2009年07月01日
鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
函館日帰りバスツアーを申し込もうとしたら既に完売でキャンセル待ちになってしまいました。(^^; それはさておき,
今日はタイトルのように,鉄道に詳しい方に質問してみます。 教えて下さい。m(_ _)m 最近,新潮文庫の「鉄道員は見た!」(難波とん平・梅田三吉)という本を読みました。この本の中に計算式が3回ほど出てきます(言葉で書かれてある場所も含む)。 1.電車の制動距離 (ブレーキをかけてはじめてから停止するまでに進む距離) 2.電車がある速度からある速度まで減速する間に進む距離 (初速度V1(km/h)から,1秒あたり平均d(km/h/s)で減速して,V2(km/h)まで減速するまでに進む距離) 注:「h」は「時(時間)」,「s」は「秒」です。 3.停止していた電車が(上方向に)動き出せるかどうかの判定 (ある勾配の上り坂で停止していた4両編成の電車のM車2両のうちの1両の主電動機が故障したため,1両だけで起動しなければならなくなった。起動できるか。) このうち,2と3は本に書かれてある式を見て納得したのですが,本日の質問は1に関してです。 ※ですので,「数式は見るのも嫌」というかたはここから先はご覧にならないで下さい。(笑)
1の式は, 「時速V(km/h)で走行している電車の制動距離はV^2/20 (m)」 という,とても覚えやすい式です。 注:「V^2」は「Vの2乗」を表します。 例えば,時速60キロメートルの場合は60×60/20=180(m),時速80キロなら80×80/20=320(m)などと出せます。 そこで質問。この計算式は,電車の“標準的な電車のブレーキ性能”または“望ましい減速の度合い”というもの,つまり「1秒あたりに,時速何キロメートルずつ減速するか」の数値を決め打ちしているのだと思います。私の計算では,「大抵の電車の減速の度合いは『1/0.36=2.77777…(km/h/s)』」,つまり1秒あたり約3(km/h)弱くらいの減速をするものだ,となったのですが,多くの電車はそういうものなんでしょうか。 まあ,これは「電車のブレーキ性能」というよりは,「乗客の安全(よろけたり転んだりしない)を考えた場合の理想的な減速度合いの標準」という気がしますが。
ちなみに,2と3は運転士の試験にも出されるような問題らしいですし,1は電車の運転士にとっては常識(というか運転者講習で叩き込まれるのでしょう)みたいです。 何かご存知の方はどうかこの暇人にご教示下され。お願いします。m(_ _)m
〔以下は蛇足です。私が自分用のメモとして書いているだけですのでお読みになる必要はありません〕 私の計算が間違っているかも知れませんので,念のため私のした計算を書いておきます。 電車の走行距離は,横軸に時刻t(s),縦軸に速度v(m/s)を取ったグラフにおいて,横軸からグラフまでで挟まれた領域の面積として求められます。今の話の場合は,一定の度合いで減速,ですので,グラフは右下がりの直線です。したがって横軸とグラフで挟まれた領域は三角形(面積=底辺×高さ÷2)です。 ・「高さ」にあたるのは初速度で,V(km/h)=V/3.6(m/s)です。 ・「底辺」は制動時間ですが,今はとりあえずt(s)としておきます。 ・すると「制動距離=三角形の面積」は (V/3.6)×t÷2 (m)となります。 ・これが上で述べた計算式に等しい: (V/3.6)×t÷2 (m) = V^2/20 (m) ということから,制動時間t(s) = 0.36×V (s)がでます。この式は (1/0.36)×t = V と変形できますが,これを (加速度)×(時間)=(速度) とみなすと,「1/0.36」というのが「1秒あたりの減速の度合い(km/h/s)」なのではないか,と思ったわけです。
posted by ○た |12:06 | その他 | コメント(8) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
>「電車のブレーキ性能」というよりは,「乗客の安全(よろけたり転んだりしない)を考えた場合の理想的な減速度合いの標準」という気がしますが
それも考慮に入れるでしょうけど、一番の要件は、最高速度からブレーキかけて600メートルで止まれることです。(だから踏み切りのない路線以外は最高速度130kmが現状では限界です)
だから、特急北斗(スーパー北斗ではありません)の車両は、以前は最高速度120km/hでしたが、スーパー北斗登場に合わせて130km/h運転にする際、そのままではブレーキ性能が不足したので、より大きいディスクブレーキに換装してます。
ご質問の核心とはずれているかも知れませんが、ひとつの参考になれば幸いです。
posted by かもめ| 2009-07-01 12:52
