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息子がサッカーを始めたのでサッカーを観るようになり、1997年のフロンターレ戦でコンサにはまりました。自分自身は全くの素人です。観戦はSB席。ホームゲームの半分はCVSやってます。

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『警察庁から来た男』  佐々木 譲

2008年09月21日

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『笑う警官』 に続く 道警シリーズの第二弾で、テーマは やはり北海道警察の腐敗、不祥事。
前作の半年後という設定で、前作の主人公・佐伯や 津久井、小島百合たちも健在だが、今回の主人公は 警視庁から送り込まれた若きキャリアの監察官、藤川。
特別監察が入ったのは、タイ人少女の人身売買事件、薄野の暴利バーでの転落死事件が 海外のニュースで取り上げられ、道警と暴力団の癒着が疑われたから。藤川は 津久井の協力を得ながら 監察を進める。
一方、佐伯は転落死事件の被害者の父親からの訴えにより、事件の再捜査を始める。
特別監察と再捜査は一見無関係に並行して進むが、ある時点で この二つがクロスする。果たして事件の真相は、黒幕は、結末は.....






劇的とは言えないまでも 意外な展開の連続で テンポ良くストーリーは進み、一気に読み終えた。面白い。

藤川警視正の キャリアらしくもあり、らしくもない、飄々としたキャラクターも なかなか良い。
ただ、シリーズ第二弾という事で 他の登場人物のキャラクターに関しては 殆ど書き込まれていないので、笑う警官を読んでいないと 面白さは半減かな。

札幌が舞台という事もあって、馴染みの名前が出てくるのは楽しい。この出版社はあの会社がモデルだろう、このレストランはあそこ、でも この部分は間違いだな、など勝手に想像してみる。



『闇の子供たち』 で取り上げられていた タイの幼児売買問題。この作品の中でも 14歳のタイ人少女の人身売買が取り上げられている。この2冊を続けて読んだのは偶然なのだけど、その中で続けて出てきたという事は この問題が決して特別なことではなくなっている、少なくとも 薄野ならこういう事が起きていても不思議ではない と思える程度には 一般的な問題になっているという事だろう。根は深い。

薄野の暴利バー。本格的な暴利バーではないのだけど、それに近い店には2度行った事がある。1度目は学生時代。この時は世間知らずで、友人数人と一緒に客引きに騙されて入ってしまったもの。2度目は10年ほど前で、この時は友人と2人で、最近の客引きの実態を見学しようと敢えて行ってみたもの。分かってて行ったので、そんなにボラれた訳ではないのだけど、やはり腹が立ったな。



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23:39

本の話 コメント(6)

『闇の子供たち』 梁 石日(ヤン ソギル) 

2008年09月17日

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今夏映画化された作品。
しばらく前から読みたくて、古本屋を探していたのだが、なかなか出てこないので先週初めに新刊書店で購入した。一緒に購入した本を何冊か先に読んでいて、これは昨日から読み始めたのだが、そのまま手放せずに一気に読んでしまった。

映画も観たくなった。

失敗した!    

調べたら、昨日15日で終わっていた。もっと早くに読めば良かった。

10月から旭川の映画館で上映されるようだから、旭川まで観に行こうか。それともDVDレンタル開始まで待つか.....





タイを舞台に、幼児売買、小児性愛、幼児売買春、臓器売買の実態が生々しく綴られる。貧しい山間部から実の親に売られ、売春宿の地下室に監禁され、満足な食事も与えられないまま、暴力で脅されながら大人の性の玩具にされる子供たち。エイズに侵され働けなくなると、生ゴミと一緒にゴミ捨て場に捨てられ、必死の思いで親元に逃げ帰っても、実の親からも疎まれ、焼き殺されてしまう。 
幼児売春や臓器売買を取り仕切るマフィアの国境を越えた隠然たる支配と、子供たちを救うべく活動するNPO団体の無力さ。マフィアと癒着する警察、見て見ぬ振りをする政治家、その実態を暴こうとする日本の新聞記者を暴力で押さえ込もうとする闇の勢力。自分たちの利権を守るためには、裏切りも殺人も厭わない。それらが荒々しい文体でリアルに描かれる。
この作品は小説であり、ルポルタージュではないのだが、これと同じような事が実際に行われているのだろうな、と真っ直ぐに伝わってくる。
最後まで希望が見えないまま終わるラスト。希望の光を灯そうと必死にあがいても、あまりにも深く濃い闇の前では弱々しい風前のともし火。子供たちを救いたいのに、何も出来ない.....

