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2007年08月04日

極地での墓地事情

そろそろ蒸し暑い季節になってきました。
こういう暑苦しい季節には、涼しい話題が良いですね。涼しいと言えば・・そう、墓場ですね。(そっちかよ)
シリーズ化しつつある(?)ハカ・ウォッチングも、今回で第3話になります。トイレに行くなら今のうちですよ。(笑)

日本では亡骸を火葬するのがアタリマエですが、宗教上その他の理由により、火葬しない場合もあります。
例えば、船乗りは水葬されますね。まさか、船の上で火葬はできませんから。

昔、仕事で北極圏に位置する地域に滞在してたことがあります。
知人から「あぁ、白夜の国ね。」と言われましたが、白夜になるのは夏の期間の話であって、私が訪れたのは真冬です。真冬は白夜の反対で、昼間も(と言うか1ヶ月間ず~っと)太陽が出ません。正午前後の数時間のみ、黄昏のように薄明るくなるだけで、その他の時間帯は全て夜です。
滞在期間が終わる頃、ほぼ1ヶ月ぶりに地平線から太陽がちょこっと顔を出してすぐに引っ込んでしまうのを見ただけで、地面にひれ伏して太陽を拝みたくなります・・「ダ~ヴィ~」って。←今日は荼毘の話。

Godhavn,Greenland
グリーンランドで滞在してた施設と太古の溶岩台地(1990年)
やっと太陽が出てきた時季の、真昼の一番明るい時間帯でもこの程度です。

当然のことながら気候は想像外に寒くて、そんな土地には樹が育たないし、草も育たないので花も咲きません。岩にへばり付いて育つ、「地衣類」と呼ばれる苔のような植物があるだけです。
落ち葉も枯草も無いので、「土壌」という層ができません。地表は岩がむき出しになっているだけで、土が無い地面には穴を掘れません。

家を建てるにしても、土台を埋めることができないので、岩の上に家を置くだけ、という感じです。それでも、太古から存在してる安定な陸塊(盾状地)なので地震など起こらないから、置くだけでも困らないんです。耐震強度なんて必要なく、自重で潰れさえしなければ用が足りるんですね。

そんな町を探索してて、町外れにある墓地に通りかかりました。
樹が育たない土地では木材は貴重なので、大量の木材を必要とする火葬はできません。
棺は一応作りますが、貴重な木材をふんだんに使うことはできないので、簡素な作りです。

土が無いので、墓穴を掘れません。つまり埋葬できないので、棺を岩盤の上に置くだけです。
そんな棺が並んでいること自体が異様な風景ですけども、供える生花が無いので棺の上に造花を飾ってあります。
造花は枯れないので、真冬でも鮮やかな色を保ったままなのが、さらに異様さを増す効果があります。

元々木材を節約して作った棺なので、長年に渡って風雨や吹雪に曝され続けると、棺が変形したり分解してきたりします。
分解しかけた棺の隙間を覗き込めば、ミイラ化した遺体の一部が見えるだろうと想像するんですが、とても試みる気にはなりませんでした。
寒いから腐ったりし難いんでしょうけど、あんな棺がさらに分解すると、中の人はどうなるんでしょう。
 

北極圏ではどんな暮らしをしているのか・・疑問は他にも色々と湧いてくるでしょうね。
 ・水道は凍らないの?
 ・どんな服着てるの?
 ・何を食べてるの?
 ・トイレはどうするの?
 ・移動はどうやって?
気が向いたら冬の間にでも書こうか、と思っています。


posted by 雁来 萌 |22:47 | 雑念 | コメント(0) |