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2013年01月25日

和寒が冷えれば札幌では雪

Do you ・・どーゆー論法なんだ、それ?

「和寒は寒いけど雪は降らない、でも札幌は雪が多くて大変ですね。」という 憐れみ お見舞いを頂きました。

両者は一見、相反する現象のようにも見えますが、実は「南米のペルー沖の海水温が上がると西太平洋では晴天になる」とかいう「テレコネクション」のように繋がっている現象なんです。


北海道で低温の原因となるのは、「冬型の気圧配置」ではなくて「晴れた夜間の放射冷却」です。
上空に寒気が入っている状態で冬型が弱まって風が弱く晴れた夜間には、放射冷却が効率よく起こって明け方の冷え込みが厳しくなります。
雲がかかって雪が降ってる時は、寒いには違いないけれど極端には冷え込まないものです。

たまにしか雪が降らない内地に住んでる人はこの辺の事情を理解できないらしくて、冬型になって冷え込んだから雪が降ったし(例えば)陸別で冷え込んだ、と勘違いしてることがよくあります。

 
放射冷却の度合いは、比熱が大きい水体(海)から遠い内陸部ほど強く、冷えた空気は重いから標高が低い方へ移動して、盆地に溜まったり海上へ流れ出たりします。
例えば上川地方や空知地方で生成された冷気は、留萌地方や石狩湾から日本海へ流出します。

この写真は2013年1月17日13時の気象衛星可視画像(気象庁HP)の一部で、ホントはもっと鮮明な画像もあるんだけど、これで我慢してね。
雲の空白域
内陸部は晴れているので、山地や平野部に積もった雪が白く見えています。サハリンの東岸から流氷が南下して来てることも分かります。

宗谷地方から留萌地方、および石狩湾付近まで、北海道の西海上には雲の無い晴天域が広がっています。
大陸からは季節風の吹き出しに伴う雲も流れて来てますが、北海道の内陸から冷気が流出してるため陸地には寄って来れずに海上で南方に迂回しています。

日本海から来た気流と内陸から流出する気流とがぶつかると、その境界で気流が収束するため上昇気流が起こり、西海上で弧を描く雪雲を発達させ、積丹半島に進入して雪を降らせています。

 
この頃、札幌では晴れて陽射しが眩しいくらいでしたが、日中はずっと札幌市と江別市に大雪注意報が発表されていました。
晴れてるのに大雪注意報とは?・・と不思議だった人がいたかも知れませんが、この大雪注意報は「夕方になると冷気の流出が弱まって季節風の方が押し勝ち、積丹半島に進入している雲が東方へ移動して石狩地方に進入してくる」ことを意味しています。

翌朝に起きて見たら外は真っ白、レーダー画像では石狩湾の沿岸部に雪雲がへばり着いてる状態で、小樽や札幌では雪が降りました。

 
こういう現象は季節風の吹き出し末期に時々起こる現象で、この雲の下ではドカ雪になったりします。
似たような状況下で羽幌沖あたりに小低気圧が発生し、南下するに従って小低気圧に巻き込む帯状雲が石狩湾から進入してドカ雪をもたらすこともあります。

今冬は1月になってから浜益や厚田、新篠津に雪雲が入りやすく、他人事のように「新篠津は去年に続いて今年もやられてるな」と思ってたんですが、最近は小樽・札幌にばかり雪雲が進入してますね。
この細い雪雲がどこに入るかが運命の分かれ道で、札幌はかなり際どい場所に位置してるんですけど。

ということで、和寒で風が弱くて寒くなることと札幌で雪が降ることとは表裏一体なんだ、という「桶屋風」現象?もあるんですね。

ついでに九州の西海上へ目を向けると、韓国のチェジュ島(済州島)の下流で発達した「カルマン渦」が見えています。
Karman渦列
カルマン渦は、利尻島や渡島大島、国後島などの風下でも発生します。

自分の頭の上だけしか見てない人が多いけれど、時々上空や宇宙から下界を見下ろせば、自分がほんの狭い範囲しか見渡せてないことがよーく分かるものなので、たまには「上から目線」も必要です。

 
しばらく寒い日が続いていたのに最近は暖気が続いて、今日なんか積雪が10cmも縮みました。せっかく寒さに慣れてた体がダレてしまい、この後の寒気が体に堪えそうです。


posted by 雁来 萌 |21:21 | 気象細事記 | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:和寒が冷えれば札幌では雪

