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息子がサッカーを始めたのでサッカーを観るようになり、1997年のフロンターレ戦でコンサにはまりました。自分自身は全くの素人です。観戦はSB席。ホームゲームの半分はCVSやってます。
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2014年01月17日
それにしても FC岐阜。 ラモス監督に GK川口能活、MFに三都主アレサンドロだそうで、ずいぶんと思い切りましたね。 対戦が楽しみです。![]()
未解決の殺人事件の再捜査を軸に、大型ショッピングセンター進出による地方の商店街の疲弊、食品偽装問題の裏側を暴いていく 社会派風のミステリーで、テンポの良く運ばれるストーリーは なかなか面白く、楽しめます。 以下、ネタバレあります。
地方の商店街をシャッター街と化し、町を壊した一因である大型SCも、一旦勢いを失えば 今度はSC自身がシャッター街となりかねず、拡大路線という自転車操業から逃れられない現実。これは なかなか考えさせられる問題です。 一方で、より安価な食品を生み出す為の手法に関して驚かされるような気味の悪い話しもあって、さすがに日本ではここまではやっていないだろうと思いつつも、昨年の食品偽装(誤表示)問題だけでなく、五十歩百歩の事をしている店があるのも実際に聞いており、気になるところです。 警察内部の利権構造や、組織と自分を守るための醜い争いなど、警察小説としての面白さもあります。 ただ、ミステリーとしてはつまらないです。 全体にステレオタイプに単純化し過ぎていて、謎解きの面白さはあまりありません。 そもそも「震える牛」というタイトルからBSEの問題を絡めて来るのは明らかで、そこに冒頭の事件で獣医師と産廃業者が殺害されるとなると、大体の展開は読めてしまいます。 大事なところも穴だらけで、作りが雑すぎます。 犯行現場の居酒屋。入口近くのレジで現金を奪った後、混雑する店の奥に入って客を襲って殺し、金品を奪った上でまんまと逃げきるなんてありえません。 最後の取調室。自白を強要するような誘導尋問や、被疑者に奪わせる為に取調室に刃物を持ち込む事も論外だし、肥後守を逆手で握るというのも論外。それを犯人の証拠だとするのは刑事コロンボのようなドラマの見過ぎです。 真犯人が殺人をおかす動機、女性記者が巨大SCチェーンを相手に戦う動機も薄いです。 結局、プロローグとエピローグに記されているような内容を言いたいがために ミステリー仕立ての小説を書いたという事なのでしょうね。 その意味では成功していると思います。 ただ、いずれもモデルとなる企業が容易に想像できるだけに なんとなく真実味はありますが、本当に真実なのかどうかは全くの別問題。実際、著者自身も5割は嘘のエンタメ小説だと認めているそうなので、ご注意を。
2014年01月13日
「永遠の0」「ボックス」「海賊と呼ばれた男」を書いたベストセラー作家の作品です。 歴史小説ですが、読みにくさはありません。![]()
元放送作家だけあって 構成が上手く、文章も読みやすく、とても面白いストーリーで、一気に読ませます。 様々に張り巡らされた伏線も 最後に見事に回収していますし、本当にきれいにまとまった作品です。 映像化された時の画も 目に浮かんでくるようです。 表の主人公である戸田勘一、後の名倉彰造の刎頚の友、磯貝彦四郎が陰の主役で、だからこそタイトルは 「影法師」。 民を救うという夢に真っ直ぐに向かって努力する 勘一、自分を犠牲にして刎頚の友と愛する女性を守り抜く 彦四郎。 二人とも格好良すぎますが、その関係には心を打たれます。 最後に永年、彰造の命を狙っていた刺客が言います。 「磯貝彦四郎ほどの男が命を懸けて守った男を、この手にかけることはできぬ。」 悪役ながら 格好良いです。 ただ、上手くまとまりすぎているというか、出来すぎなところが欠点でしょうか。 きれいに流れるだけで深みが無く、物足りなさが残ります。 文武に秀でて 緻密に考え実行力もある彦四郎なら、自分も生かす道を考えられたのではないかと思いますが、そこが不満というか 納得できない部分。 それぞれの心情の機微に関する表現に乏しいのも ちょっと残念です。 単行本には収録されていなかった 幻の最終章が文庫にはおまけのような袋とじで収録されていますが、これは 蛇足です。本編の中で 十分に伝わって来ます。幻のままで良かったと思います。。
2014年01月08日
