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2008年09月19日

太陽に当たらない夏(2)

  ~ 痛くない腹を探られる ~
 

病棟から見る日の出
テレビ塔をかすめる日の出
朝は3時とか4時に目が覚めるので、廊下から日の出を見れることも時々あります。


新たな問題】
胆管に詰まっていた結石を取り除き、一件落着したかに思えました。
しかし胆管に詰まっていた石は、元々は胆嚢の中で作られた石であり、胆嚢本体の中には他の石がまだ残っている恐れもあります。

普通の人間ドックなどで用いられる「腹部エコー診断」は腹の上から超音波を当てますが、この方法だと隔靴掻痒に等しく、詳しい診断はできません。毎年受けていた人間ドックでは、結石が見つかっていなかったんですから。

そこで、内視鏡(またかよ!)を十二指腸まで入れ、そこから超音波を出せば、隣にある胆嚢の内部がより鮮明に見えます。
ついでに(何がついでだよ!)、今までは胃の中を詳しく見ないで通過していたので、「胃カメラで胃の中も調べる」と言われました。

今回は麻酔をかけずに、まず内視鏡で胆嚢をエコー診断してから、改めて胃カメラを入れ直すという、二重の責め苦でした。
10年ほど前に胃カメラを飲んだ時に比べれば、はるかに楽ではありましたが。
胃の中はきれいで、「少し荒れてはいるが、潰瘍も何も無かった」そうです・・絶食したり薬を飲んだり内視鏡を何度も入れたりしてるんだから、胃だって荒れますよ。

本命の胆嚢の中には、結石が数個見つかりました。
これらの石も、そのうちに落ちてきて再び胆管を詰まらせる可能性が大きいので、その危険を解消するためには、胆嚢ごと取り去ってしまえば良いのです。
仮に、胆嚢の中に結石が見当たらなかったとしても、一度結石を作った胆嚢は再び結石を作る確率が大きいので、どっちみち胆嚢は取り去るに越したことは無いのです。(結論が同じならば、検査しなくてもいいだろうに・・)

・・と理屈では分かっていても、心配な事が一つ(以上)あります。
私の父は胆嚢炎になって、昔だから開腹手術で胆嚢を切除したんですが、縫合した部分が後で癒着を起こして腸閉塞になってしまい、同じ箇所を再び切開しました。
自分も父と同様な体質や性格だと思われるので、積極的に手術を受ける意欲が湧いて来ません。

とは言え、信管が付いたままの爆弾を抱えながら暮らすのは得策ではないですから、いずれは(数ヶ月以内に)胆嚢を摘出せざるを得ません。
得ませんが、色々と事情もあるので、肝臓の機能が回復したら一旦退院し、改めて外科へ入院し直して手術を受けることにしました。

胆嚢は元々、自分で消化液を創り出す臓器ではなく、普段は肝臓で作られた胆汁を貯めておいて、胃の中に食物が入ったタイミングに合わせて十二指腸に胆汁を出すという、消化液を効率良く使うためのダムのような働きをします。
それを取り去ってしまうと、食事のタイミングに関わりなく常時チョロチョロと胆汁が出ることになり、例えば一気に大食した場合には、消化不良を起こす傾向になります。(何も変化が起こらない人もいるらしい)

病院の中庭から見上げる壁と窓
塀の内側から見上げる空
とても飛び越えられそうにないな・・(笑)
 

【院内名産検査漬け】
手術を受ける前には、体中のどこかに異常が無いか調べるために、色々な検査を受けておかなければなりません。肝臓の機能が回復するのを待つ間に残りの検査を済ませておけば、再入院した時に直ぐに手術を受けられます。
まず、胆嚢の状態については既知、肝臓と膵臓は継続調査中、胃は調査済み、眼底写真も撮った・・ので、残っている検査は、心電図と呼吸機能とX線と大腸カメラです。
ほとんどの検査は毎年の人間ドックで受けている項目ですが、大腸カメラは未体験ゾーンです。(ワクワク・爆)

大腸の内壁をカメラで観察するんですから、視界を遮る余計な詰め物を除いておかなければなりません。
前夜に飲む200c.c.の下剤はともかく、当日の朝に2リットルの下剤を2時間で早飲みするのが辛い、という話も聞きましたが(例えばここ)、ポカ○ス○ットのような味の液体を2リットル飲む作業は、私にとっては楽勝でした。

下剤が入ったボトル型のバッグをテーブルにドンと置き、手酌で紙コップに移しながらグビグビ飲んでると、「これにツマミでもあればな・・」と、絶食中の身に不埒なアイディアが浮かんできました。
さらに別種の下剤1リットルを追加オーダーして飲み干し、チェイサーも何杯か飲んだのに、腸の中を洗い切れません。

自分が腹黒い人間であることは折に触れて薄々と感じてはいたものの、これほどの汚さだとは自覚していませんでした。
看護師さんから「高圧浣腸して下さい、とのことです。」と言われ、「えっ、何それ?」と思いながら、温水のジェットを噴き出して流しの配水管を清掃する光景を思い浮かべました。
実際にはそんな激しいダイナミックな作業ではなくて、穏やかでスタティックな作業でした。

その作業が済むとやっとお許しが出て、めでたく(?)検査を受けることができました。
検査室の壁に吊るしてあるモニターを見てたら、(自分で言うのも何ですが)きれいな腸壁で・・焼鳥やモツ煮にしたら、さぞかし美味しかろうと思われました。
ただ、「普通の人より長めですね。だから腸がカラになり難かったんでしょう。」と言われました。自分は草食動物に近いのか、野人からの進化が遅れているのか・・?
診断結果は、「ポリープも何も無く、問題ありません。」というお言葉でした。

手術に必要な検査は全て済んだので、翌日に外科の外来を受診して、再入院と手術の日取りを打ち合わせました。

肝臓の機能も回復して9月1日に退院することになり、前日の午後に外出許可をもらいました。外出の理由は「退院準備」ではなく「宗教行事」と書いて、宮の沢まで地下鉄に乗り、Jユースカップの水戸戦を見に行きました。(笑)
病人がそこまでして見に行ったんですから、勝ってもらわなければ困ります。
手首に巻いてある患者IDバンドを見つめて、「うちの病院のだ」と言ったお医者さんサポが近くに座っていたのには焦りましたが、何も悪い事してないし・・。

仮出所というか執行猶予のような気分で、いったん退院しました。

肝臓機能などの回復経過
順調とも言えない回復経過
数値がどんどん変化していくんですから、こんな面白い材料は理系の人間にとって格好の「手すさみ」になります。←看護師さん呆れる(その1)
 

・・つづく


posted by 雁来 萌 |20:26 | 雑念 | コメント(0) |

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