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2012年03月18日

クラーク先生と札幌の植物

北海道大学の総合博物館では、W.S.クラーク博士の来札・札幌農学校開学135周年を記念して、「クラーク博士と札幌の植物」展が3月3日から5月6日まで開催されています。

晴耕雨読、文武両道、スポーツの翌日はお勉強という訳で、先週の日曜日に見学してきました。

博物館の玄関脇に、滑り止めの砂を入れたバケツが置いてありました。
自らバケツを放る

館内では、何かの試験の準備をしていました。
控えおろう
翌日には、国公立大学で後期入学試験が行われたそうです。
・・なるほど、だから滑り止めが必要なんだなぁ・・入館する前に頭から砂を振りかけるために置いてあるんだろう・・←清めの塩かっ!

その種のイベントからはすっかりご無沙汰しているので、試験があることなど寝耳にミミズの状態でした。
確かに、受験生らしき若者のグループや家族連れが、キャンパス内を歩いていました。

 
企画展示室への入口とコウモリのレリーフ
夕方の象徴であるコウモリ
左奥の暗い部屋が展示室で、植物標本を保護するために照度を落としてあります。

クラーク先生は植物専門ではなかったんだけど、札幌周辺で植物採集も行っていたそうです。
あんまり良い名前じゃないな
パンフレットの裏側の一部

夏に来日して翌年の春に帰国したのだから滞在期間はわずかだったんですが、探求心や好奇心が旺盛なおじさん(old man)だったようです。

室内に植物標本を展示している風景
詳しい説明付きなのが助かる
ストロボを使わなければ撮影しても構わないとのことなので、遠慮がちに撮影しました。
生育状況の写真や説明文があるので助かりますが、無かったら桜餅を包む葉っぱと大して変わら・・。

クラーク先生が母校に送った直筆の手紙(のコピー)
なぜか赤インクの文字
あまり・・教え子の学生が講義ノートに書いた文字の方が、はるかに美しく見えます。

 
冬の間には学生を連れて手稲山にも登り、植物を採集したそうです。
なぜ冬に手稲山で植物採集? と思いますが、雪が積もってると、夏場は手が届かないような高い位置に生えている植物(コケや地衣類)を、容易に採集することが出来るんだとか。
確かに、手稲山へスキーしに行くと、樹皮や岩肌の表面にへばり付いてる植物がありますね。←霞を食べて生きてるとしか思えない。

自分の発想では、冬は下草が枯れてて歩きやすいとか、ウルシにかぶれないとか、羆に逢わないとかいう理由の方が説得力がありますけど。

クラーク先生は自ら四つん這いになって踏み台となり、一番背が高かった学生を背中に立たせてその植物を採集させた、という話が残っています。
その学生は靴を脱いで背中に乗ろうとしたら、土足のままで良いと言われて恐る恐る・・雪が積もってるんだから「土足」ではないだろうに。

その時に採集した地衣類の一つは、「ヨコワサルオガセ」という種類だそうです。
ヨコワサルオガセ(横輪猿麻薯) :食べられるらしい
これは新種ではないんですが、確かに新種の地衣類も発見しており、それらは「クラークゴケ」と呼ばれているらしく・・地衣類とコケとは違うんだけども。

左側の説明カードには「オオハンゴンソウ」と書かれています。「オオ」の付かない、在来種の「ハンゴンソウ」に見えるけどなぁ。
オオハンゴンソウ(大反魂草)
これはクラーク先生本人が採集したのではなくて、帰国後に教え子が近郊で採集したもの、という説明がありました。

だとしても・・オオハンゴンソウって、明治中期に渡来した北米原産の帰化植物で、日本全土で蔓延って困るから環境省が「特定外来生物」に指定したほどの植物です。

だから、クラーク先生が来道・帰国した明治初期には、まだ日本には入っていなかったはずです。
もし、この標本がホントに「オオハンゴンソウ」だとしたら、駆除するのに苦労してるオオハンゴンソウを日本に持ち込んだ張本人はクラーク先生なのか・・と疑われたりしないのかな?

サルオガセや樹皮やコケなどを貼って作った風景画(支笏湖で買った)
草木絵画「支笏湖と恵庭岳」
題材は「支笏湖と恵庭岳」だそうで、それらしく見えます。

 
キャンパス内では、新入生が入学や下宿をする準備のために、日曜日にもかかわらず売店や相談所などが営業していました。
のんびり歩道を歩いていると、足元に何やら・・
人生を捨てたのか
これを落とした人は、どんな学生生活を送るんでしょう・・幸多かれ。

面白い造形の雪や氷がありました。
せり出す
櫛の歯というか、パワーショベルの爪というか。

融けて、滑って、落ちる。←嫌がらせ
垂れ下がる


posted by 雁来 萌 |17:42 | 雑念 | コメント(0) |

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