スポンサーリンク

2005年12月20日

大いなる野生

春先の除雪から始まった今シーズンの屋外練習も、12月10日で終わりました。
多少の雪ならば、走ってるうちに踏まれて融けるんですが、シューズが濡れるし、寒いとケガをしやすいし・・で、いいことは何もありません。

屋外で練習できなくなると、ユースの練習も終わります・・んな訳ありません!ユースにはオフは無いんです。
体育館などを借りての室内練習が、春まで続きます。体育館は有料だし床が固いので、なるべく遅い時期まで屋外の専用練習場を使うようにしますが、試合に勝てても雪には勝てません。

グラウンドをそのまま雪に埋まらせておくと、雪が締まる時にネットの裾の部分が下方に引きずられる(これを雪の沈降力と呼ぶ)ので、ネットが破れる恐れがあります。また、ネットを固定しているコンクリートの支柱が傾く恐れもあります。吹きっさらしの強風にも耐えられるように、支柱の根元はかなり念入りに固定されているそうですが、今年の春には実際に傾いてしまいました。

この被害を防ぐためには、雪が積もる前にネットをたぐり上げて、雪からフリーにしておく必要があります。ゴールのネットも、付けたままにしておくと破れてしまうので、これも外しておきます。
多分、無いとは思いますが、ゴールマウスも埋まるほどに雪が積もったならば、あの固い金属パイプでさえ飴のように曲げられてしまうほど、雪の力は強いんです。

何年も前にトップチームの関係者から、いつ頃まで外の練習場(当時は月寒)が使えるのか、という相談を受けたことがありました。本職でも雪の降り方を予想するのは難しいし、降った雪がどれほど積もるかの予想は、なおさら難しいんです。雪がすぐに融けてしまえば問題無いけど、寒気が続いて融けなければ積雪になってしまいます。日射や地面の状態や地中の温度も雪の融け方に影響するので、種々の兼ね合いを総合的に勘案する・・って、言葉では簡単なんですけどね。

札幌での初雪の平年は10月27日ですが、今年はその時期でもまだ手稲山さえ冠雪せず、季節の進行が半月ほど遅れていました。何しろ、10月の平均気温が13.2℃で、過去の高い方の1位の値とタイ記録になりました。
11月9日にやっと初雪を観測し、これは平年より13日遅れでした。初霜は11月15日に観測され、これは平年より24日も遅かったことになります。

12月になってやっと気温が平年並に下がり、10日に屋外での練習終了と冬支度、その次の週は寒いし大雪が降ったので、屋外練習を諦めるにはちょうど良い時期だったことになります。
ユースのスタッフも、屋内に避難すべき時期を察知する野生の本能が備わっているのかも知れません。

月寒練習場のU-15


(写真と本文とは直接関係ありません。)


追記(2005-12-20 23:54)

【注釈】:10月の平均気温が13.2℃ という値はどの程度か?

札幌の10月の平均気温の平年値は11.3℃ですから、今年は+1.9℃の差がありました。2℃くらいの差は大したことない・・と思うかも知れませんが、日平均値を1ヶ月間平均した値が2℃も違うのは、大したことです。

観測開始からの統計期間が130年くらいあり、その中での高い方からの1位タイの記録ってことは、130年間に2回しか起こらなかった現象なので、人間が一生の間に体験できるかどうか、という珍しさです。
ちなみに、第10位の値は12.3℃で、平年値より1.0℃高いだけです。
一方、低い方からの1位は1879(明治12)年の7.4℃で、現在の平年値との差は-3.9度になります。

平年値とは、30年間の平均値のことで、現在(2001年から2010年までの間)は、1971~2000年の平均値を使います。
2011年から2020年までの間は、1981~2010年の平均値を使う・・というふうに変わっていきます。


posted by 雁来 萌 |00:34 | 日々精進 | コメント(0) |

スポンサーリンク

スポンサーリンク

コメントする