この年末年始に読んだのは「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」(トマス・ハリス著)で、いずれも面白くて一気読みだったのですが、内容的に さすがにこの時期に読む本なのか? と 自分でも思ってしまいました。 「羊たちの沈黙」は 旧訳で読んだのだけれど、訳文が読みづらかったのが残念。 「ハンニバル」は ラストがそうくるの?という感じかな。 どちらも映画化されていますが、どちらも観ていないので、近々 DVDを借りてこようと思います。 という事で、その前に読んだ「鋼鉄の叫び」です。![]()
終戦50周年のスペシャル番組を企画している TV局プロデューサー(現在)と、その番組で取り上げる為に探し出した 特攻へ出撃するも自らの意志で生還した特攻隊員(過去)、彼を探し出す過程をリンクさせたストーリーで、戦争を通して人生や人間としての生き方を考えるというアプローチは珍しくもありませんが、なかなか読み応えがあって 面白かったです。入院中に読んだのですが、一日で一気に読み終えました。 ただ、主人公の不倫関係も絡めてあって、これが面倒くさい。現代の日本人と過去の日本人の共通点、それぞれの苦悩と葛藤を描き出そうとした意図は判らなくもありませんが、余計だったと思います。 この本には 幾度となく「システムではなく人間だ」という言葉が出てきます。 大事なのはシステムではなく人間だという事で、“システム”よりも“組織”という表現の方が適切な気はしますが、その点に関しては共感できる部分が多いです。 ミスをし 判断を誤るのが人間で、そうしたミスをカバーするために存在するシステムもありますが、そのシステムを作るのも人間なわけで、優秀なリーダーは大事ですよね。 第二次大戦の特攻隊員を扱った作品として、どうしても「永遠の0」と 比べてしまいます。 作品としての面白さは「永遠の0」に軍配が上がりますが、戦争や特攻に対する批判は こちらの方がストレートに書かれていて、予備知識が無くても判りやすいように感じました。 この作品のタイトル「鋼鉄の叫び」の意味が よく判りません。 先日取り上げた桜木紫乃の「ラブレス」同様、タイトルで損をしていると思います。
2013年12月12日
「厭な子供」「厭な老人」「厭な扉」「厭な先祖」「厭な彼女」「厭な家」「厭な小説」の7編。 ドロドロとした 救いようのないストーリーの連続。 「厭な彼女」なんかは本当に厭な話で、身近にこんな女がいたらと思うとぞっとする。 当事者(各編の主人公)にとっては 本当に厭な出来事の連続なのに、第三者(読者)から見ると面白い というのは理不尽であるが、それが小説(“他人の不幸は蜜の味”という言葉があるくらいで、現実世界も同じな訳だが)というものだから仕方ない。 しかし、本当に厭な奴は 上司の亀井な訳で、こういう上司は 現実世界でも どこにでもいそうなのが 余計に怖い。 もしかして 自分がそんな上司のように思われているかもしれないと想像すると、それも怖い。
最近あった厭なこと。 10月の健康診断で、オプションで受けた脳ドッグは “異常なし”だったのですが、心電図が “下壁梗塞の疑いあり”という事で 再検査となりました。 再検査で 心電図の取り直しと心臓エコーをしたら、「心臓は元気に動いていますが、この心電図を見て 問題なしと判断する医者はいません」との事で再々検査となり、 再々検査の心臓CTでは 動脈の分岐点に細くなっている部分が見つかって、「血液は流れているようなので緊急的な問題はありませんが、きちんと検査した方が良いです」との事から、 今度は 心臓カテーテル検査を受ける事となりました。 今まで血圧は高く、心拍数は多かったけれど、不整脈や心臓が痛いなどの自覚症状は無かっただけに ちょっとショック。 振り返ると 今年は、“脈拍が早すぎる”という理由(その日は120位だった)で 献血が出来なかった事もあったっけ。 正常ではないと言われると、今まで気にならなかった事が気になって、なんとなく具合が悪いような気になるのが不思議。 “病は気から”という言葉は間違っていないのでしょうね。 3泊4日くらいの入院となるようなのですが、気になる事は年内に片付けてしまいたいし、幸い 仕事の調整も付きそうなので さっさと検査を受ける事にしました。 再検査で4000円位、再々検査で12000円位かかりましたが、今度はいくら掛かるのやら。 3泊4日のカテーテル検査では 僕の入っている生命保険では給付の対象にもならないでの、自分の健康の為とはいえ、なんとなく損をしたような気分になります。 逆に言えば それ程の大事ではないから心配するな という事なのでしょうけれど。 さて、厭な事はさっさと済ませて、気分よく クリスマスや年末年始を迎えようっと。
