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2008年02月02日

北極圏での生活(6・生業2)

【漁業】
北極海はもちろん冷たくて凍りますけど、スカンジナビア半島の海岸はメキシコ湾流という暖流が流れて来るので、オホーツク海より北にあるフィヨルドでも凍りません。(水深が深いのも一因)
でも港の中は凍っていて、漁船が閉じ込められたままになっている場合があります。

数人で自炊生活をしてると、スーパーで小さいパック入りの食材を買うのは面倒なので、漁協のような事務所に行って「海老を箱で買いたい」と言ってみたら、奥の方に座ってる偉そうな人に取り次ぎました。
奥の方で「バイヤー?」と話し合ってるのが聞こえました・・どうやら、日本人が海老を船ごと買い付けに来た、と思われたようです。(爆)
日本の商社が買い漁りに来るんです。日本人が普段食べてる魚は、ノルウェイやカナダや南米で獲れた、素性の分からない魚もあるようです。
結局、海老をスチロールの箱で2箱買うことで商談が成立し(みみっちぃバイヤーだ)、それから毎日、海老の皮むきですよ。(泣)

薄暗い中での不意の出来事だったので写真も撮れなかったんですけど、駐車場から出てきた車が太ったマグロのような塊を引き摺って行きました。自分で獲ったのか買ったのか分かりませんが、アザラシの口にロープをくくり付けて引っ張ってたんです。
確かに、正真正銘の「シール」ですから、雪や氷の上ならソリに載せるより滑りが良いでしょうね。


【放牧】
スカンジナビア半島の北部では、サーミ族がトナカイを放牧して暮らしています。
わずかな草や苔が生えてる場所を移動してトナカイを育てる途中で、乳を飲めるし、肉を食べれるし、骨の髄は栄養があるし、角や骨を加工して道具を作れるし、腱をほぐせば糸になるし、皮は衣類や靴やテント地になるし・・と、捨てる部位がありません。

サーミが使うナイフ
サーミのナイフ
柄は白樺の瘤、鞘は皮と白樺とトナカイの角で作られ、
鞘に嵌められた角の彫刻
怪しげな模様を彫刻した角が嵌め込まれています。細い皮ひもで腰に吊り下げるだけなので、落とさないのか心配になります。


【通貨】
国境をまたいで放牧・移動してる民族だと、それぞれの国の通貨を全部持っていなければならない・・という必要はありません。国境なんて後から出来た物だし。
隣り合った国同士だと通貨の呼び名も似通っていて、換算レートも同じような価値なので、全部ごっちゃにして使っていました。
例えば、韓国で50ウォンの買い物をし、日本の100円を払って、釣りは中国の50元を受け取る、などという方法が普通に行なわれており、数字さえ合っていればいいんです。
日々の為替レートの変動によって損得が左右される生活をしている人達には、想像ができない方法でしょうね。

ノルウェイの通貨は「クローネ」で、1クローネ=40円くらいでした。クローネの1/100の単位が「オーレ」(=0.4円)です。
商品の値段を「▲クローネ ◆オーレ」と表すのは不思議でも何でもないですが、困ったことに、一番小額のコインがオーレなんです。日本でいうと、1円玉が流通していないようなもんです。

オーレくん
10クローネ玉と10オーレ玉と1円玉

そこで支払いの時には、「ニ捨三入、七捨八入」と呼ぶべき方法を使います。
例えば、支払い額の合計が「▲クローネ 42オーレ」になった場合は「▲クローネ 40オーレ」だけ払えば良いけど、「▲クローネ 43オーレ」になった場合は「▲クローネ 45オーレ」を払わなければなりません。
同様に、オーレ→オーレ、オーレ→10オーレと丸めます。
それを知らないうちは、「釣り銭が足りなかったり多かったりする」と思いました。儲ける時もあるし損する時もあるけど、長い期間ならせば±0になります。

支払い額と釣り銭との関係で、もっと衝撃的なこともありました。子供でさえ釣り銭を暗算で計算できる日本人からみれば、信じられないほど面倒な手順を使います。(省略)

つづく


posted by 雁来 萌 |23:14 | 雑念 | コメント(0) |