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
かもめさん,どうも。(^^)
お待ちしておりました。:-)
>それも考慮に入れるでしょうけど、一番の要件は、最高速度から
>ブレーキかけて600メートルで止まれることです。
どうもありがとうございます。m(_ _)m
なるほど,それは重要そうですね。運転士が前方の危険の有無を視認できる最大の距離が600メートル,ということでしょうか。
>特急北斗(スーパー北斗ではありません)の車両は、以前は最高
>速度120km/hでしたが、スーパー北斗登場に合わせて130km/h運転
>にする際、そのままではブレーキ性能が不足したので、より大き
>いディスクブレーキに換装してます。
ものすごく具体的な事例を紹介してくれてありがとうございます。
あの本に載っていた話は大阪の某私鉄電車の話なので,長距離特急とか(ましてや新幹線とか)になると,多少数値を変えないとあてはまらないのかも知れませんね。あの式(v^2/20)をそのままあてはめたのでは,600(m)で停止できる最高速度は約110(km/h),ということになります。
それが130(km/h)でもちゃんと停まれるということは,(北海道の)特急列車などは大阪の某私鉄電車よりも減速の度合いが大きい(強くブレーキをかけている,もしくは,ブレーキ性能が優れている)ということになると思います。
posted by ○た| 2009-07-01 13:31
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
始めまして。某会社に勤めていますのでわかる範囲で。ちょっと長くなりますが、すみません。
運転理論の公式から、距離S(km)=速度V(km/h)×時間T(h)なので、減速した場合はS=(V1-V2)×Tです。
停車した場合V2が0ですからS=V1×Tでもとめるので、130Km/hから600Mで止まるにはT=0.6/130で16.6秒かかります。
1秒あたりの減速度β(Km/h/s)はV(Km/h)/t(s)ですから、130/16.6=7.83Km/h/sです。
通常ブレーキには常用と非常と2種類あり、非常で600M以内に止まる様に法律で決まっています。
駅に止まる場合常用を使用しますので、減速度は某地下鉄の場合3.5です。(非常は4.5)
実際には、ブレーキが効くまでの空走時間や天候・勾配・空気抵抗などの諸条件があり、鉄車輪とゴムタイヤでは差がでますし、鋳鉄制輪子と焼結制輪子では摩擦抵抗の違いで減速も違います。
常用ブレーキは車にもよりますが8段階あり最大8ステップで3.5で、車輪がロックしない様に階段ゆるめしながら運転します。
わかりましたでしょうか?
posted by ganchan| 2009-07-01 21:30
訂正
細かいことですが、訂正です。
換装したのはブレーキディスクではなく、ブレーキシリンダー(より大型のへ)でした。
posted by かもめ| 2009-07-01 21:54
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
ganchanさん,ようこそ,はじめまして(^^)
私のような者に鉄道関係の方からコメントいただけるとは実に嬉しい限りです。
ありがとうございます。
きちんと咀嚼・検討してから(今晩か明日)あらためてお返事いたします。
よろしくお願いします。m(_ _)m
かもめさん,どうも。(^^)
わざわざ訂正ありがとうございます。m(_ _)m
posted by ○た| 2009-07-02 12:50
ganchanさんへのお返事
やはり「餅は餅屋」「馬は馬方」。「鉄は鉄道屋」でしょうか。:-)
具体的なお話を伺えてとても嬉しいです。
ブレーキに通常と非常があって,非常では「600メートル以内で停まれること」という条件が法律で定められているのですね。
>駅に止まる場合常用を使用しますので、減速度は某地下鉄の場合3.5です。
>(非常は4.5)
>実際には、
…
>常用ブレーキは車にもよりますが8段階あり最大8ステップで3.5で、
具体例を数値を示して説明して下さりありがとうございます。
「空走時間」。そういえば私が記事本文で紹介した「2.」のほう(減速する間に進む距離)では,空走時間を2(s)として空走距離も込めて制動距離を計算するような問題になっていました。
「鋳鉄制輪子」とか「焼結制輪子」という言葉は初めて目にしましたが,きっとブレーキのディスクかブレーキパッド(もしそうでなかったとしてもブレーキの主要部品)の種類のことなんでしょうね。
“某地下鉄”が駅に停まる場合の減速度は3.5(km/h/s)ですか。他社の場合は多少違うかも知れませんが,しかし,ふだん我々乗客はだいたいこれくらいの減速(負の加速度)を体感しているのですね。また,“某地下鉄”の非常時の減速が4.5(km/h/s)だというのも貴重な情報です。非常ブレーキがかかった際は,手すりとかに掴まっていないと吹っ飛ばされそうなくらいの減速を感ずると思うのですが,そのような急激な減速をしている場合が(某地下鉄では)4.5(km/h/s)ということでしょうか。