2013年12月10日
古本屋さんで ふと手に取って、パラパラとめくると面白そうだったので 買ってきました。 ただ、初めての作家で、本当に面白いかどうか 判らなかったので、何巻かあったけれど、とりあえず第1巻だけ。 薄い本ですし、文章も平易で、自宅に戻って すぐに読み終えました。
なかなか面白かったですよ。 ただ、大幅な加筆・修正が加えられているとはいえ、元々は ベネッセコーポレーションの「チャレンジキッズ5年生」に1年間連載された『ぼくの幽霊屋敷日記』という作品だそうで、基本的に 小学生向けの児童書、ファンタジーです。 自我の確立というのでしょうか、子供が一番成長する時期の 親離れ 子離れの物語ですね。 大人が言うところの“良い子”は本当に良い子なのか? という 誰もが一度は思った事がある素朴な疑問に対する答え(の一例)が書かれています。 世の中の善と悪は相対的なものであり、絶対的な善や悪はない。人と違っていてもいいじゃない、という作者の強いメッセージを感じ、共感できるところが多々ありました。 おじいちゃんの言葉には なかなか深いものがありますし、子供に読ませたい一冊ですが、大人が読んでも 面白いと思います。 続けて 第2巻も買って読みましたが、1巻とは ずいぶんと趣きが違っています。 主人公が 小学生から高校生へ成長したという変化だけではなく、表面的なファンタジー感だけが前面に押し出され、物語の深みが無くなってしまったように感じます。 魔性の者や 異界の者が出てくるだけでは ファンタジーとは言えないと思います。 2巻は話の途中で終わっていますが、3巻を買ってまで 続きが読みたいとは思いませんでした。 『下町不思議町物語』 も 読みました。 主人公である小学6年生の男の子が 異界の人たちに助けられながら 自立していく物語で、僕とおじいちゃんと魔法の塔の第1巻に近いものがあります。 あるがままを受け入れて 堂々と 一生懸命生きて行くことの大切さを訴えており、ここにも共感できる価値観があります。 自立した後も 異界の世界から卒業するのではなく そこに留まるというのが 今時というか、香月日輪の世界なのでしょうか。 大人でもそこそこ面白く読めますが、ファンタジーで味付けした 子供向けのライトノベルというところでしょうか。
2013年12月06日
今年、第149回直木賞を受賞した桜木紫乃、 受賞作である『ホテルローヤル』を読んだ後、 『凍原』、『起終点駅(ターミナル)』を読み、今日『ラブレス』を読み終えました。![]()
道東の極貧の開拓農家の娘・百合江の 波乱万丈で壮絶な一生を中心に、その母・ハギ、妹・里実、娘・理恵、姪・小夜子の人生を描いています。 時に反目しあいながらも 切れない絆で結ばれている 母と娘、姉と妹、従姉妹たち。 それぞれに対照的な性格の女たちは 各々 問題や不幸を抱えており、全体に 暗く 重いトーンで話は進みます。 しかし、周囲に翻弄され 流されながらも したたかに 逞しく生きる姿が描かれ、次第に グイグイと引き込まれ、後半からは 一気に読み終えました。 登場する男は (石黒を除いて)どうしようもない男たちばかりなのですが、ラストのシーンでは泣かされました。 小説なのですが、「人生劇場」や「テネシーワルツ」、「時の過ぎゆくままに」など、昭和の歌謡曲が 様々な場面で 効果的に使われています。 何度か 百合江の歌声が聞こえてきそうに感じました。 146回直木賞、吉川英治文学新人賞などの候補となったそうですが、この作品にはそれだけのものがあると思います。 受賞作の『ホテルローヤル』よりも 読み応えがありました。 ところで、タイトルは “LOVE LESS”。 何故 このタイトルになったのでしょう? このタイトルで損をしていると思うし、もっと違ったタイトルがあったように思います。
「かたちないもの」、「海鳥の行方」、「起終点駅」、「スクラップ・ロード」、「たたかいにやぶれて咲けよ」、「潮風の家」、北海道を舞台にした6つの短編からなる短編集です。 不倫や身内の犯罪、親の失踪 など、重い過去を背負って 孤独に生きる人々の姿を描いています。 男と女、親と子、様々な人間関係が淡々と描かれますが、そのどれもが 切なく哀しいです。 しかし、苦しみ 悩みながらも 皆 前向きに生きており、その根底には 生きる事への肯定があるように思います。 暗い話が多いですが、それぞれに 深い余韻があり、読後感は 決して悪くないです。 「たたかいにやぶれて咲けよ」、「潮風の家」が良かったです。![]()
