいる色とりどりのリボンは札幌でも見たことがある芸術作品ですが、対座している人物はアートパフォーマンスの一部・・ではなさそうです。 作者のブログにクローズアップ写真があります。 ネームランドやテプラの先祖のような、ダイモの「テープライター」という名前でしたっけ? 色地のリボンに白い文字を打ち出して貼り付けるラベルです。 自分の生年月日から現在までの、○○年間の毎日の日付を打ち出し続けたリボンを、透明な筒に入れて並べてあります。 「時の流れを詰め込んだカプセル」というか、「人生の歩みを覗き込む」というか。
posted by 雁来 萌 |06:07 | 蝦夷の細道 | コメント(0) |
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