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2012年12月19日

セラミックで栄えた江別

師走に入った朔日のことですが、野幌の北海道開拓記念館と、江別市のセラミックアートセンターと、江別市郷土資料館を見学してきました。

ホントはもう2ヶ所寄りたかったんだけど、家を出た時刻が遅かったのと、じっくり見て回ってるうちに光陰矢の如く過ぎ去り、夕方の閉館時刻になってしまったのでした。

開拓記念館では、「博物館資料の保存-木をのこす-」というテーマ展が3月17日まで開催されており(無料)、館に搬入された資料の防腐・殺菌処理とか、水分を薬品に置換処理する保存方法とか、CTスキャナーを利用した非破壊検査など、個人的に非常に面白かったです。


次に訪れた「セラミックアートセンター」はオープン当時から何度か訪れたことがあり、特に見たい物があった訳じゃないんだけど、しばらく行ってないから教養を確認して上書きするつもりでした。


「北のやきもの展示室」は美術鑑賞の赴きですが、ここの目玉は何と言っても「れんが資料展示室」で、レンガの種類や製法の変遷を勉強するには持って来いの施設です。
レンガに見立てた積み木を組み上げる体験も出来るし、「積み木くずし」で遊ぶことも出来ます。笑

レンガ作りの工程のうち、台の上に置いた型枠に粘土を打ち込む作業があり、その作業を「シッペ」と呼ぶそうです。
よく見ると、型枠に入れた粘土の表面を叩いて平らにする道具が、禅宗の修行で使われる「竹箆(しっぺい)」に似てるからだろうと思います。

座禅を組んでいる途中で、細長い「竹箆」を持った僧が修行者の肩を「パン パン」と叩きますけど、その「竹箆」を打つ役を交代で務めると、打たれた者が打ち返す立場になるので、即座に仕返しすることを「しっぺ返し」と言うようになったんだとか。

セラミックの勉強をしたら禅宗の修行になるとは思いませんでした。これだけでもここに来た甲斐があったというものです。

道内に現存するレンガ建築や喪失してしまった建築などの分布図があり、寿都の話で紹介した岡田家のレンガ蔵は現存しないと書かれていました。
シックな茶レンガ蔵・・蔵シック
確かに、掲示されていた当時の写真では屋根が崩落して窓も壊れており、その後で修復されたんでしょう。

 
施設自体の特徴がセラミックなのだから、エントランスホールの壁面に陶板が貼られているのは当然ですが、意外にも木材を豊富に使って巧みに組合せてありました。まぁ、陶器は薪を燃やして作るのだから、土と木と炎の芸術とも言える訳ですが。

展望室からの眺め

前庭にスズランをイメージしたレンガ製のモニュメントがあり、奥は「日本デジタル研究所」です。

百年記念塔が遠くに頭を出しています。


続いて訪れたのが「江別市郷土資料館」で、ここもオープン当時に訪れたことがあります。


学校の先生を退職したようなスタッフが付いて回って解説をしたがるのが煩わしいので、一回限りでリピートしてませんでした。
幸い、解説員は先客に付き添っていたので、落ち着いて見学出来ました。

ここの目玉となる展示品は土器です。
縄文時代から続縄文、擦文時代まで、江別周辺には遺跡が多数あり、そこから出土した土器が整理されて整然と展示されています。

住居跡からの出土品として展示されていた石器の中に石斧があって、それが「石斧」のグループじゃなくて「たたき石」のグループと一緒に並べられていたのには参ったな・・ちゃんと磨かれて刃がついてるんだから分かりそうなもんだけど。

珍しい物としては、寄贈された木製戦闘機の部品が展示されています。
戦争の末期にはベニア板で作られた飛行機も存在し、王子航空機製作所で作られた機体が実際に丘珠や東京へ飛んで行ったそうです。

向かいにある江別第三小学校もレンガ造りです。



縄文時代から現代まで、江別周辺では陶器を焼き続けていたことになり、近隣で粘土が採集できたという条件が備わっていたからでしょう。
「江別の煉瓦」は北海道遺産にも登録されています。

 
来た時はこんな晴れ間も出る天候だったのに、帰る頃には車の屋根にこんもり雪が積もり、帰路は吹雪に遭ってしまったので、予定していた275号経由を諦めて人家のある道を戻って来たほどです。

今日も昼食を食べ損なって、夕食にまとめて食べました。
勉強に夢中になると寝食を忘れてしまうという性格でして・・ホント?

 
翌週には、野幌にある北海道立埋蔵文化財センターに行って復習しました。
現在は「北海道遺跡空中散歩-空から遺跡を見てみよう-」という展示が行われていて、冬期はほとんど来館者がいないから、じっくり見学していられます。

前回もそうだったけど、この施設に行く時って雪がモサモサ降って、帰る頃には雪の中に埋もれた車を発掘するという試練を受けます。


オフィシャルブログの移設作業に、かなりの不手際がありますね。


posted by 雁来 萌 |07:31 | 雑念 | コメント(2) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:セラミックで栄えた江別

はじめまして、雁来萌さん。

江別郷土資料館は昔、私が向かいの江別第三小学校に通ってた頃は、公民館でした。えーっと、四十数年前です……
第三小学校は現在、近隣の江別小学校と統合する話し合いがもたれています。その際には、耐震性の面でも補強費用の面でも問題があるので、全国的にも珍しいレンガ造りの円形校舎も取り壊される、という話が出ていています(私には寂しい話です)。

補強費が無い……どこかで聞いたことのある話です。あっちもこっちもお金が無いんですね。

posted by 赤と黒き血のトゥエルブ| 2012-12-19 17:20

脱毛症の話にはあらず

赤と黒き血のトゥエルブ さん、いらっしゃいませ。

江別にはレンガ造りで趣きがある建物が多いですね。
江別市内にあるレンガ建築を見学するガイドブックをもらってきました。

子供が通う小学校ならば安全性が必要なんでしょうけど、円形の部分だけでも残せないもんでしょうかねぇ。
最近は廃校にばかり遭遇するし、産業遺産を探索する人が撮影した写真などを見てると、悲しくなってきます。

posted by 萌| 2012-12-19 20:27

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