2010年10月18日
美白な太耶神の聖地降臨
物理学者の中谷宇吉郎が残した「雪は天から送られた手紙である」という言葉はよく知られていますが(知らない?)、他に「地の底、海の果てには何があるか分からない」とか、「科学と芸術との間には硝子の壁がある」という言葉も残しています。 ホントに何があるか分からないもので、地球の裏側の鉱山では33人の作業員が地底に閉じ込められ、2ヶ月ぶりに地上へ引き上げられたそうです。 33人が助けられたことは分かりましたが、迎えに行った救助隊員(5人?)が引き上げられたという知らせはまだ見ていません。 まさか、忘れて穴の底に取り残したまま、お祭り騒ぎとか離婚沙汰の騒ぎに沸いている訳じゃないでしょうね。 それから2日ほど経って、地球の表側(?)に位置する日本の北国では、美白でふくよかな太陽神太耶神が聖地に降臨して来ました。
コーリ~ン・・って、鉛筆とは似ても似つかない体形ですよ。 降臨の道中に疲れ果てたので、取りあえず腰掛けて休んでいます。衆生を見下ろしながら、あまねく世界に三朱藍教を広めることを既に夢想しています。 太陽に当たっていないせいか肌の色が眩しいほど白いし、髪が生えていないように見えるのは得度したからでしょう。 やがて街中へ出て、辻説法を始めました。 「天上天下唯我独尊」と唱える脇で、僧侶が入信案内を配ったりして三朱藍教の布教に努めますが、民衆からはあまり関心を示されません。 しかし継続は力、次第に教えが浸透して信者が増え、政権交代を目指す選挙演説よりも人だかりが出来るようになりました。 近くで見ると大柄なんですね・・身の丈が3mもあるような巨人でした。 今日は有難いお題目が書かれた護符が配られるとの噂で、道場の床が抜けるのではないかと思うほどの民衆が集まっていました。 護符には御真影が描かれている他に富籤も付いているとあって、道場の外にまで信者達が列を成しています。 全世界で限定3000枚しか配布されないという、大変に有難い護符を頂きました。 間違えて、名刺の代わりに出しそうになったことは、指が裂けても書けません。 信心が厚くて富籤の運も良い信者には、氷の上でも自在に走れるという貴い法輪が4個も授かったそうですが、私はどちらの要件も満たしていないため、何の果報もありませんでした。 何しろ、護符を頂く列よりも先に、仏蘭西菓子を求める列の方に並んだくらいですから。 道場を照らす巨大な灯明台の上で、小さなマニ車が回っていました。 マニ車というものは、自身の手で回して初めて功徳を得られるものですが、とてもあそこまでは登れません。 三朱藍教では、青・白・赤の三色が尊い配色とされており、そういえば教えを伝える介添え役の僧侶達は、揃いの青い法衣をまとっていました。 おまけに、道場で奉納されていた蹴鞠の競い合いを捌く判官まで、僧侶と同じ色の法衣を着ていました・・恐らく、太耶神に敬意を表してのことでしょう。 控えの競技者達が侍する陣まで三色に塗り分けられているように見えたのは、もしかしたら錯覚かも知れませんけど。 人が集まる場所は、色々と便利なものです。 貼り出された容疑者の似顔絵を見て、目撃情報を寄せる市民がたくさんいました。 口々に「こいつ、似てないか?」とか、「宮の沢あたりでよく見かける顔だぜ!」などと言い合っており、中には報奨金を目当てにしたガセ情報もあるので、聞き取り役の担当者は慎重に通報者の顔色を窺っています。 ちょうど競い合いが滞り無く終了した頃、東の空には上弦の月(右下)が現れて、太耶神が月へ帰る刻限となりました。 「アデュー」・・と言ってはいけません。 「アデュー」は芸者の時に言う言葉二度と会わない時(つまり死ぬ時)に言う言葉であって、再び会う場合の別れの挨拶は「オ・ルヴォワール」(Au revoir!)です。 中国語の「再見!」と同じ言い方ですね。 せっかく夏場の日焼けが抜けてきていたのに、また日に焼けてしまいました。大事な美白が・・
posted by 雁来 萌 |07:29 | 雑念 | コメント(0) |
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