2013年12月08日
噴火湾北岸の貝塚遺跡群
噴火湾といえば、ホタテや毛ガニ・・ぢゃないですよ。 噴火湾の沿岸には縄文時代の遺跡が多数あり、一昨年の秋には函館市(南茅部)にある大船遺跡を見学しました。→渡島東部の自然と歴史 続いて今年の春に、中空土偶などを展示している南茅部の「縄文文化交流センター」を見学しました。 今回(11/16)は、洞爺湖町にある「入江・高砂貝塚」と、伊達市にある「北黄金貝塚」を見学してきました。いずれも開園期間が4月~11月で、現在は冬休み中です。(公園内を散歩するのは可能かも) 室蘭市から豊浦町にかけての地域には貝塚を伴った遺跡が多い(全体の3分の1ほど)一方、渡島半島の沿岸に分布する遺跡には貝塚がほとんど無い、という特徴があるそうです。
入江・高砂貝塚公園の案内(パンフレット) 貝塚館の入館料は150円で、隣にある虻田郷土資料館も見学できます。ただしオフシーズンだから、見せてくれと言えば鍵を開けてくれるんですけど。 郷土資料館はスペースが広くなくて無料なのも相応ですが、昔の虻田町の写真なども展示してありました。 珍しかったのは、昭和10年代の自動寫真館(左)と自動菓子販売機(右)です。 要するに、プリクラとガチャポンの元祖(or本家)なのですが、菓子販売機には「新案特許」と書かれていたから、この頃から出回ったのかも。 高砂貝塚の現地に立つ案内板 貝塚館から200mほど歩いた入江貝塚公園の入口 住居の骨組みと、屋根を葺いて土を被せた完成形 背景は有珠山で、ここは火山灰に埋もれてたお陰で保存状態が良いのだとか。 古墳のような復元住居に入ってみます。 焚き火の跡というか、実際に煙かったです。体験学習でもしてたみたい。 敷地の端にトンネルのような通路がありました。 内側がガラス張りで貝塚の断面を観察できるようにしてあり、 フゴッペ洞窟とか手宮洞窟のような造りです。 地層の中に入江式土器の破片が挟まっていたり、 エゾシカの骨もあるし、 光って文字が読めないけどイルカの骨だとか。 床下にも埋蔵状況が見えるようにしてあります。 ここの遺跡に埋葬されていた人骨のうち、ポリオに罹患した骨があって、肢体が不自由ながら少なくとも十年以上は介護を受けて生き長らえていたことが分かるんだそうです。
所変わってこちらは北黄金貝塚公園で、北海道遺産に選ばれています。 右上の地表が白っぽく見えるのは、貝殻で覆われているからです。 復元した住居群:左下に見える沢状の窪みに水場があります。 ここは結構な高さの丘ですが、縄文時代は現在より温暖だった時期があって海面が高く、海岸線も内陸側に入り込んでいたので、「縄文海進」と呼ばれます。 地球温暖化に伴って大陸の氷床が融けると、海面が上昇して同様な現象が起こるとされています。 水場にたくさんの石器が散らばっていました。 これらは石皿とか擂り石でしかも壊れており、意図的に壊された土器もあるので、一種の針供養のように使わなくなった道具を葬る「道具墓」としての祭祀場所だったのかも。 貝塚からは人骨も発掘されるので、貝塚というのは単なるゴミ捨て場ではなくて、人骨、貝殻、魚骨、獣骨など、全て命あるものとして祀った精神が窺えます。 公園内に「北黄金貝塚情報センター」があり、入場無料です。 出土した遺物を展示したり、体験学習などに利用されます。 傑作だったトイレの扉 遺跡から掘り出された女性の骨と一緒に首飾りが出土したような・・。 トイレの内部を調査してこなかったのが悔やまれます。 どんなんだろうね・・便器は素焼きの土器に縄文模様が施されていて、脇に木の葉っぱが置いてあったりしたら・・。
posted by 雁来 萌 |20:21 | 蝦夷の細道 | コメント(0) |
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