とすると,私が記事本文で書いた「2.77…(km/h/s)の減速」(本に載っていた式から私が導き出した値)というのはずいぶん控えめな数値だということになりますが,でも「電車は急に停まれない」という教育的(?)観点からすれば,そのほうが良いのでしょう。
また,電車のブレーキをかけるとき,運転士が「今何km/h/sで減速しているかを(速度計などから)感覚的に認識しながらブレーキを操作している」のではなく,直接行っている操作は「何km/h/sの減速をさせるか」だ,というのは部外者の私にとっては初めて知った事実でした。どうもありがとうございます。
>車輪がロックしない様に階段ゆるめしながら運転します。
濡れていたり下り坂だとブレーキングにも気を使うでしょうね。いつもご苦労様です。
「日本の鉄道は安全でダイヤが乱れないことがあたりまえ」だと市民は思い込んでいますが,本当は鉄道屋さんが日々ご苦労なさっているから「あたりまえ」と思える状況ができているのだと思います。m(_ _)m
----
ところで,いただいたコメントの前半ですが,たいへん失礼ですが,計算の際の式が違っているように思います。もし私の間違いでしたらごめんなさい。一応私の考察したことを書いてみます。
まず,「距離S(km)=速度V(km/h)×時間T(h)」が成り立つのは速度が一定(等速直線運動)の場合の話ですので,加速したり減速している場合には,単純にこれをあてはめることはできないと思います。ただし,「速度」を「平均の速度」と言い換えて,
距離S(km)=平均の速度V(km/h)×時間T(h)
とすれば大丈夫です。例えば
・T(h)の間にV1(km/h)からV2(km/h)まで一定の割合で減速した場合,平均の速度は(V1+v2)/2なので,距離は S=(V1+V2)×T/2 (km)
・V1(km/h)から一定の割合で減速してT(h)で停止した場合,平均の速度はV1/2なので,距離は S=V1×T/2 (km)
のようになると思います。
〔補足〕:上の式は,「上底V2,下底V1,高さがTの台形」の面積の公式に一致します。また,下の式は「底辺V1, 高さがTの三角形」の面積の公式に一致します。
したがって,130(km/h)から600(m)=0.6(km)で停止した場合に要した時間は,
0.6=130×T/2 より T=2×0.6/130(h)=33.2(s)
であり,1秒あたりの減速度は,
130/33.2=3.92(km/h/s)
となると思います(要するにganchanさんの示した数値の半分)。
また,これはあくまでも「雰囲気的な」言い方ですが,私が出した3.92(km/h/s)という数値は,お教えいただいた某地下鉄の場合の,駅停車で3.5,非常で4.5,という数値の間にあるのでなんとなく自然な感じがしますが,(その2倍の)7.83(km/h/s)というのは数値が大きすぎるように思えてなりません。
最後にもう一度くり返しますが,もし私が間違っていたらごめんなさい。
----
ともあれ,貴重なお話を伺えたことに感謝します。
本当にありがとうございました。m(_ _)m
posted by ○た| 2009-07-02 18:15
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
公式の件は私の勘違いですね。(寝ぼけてたかな?)
電車の運転は体感・景色でスピードを認識していますので、ブレーキも体感で行っています。
自動車の運転でブレーキを全部踏み込む事がない様に電車も余裕あるブレーキをかけMAXはとっといております。
制輪子の話は、雪に強い鋳鉄製とか使用している路線によって摩擦係数が変わってきますので、JR北海道の特急と普通や交通局と市電とでは性能に合ったものを使用しています。
鉄道も企業ですのでコストを考えて消耗部品の交換や電力・燃費を減らすように運転しています。
posted by ganchan| 2009-07-02 22:26
Re:鉄ちゃん・鉄子さんまたは鉄道関係者に質問(非蹴球ネタ)
ganchanさん,どうもです。(^^)
>公式の件は私の勘違いですね。
おそれ入ります。弘法もナントカの誤りですね。:-)
>電車の運転は体感・景色でスピードを認識していますので、
>ブレーキも体感で行っています。自動車の運転でブレーキを全部踏
>み込む事がない様に電車も余裕あるブレーキをかけMAXはとっと
>いております。
・・・
>鉄道も企業ですのでコストを考えて
なるほど。言われてみればたしかにそうですね。
今回は大変参考になりました。
どうもありがとうございました。
また何かの機会にお世話になるかも知れません。
今後ともよろしくお願いします。
posted by ○た| 2009-07-02 23:16