2021年03月13日
~進化~(36)故障離脱の原因-<累積走力>からの点検
コンサの現在苦境となった「4選手故障離脱」原因につき、吉原宏太「チャナティップ・日常生活での摂取食品原因」や「選手のフィジカルコントロールの未熟」など、諸説色々と飛び交っていますが、
一番気掛かりとなる「選手の過酷起用」の有無につき、点検・確認してみます。
その「キー要因・ポイント」は、「累積・走行距離とスプリント数」「起用インターバル」である事は間違いありませんね。
その観点で、記載します。
1.累積「走行距離・スプリント数」状況
選手個別の「走行距離・スプリント・インターバル」の一覧です。
期間は、➀節~LG➀節~➁節 3試合後に「4選手離脱」となったため、その期間の選手個別数値です。
=累積スプリント数順に記載=
走行距離km スプリント数回 故障★
試合 ➀ L➀ ➁ 計 ➀ L➀ ➁ 計
FW 小柏 9 3 9 18 36 11 29 76 ★
MF 金子 11 - 9 20 29 - 24 53
MF ルーカス 8 3 11 23 15 7 20 42
FW ロペス 9 - 10 19 21 - 17 38
DF ミンテ 10 - 10 21 12 - 22 34
MF チャナ 10 - 11 21 14 - 11 25 ★
DF 田中 11 3 10 25 6 4 13 23
FW ドド 1 11 1 13 8 11 1 20 ★
MF 菅 3 8 1 12 3 15 2 20
MF 駒井 10 - 10 21 10 - 9 19 ★
DF 福森 10 - 10 21 11 - 7 18
MF 高嶺 1 9 0.6 11 1 14 1 16
MF 青木 - 9 - 9 - 15 - 15 ★
MF 深井 1 10 - 12 3 11 - 14
MF 宮澤 11 - 10 21 5 - 7 12
DF 岡村 - 0 - 10 - 10 - 10
DF 柳 - 10 - 10 - 10 - 10
DF 中村桐 - 10 - 10 - 8 - 8
FW 中島 - 9 - 9 - 8 - 8
MF 小野 1 4 - 5 1 3 - 4
GK 菅野 5 - 5 10 0 - 0 0
GK 小次郎 - 5 - 5 - 2 - 2
この一覧から、
(1)「累積スプリント数」上位選手に、故障が集中し、逆に、低位選手には故障は発生していない事が証明されています。
特に、若手「フィジカル強」の、<小柏・ドド>故障が特徴的です。
(2)「累積走行距離」の上位選手に故障集中は無く、<ベテラン駒井・中堅チャナティップ>故障が特徴的です。
(3)累積スプリント数上位の「多起用量選手」でも、故障も無い<金子・ルーカス・ロペス・ミンテ・田中>のフィジカル耐久性が証明されています。
(4)連続起用については、3連続起用の選手6選手中<小柏・ドドの2選手>が故障、<ルーカス・田中・菅・高嶺>4選手は問題無しで、連続起用が故障発生の引き金、と言う訳では無いものでした。
との分析となります。
更にもう1データ。~「スプリント数/試合平均・前年比」です。
2020平均 2021平均 対比
コンサ 164回 ↗ 172回 + 8回
リーグ 163回 ↗ 180回 +17回
(5)前年は、リーグ平均値でしたが、今シーズンは大きく劣後で、
リーグ動向<スプリント数急増=より速いサッカー>指向で、
「走るサッカー」の意味は、「より豊富な運動量」から、
<よりスピード・速い運び、寄せ>に移行しています。
結論は、
A.「故障因子」
「ベテラン・中堅」選手は、
~「過超累積走行距離」=「筋肉疲労」が故障因子
「若手高フィジカル」選手では、
~「累積スプリント数」=「筋肉・瞬発系ダメージ(筋損傷)」が故障因子
B.「連続起用」