著者唯一の長編ミステリーです。 ひとつの事件が発端となって暴かれるいくつもの過去。 終戦間際の樺太から必死の思いで引き揚げて来て、マサリベツ、ススキノ、室蘭、現在の釧路まで、広大な北海道を舞台に展開されるストーリーは なかなか読み応えがありました。 『ホテルローヤル』でも 一番印象に残ったのは「星を観ていた」だったし、桜木紫乃は こうした底辺であえぎながらも 生きる女たちを描かせると 本当に上手いと思います。 ただ、この作品に関しては、如何せん殺人の動機が薄すぎて、警察小説としては消化不良、ミステリーとしては今ひとつです。 “北海道警察釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂”というサブタイトルが付いていますし、暴力団員となったリンとの関係など、いくつかのネタが残されていますから、上手く行ったら続編をと考えているのでしょうか。
2013年11月14日
昨日 13日から限定発売された SAPPORO 麦とホップ 贅沢初摘み。 2013年の チェコ・ザーツ産 ファインアロマホップを使用した 麦ホです。 僕好みの 薫り高い麦ホで、下手なビールよりも美味しいと思います。 クラシック富良野VINTAGE に比べると あっさりして 物足りなさが残りますが、 比べるのは 酷というものです。![]()
さて、村上春樹の新作短編、ドライブ・マイ・カー。 先日発売された文芸春秋12月号に掲載された短編です。
主人公は 女優だった妻を亡くした初老の俳優。 妻が生前に共演相手と情事を重ねていたことが どうしても納得できず、 情事の相手と話をすることで 妻の心を探ろうとします。 娘のような年齢の運転手が 狂言回し。 短い文章を連ねて 淡々と展開されるストーリーは、さらりとした印象ながら なかなか深いところもあり、考えさせられます。 どれだけ理解し合っているはずの相手であれ、他人の心をそっくり覗き込むなんて、それはできない相談です。僕らがやらなくちゃならないのは、自分の心と正直に折り合いをつけていくことじゃないでしょうか。本当に他人を見たいと望むのなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。 頭で考えても仕方ありません。こちらでやりくりして、呑み込んで、ただやっていくしかないんです。 そうなんですよね。 いくら仲の良い夫婦でも、相手が何を思っているかなんて 永遠に判らない。 判らないという事を理解して 演技する。 真剣に演技を続けると、いつか演技と本当の境界が曖昧となって・・・ でも 判らなくて良いのではないのかな。 判らないからこそ 上手く行くこともあると思うし。 人の心は 本当に難しいです。 ビートルズの曲のタイトルと同じ題名、それも「ノルウェーの森」と同じ Rubber Soul に収録されている。ポール・マッカートニーの来日とシンクロする発売日 などから、いろいろな見方をする向きもあるようですが、それは どうかな。 あまり関係ないような気がします。 亡くなった父は 文芸春秋と リーダーズダイジェスト(昭和61年休刊)をずっと購読していたけれど、僕は 年に1~2冊 買うか買わないかという程度。 今回も 村上春樹のこの短編が掲載されていなければ買わなかったし、買っても読みたいページは ごく限られているので、果たして 840円の値はあったのかな。 コンサドーレ札幌と洞爺湖町の 協定締結。 彼なら どんな反応を見せただろうか。 生きていれば 辛い事もあるけれど、それ以上に いろんな良い事もあるのにね。
2013年11月13日
今日も お隣さんから 声をかけられました。 “ベトナムでも中継するんだって? 英雄もいるし、負けられないね!” その通り! 勝つしかない試合です。![]()
『ざらざら』も『パスタマシーンの幽霊』も 「クウネル」という 女性向けの雑誌に掲載されていた掌編を中心にまとめた短編集で、『ざらざら』に23編、『パスタマシーンの幽霊』に22編 収められています。