こんばんは。
どこからお見舞いが来たのかと思ってしまいました (笑

和寒は私が今まで住んだなかで、もっとも寒く、最も雪が多いです。(今年は今のところ雪が少ないですが)
しばしば気温のランキングに載るし、楽しいものです。
そんなこともあって最近、良く気象データを見るようになりましたが、どうも岩見沢よりも滝川や深川の
方が累積降雪量(年平均)が多いようで驚きました。
なんで岩見沢がよくニュースになるのか・・
岩見沢は短時間で一気に降りやすいのですかね。

ところで、都道府県庁所在地で最も雪の多いのは青森市ですけど、北海道がいくつかの県に分かれていて、
旭川が県庁所在地なら、旭川がトップなのになあ、と思います。

posted by かもめ| 2013-01-25 22:01

雪も積もれば山となる

岩見沢には石狩湾から帯状雲が進入しやすく、帯の長軸方向と移動方向が同じなので、いつまでも雪が降り続きます。それで、例えば1回の荒天で降る雪の量が多くなります。
しかも、あられなどを含んだ重い雪なので、除雪し難いし縮み難いから始末に困る、という特徴だろうと思います。

たとえ降雪の総量が多くても、毎日少しずつ降るのならば少しずつ除雪すれば対応できるし、海岸から遠い内陸ならば軽い雪が降る、という違いなんでしょう。

同じ冬型でも、上空の風向が北西の時は帯状雲が岩見沢・夕張に入り、北北西だと小樽や札幌に入り、西だと滝川などへ入ります。
江別までは雪が降ってるけど札幌は晴れてるということが時々あり、北海道の首府の地として札幌を選んだのは、実は微妙というか巧妙な選択だったんですね。そんな特性を先住民はよく知っていた、ということでしょう。

「道都を旭川に」というスローガンがあったような・・。

posted by 萌| 2013-01-25 22:36

分県論

岩見沢は降雪の波が大きいのですね。

以前、旭川では分県論が少し盛んでしたが、今はなりを潜めています。

分県論といえば長野が有名ですよ。
http://www.pref.nagano.lg.jp/gikai/tyousa/ennkaku.htm
長野は南北に長いのに、北の端の方に県庁があるので、松本や木曽・伊那の
人たちは明治初期から分県、または松本市などへの県庁移転を主張し、
大騒動がありました。

新潟でも多少、ありますよ。新潟県は東西に長いのに、かなり東の方に県庁があるし、
もともと越後の中心地は長岡だった歴史もありますから。
なんで長岡に県庁が置かれなかったのかですが、越後藩は戊辰戦争のとき、
幕府側だったからだと新潟の人から聞いたことがあります。
津軽の中心だった弘前に県庁が置かれず青森市におかれたのや、会津若松に
置かれなかったのも同じ理由だとか。

あと、福井県にも分県論があるそうです。あんなに狭い県でもあるとは。

たぶん、岐阜県でも高山の人は分県したいと思っているのではないでしょうか。

北海道が分県されれば国会議員も増えるし、甲子園(高校野球)に出場する北海道勢が
増えるなどのメリットもありますよね。(大したメリットじゃないか)
最大のメリットは、札幌に人と物が集中するのに歯止めがかかるということですが、しかし、
富山市の人は高速バスで金沢に買い物にいったりするし(同様に山形市から仙台に買い物に
行ったり)、分県しても旭川の人が札幌に買い物に行くのは続くのだし、地方経済が
どれだけ潤うのかわかりません。
保険医療機関の届け出等に札幌まで出向かないで旭川で用が済むというメリットもあるのですが。

posted by かもめ| 2013-01-26 08:14

国盗り合戦は続く

昔は知床半島を境にして太平洋側を「東蝦夷地」と呼び、網走も含めた北側を「西蝦夷地」と呼んでいたとか・・地形(地質)から見れば石狩低地帯より南西側は東北地方の延長なんだそうだから、札幌は西北海道、旭川は東北海道と分けても不自然ではないかも。

分県ではないけれど、利尻島が利尻町と利尻富士町とに分かれてるのって、甚だ紛らわしいし昔の地名を残して欲しいし、なんだか島を2分して国盗り合戦をしてるようで、観光客などが見たらどう映るのか心配になったりします。

平成の大合併であちこちに飛び地が出来てしまい、旧熊石町が八雲町に合併されて渡島総合振興局に属することになり、檜山振興局が南北に分断されるなんて・・八雲町熊石はアメダスでは渡島地方に属するけど、予報や警報・注意報では檜山北部に属するという・・ヘンな話。

posted by 萌| 2013-01-26 10:31

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