<3試合連続・フルタイム起用>は「0」で、故障因子にはなっていません。
C.<より速いサッカー>指向=「スプリント回数急増」に、
コンサは、「スピードを持つ選手」=若手主体選手の選手起用で対抗。
しかし、増加は、現状「微増」程度で、「より速い移動・寄せ」が課題。
この傾向は、「故障誘発」懸念が付帯し、「豊富な選手起用により、集中起用=疲労累積・集中による故障を回避」の選手起用戦略が必要で、コンサでは「弱点化・ウィークポイント」ともなるもの。より「豊富な選手保有」確立を指向し続ける事が大きなチーム課題です。
2.分析結果・コンサ課題「スプリント数累積疲労」への対策
「試合での疲労」は、
a.「筋肉疲労」
b.「筋肉ダメージ」
に二分され、全く別の原因と対応策となりますね。
ちょっとだけ「医学豆知識」です・・・
a.「筋肉疲労」は、昔は「乳酸蓄積けによるもの、との説明がまかり通っていましたが、現在解明され、
「筋肉がエネルギーを使用」するため、乳酸が生成されますが、その過程で、水素イオンが生成され「筋肉が酸性化」する事、同時に、
エネルギーが、「筋肉グリコーゲン」の分解により生成されますが、「筋肉グリコーゲン減少」で蓄積量大幅減少となる事、がその意味とされています。
「走行距離増加」は、この「筋肉疲労」=「筋肉酸性化と筋肉グリコーゲン減少」に相関し、「休養と栄養補給活動により、酸性化➝中性化、筋肉グリコーゲン補給」で回復されます。それは、人間の生理活動~働きによるもので、「栄養吸収力や代謝力」により、個体差(個人差)もあり、一定期間を要するものですが、<その回復前・途中で、強烈な筋肉使用=試合出場>では、「筋肉の酸性化とグリコーゲン蓄積量で、低レベルのまま試合の激しい筋肉使用で、筋肉強度を喪失し、筋肉損傷・断裂」を引き起こすものです。
・・駒井・チャナティップの故障発生過程は、これだと推測します。
b.「筋肉ダメージ」は、
強度の高い「筋肉収縮」を連続すると、「筋繊維・組織・その周辺部位が傷付き」「その部位が炎症」また、コロナで有名になった「サイトカイン」が作成され、「筋肉痛」発症となります。
つまり、「筋肉の繊維が一部切れたり、細くなり切れる寸前になったり、最悪は、一定数が同時に、切れる=断裂」となっている事です。
この、謂わば「ケガ」状態を回復させるには、「筋肉細胞・組織の自己再生」過程が必要となります。ちょっとした「切り傷」が直るには「2~3日」掛るのは、通例ですね。同様に、「僅かな筋組織の再生」は「通常4~5日」で回復、との「通常回復・リカバリー期間」となりますが、個々選手の「組織再生力差」で、「前後」する回復必要期間となります。
しかし、ここでも<その回復途中で、筋肉強度活動=試合出場は、一部切断が、一気に断裂が必至・濃厚>となります。
・・小柏・ドドは、正に、この故障発生典型例と推測します。
この様に、1.での結論通り、
「ベテラン・中堅」の「疲労回復力」が普通~やや弱い選手は、<連続試合起用厳禁>で、たとえ「育成選手起用」により「勝利が遠くなっても」、肝心の「虎の子選手故障離脱」よりも価値は高く、「腹を据えた選手起用」が必須です。
また、
「若手・高フィジカル選手」も、「スプリント数個別管理」で、<限度数設定>で、限界点前に「起用回避」しか、正解はありません。
(同様、管理で有名なのが「プロ野球・投手投球数制限と運営」で完全定着していますね。)
サッカー界は、チームにより「総合管理・個別管理」の手法・ハイテク化・適正度に大きな格差があるのが、現状ですが、コンサも、リーグ並み~先端の中で、やる時期が来ています。
どちらにしても、「科学的選手管理」で、
<選手の個別フィジカルデータ値の適正な把握と運用>が最低条件です。
posted by yuukun0617 |18:27 |