続編となる『パスタマシーンの幽霊』の冒頭は 「海石」。 “いくり”と読みます。 一般的に いくり は海中の岩の事で、ワープロで変換すると“礁”という漢字が出てきますが、ここでは“海石”という漢字を当てています。 主人公は 海の穴に住む不思議な生物。 50年に一度くらい 町にさまよいでます。 確かに岩礁には様々な生き物が住んでいますが、これは化け物、妖怪変化の類で、陸に上って人間を好きになったり 食べてしまったりします。 ただ、海の中のような透き通った世界観で、おどろおどろしさはありません。 なんとなく 優しい暖かささえ感じて、これが川上ワールドなのでしょうか。 人間の男は えぐくて 癖が強くて 美味しくないそうです。 恋愛や不倫、失恋、家族や友情などを描いた作品、 お婆ちゃんの幽霊や 40歳位のコロボックルの男性などが登場する不思議な作品など、テーマも設定も様々な掌編が集められています。 それぞれが一話完結の独立した作品ですが、おかまの修三ちゃんや 小さい山口さんなど、続編となっている作品も いくつかあります。 タイトルや 「海石」のせいで 奇譚集のようなイメージがありますが、そうした作品はむしろ少ないです。 さらりとした文章のせいか 全体に穏やかで柔らかい雰囲気がありますが、その中に結構するどいトゲや シリアスな問題が隠されており、切なかったり、怖かったり、笑えたり、深かったり、ゆったりと楽しく読めます。 一編一編ゆっくりと味わいながら 読み進めるうちに なんとなく癒されるような短編集でした。 N先生も どこかで『パスタマシーンの幽霊』は面白い と書いていたと記憶しているのですが、確認しようと思って探しても 見つかりません。 往々にして そんなものですよね。
2013年11月07日
第149回の直木賞受賞作です。 シャッターチャンス、本日開店、えっち屋、バブルバス、せんせぇ、星を観ていた、ギフトの7編。 ホテルの開業から閉鎖、廃墟となって以降の話まで、程度の差はありますが、ホテルローヤルに関わる人々を主人公に、様々に趣向を変えながら、時系列を遡るように並べられています。
どこにでもありそうなラブホテルを舞台に、どこにでもいそうな人々の、あまり恵まれない日常の中の喜びや悲しみ、どうしようもない切なさなどが描かれています。 あっさりと読み終えられますが、単に 面白いという言葉では片づけられないような、なかなか 深いものがあります。 働かない年下の夫を持つホテルの清掃係の女性を主人公にした「星を観ていた」が一番心に残りました。 と、 「せんせぇ」の2人はホテルローヤルとは関係ないのに 何故? と思っていたのですが、もしかすると 心中したのは この2人だったのかな? と、今 気が付きました。
2013年11月06日
最近は 野風さんからお借りした本の記事が続いていますが、この本もそうです。
スラスラと読め、まずまず面白かったです。
ただ、結末は 前半の結構シリアスな展開から予想したものとは大きく異なり、あまり期待すると 肩透かしをくらいます。
コピーにあるような “完全無欠の恋愛小説”というレベルには とても達していません。
ちょっとファンタジーが入った恋愛もののライトノベル という感覚で良いと思います。
映画化されて公開中ですが、さて、どうしましょう?
以下、ネタバレあります。
後半になると いたる所に伏線が張られていて、ラストは比較的簡単に予想できます。 そもそも 真緒という名前からして伏線(マオは猫という字の中国語読み)ですし、 結果を知ってしまうと タイトルや 表紙のイラストも伏線です。 作中に「猫に九生あり」という中国の諺が出てきます。 (意味) 猫には沢山の命があって、何度も生まれ変わることができるという迷信から、猫は執念深くなかなか死なないとか、猫は殺しても何度でも生き返るぞ、ということ。 一見、ほんわかとしたファンタジーですが、見方によっては 結構怖い結末で、ホラーです。 確かに二人が再会して 結婚したところまでは良かったけれど、真緒が突然姿を消し、その瞬間に両親さえも真緒の事を忘れてしまい、真緒の事を覚えているのは浩介だけ。 周囲の人間から 真緒に関する記憶だけが無くなるのではなく、真緒が存在した痕跡さえなくなる という展開は、長い夢を見ていましたというオチならともかく、あまりにも非現実的です。 周囲が存在さえ忘れている人物を探し回る浩介は、周囲から見ると精神に異常を来たしているように見えるでしょうし、職場でも取引先でも近所でも変わり者扱いされ、信用を落とします。 そこから復活するのは並大抵の努力ではないですし、自分だけが周囲から完全に孤立してしまう というのは相当な恐怖ですよね。 真緒の正体に気付き、子猫に生まれ変わって来た真緒を拾う事で 浩介は立ち直り再出発する事になるのでしょうけれど、今度は猫の真緒とまた一緒に生活する事になる訳で、浩介に新しい彼女が出来た時の状況を考えると、これも怖いです。 かといって、猫の真緒だけを可愛がって 生涯独身という事になっても浩介が可哀そう。 猫の恩返し ならぬ、化け猫のたたり とならなければ良いのですが。 余計なお世話でした。