この本を読んで、虐げられる子どもたちを可哀想だと思い、何とかしてあげたいと思う僕がいるが、実際に行動に移す事は多分無いだろう。せいぜい何時かどこかで多少のカンパをするくらい。
好むと好まざるとに関わらず、今の僕たちの生活は彼らからの搾取で成り立っている。理不尽な暴力とひもじさに泣いている子供のことを、この本のことを、この映画のことを、居酒屋で飲み食いしながら語る飽食の僕たちは、今の生活を捨てられるか? 
二束三文で我が子を売り飛ばす親たちのエゴ、子供たちを食い物にするマフィアたちの残酷さ、幼い子供を性の奴隷にする外国人たちの嫌らしさ、それらを見て見ぬ振りをする僕たちは同罪。それを非難する資格は無い。 
でも、知らないよりは知っていたい。知ってやましさを抱えながら生きる方が、知らないままノー天気に生きるよりはずっとマシだと思う。
これは小説であり、実際にはこんな事は起きていないのだというなら、それは本当に嬉しい事だ。しかし、似たような事は世界のどこかで必ず起きているのだろう。ほんの数十年か百年程前までは 日本でも同じような事が起きていたのだから.....


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01:11

本の話 コメント(5)

『スクランブル ~イーグルは泣いている』  夏見正隆

2008年09月15日

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単行本の時は『僕はイーグル①』という書名でしたが、文庫化の際に改題されています。

平和憲法の制約により<軍隊>ではないわが自衛隊。その現場指揮官には、外敵から攻撃された場合に自分の判断で反撃をする権限は与えられていない。航空自衛隊スクランブル機も同じだ。空自F15は、領空侵犯機に対して警告射撃は出来ても、撃墜する事は許されていないのだ。F15イーグルを駆る空自の青春群像ドラマ。 



小説としては、文章も 構成も ストーリーも 正直たいした事はありません。
ただ、航空自衛隊の内幕が いろいろ書かれていて、自衛隊に 多少でも興味のある人なら それなりに楽しめます。航空学生出身のパイロットと 防衛大卒のパイロットの軋轢、階級社会だからこそ起きるジレンマ、誰も責任を取ろうとしないシビリアンコントロールの問題、そして最大のテーマは 領空侵犯されても実際に被害が出ない限り攻撃できないという 自衛隊が抱える永遠の課題。 

この本の中では、日本の領空を侵犯した国籍不明機(実際はテロ組織の戦闘機)が、日本の領空を出た後に公海上で自衛隊機の目の前で外国の民間機を撃墜するというシーンが出てくる。国籍不明機は自衛隊機を攻撃はしていないが、民間機を狙っているのは明らかという場合、自衛隊機は国籍不明機を攻撃し、撃墜しても良いのか?という問題が取り上げられる。
今の自衛隊は 自分が攻撃された場合のみ、正当防衛として反撃が許される。しかし、自分が攻撃されていない以上、国籍不明機を攻撃するのは 集団的自衛権の行使に当たるので 許されないという。それなら、民間機が撃墜されるのを黙認して 多くの人たちを見殺しにしてよいのか? 
この作品では、結局 自衛隊機が反撃するために 先に被弾しようとして 撃墜されてしまうのだが、これは 決して有り得ない問題ではないのが怖い。今まで多くの問題点が指摘されているにも関わらず、その多くは曖昧なまま放置されてきており、少なくとも公には具体的な対策は話し合われてきていないようだから。
昨日(14日)、高知沖で国籍不明の潜水艦の領海侵犯が報道された。この潜水艦が仮に東京湾まで侵入したとしても、先に攻撃されない限り自衛隊は攻撃出来ないのか?北朝鮮の動向からも目を離せない状況にある昨今、いつまでも先送りにはしておけない問題だと思うのだが.....





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00:50

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『青空の休暇』  辻 仁成

2008年09月03日

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「青空」に反応して購入しました。
単行本の時は 『愛と青春の青い空』 という書名だったようです。


アメリカでは ベトナム戦争からの帰還兵が 社会問題化した。戦争の傷跡がトラウマ・PTSDとなり 一般社会に適応できない といった問題で、「ランボー」など、多くの映画のテーマともなっている。
翻って わが日本。太平洋戦争は やはり多くの人の心に 傷を残した。兵隊さんに限らず 大半の国民が傷を負ったため、精神病や社会への不適応という形では表れなかったかもしれないが、一人一人の心の中に 深い傷跡を残したのだ。
この作品の主人公、白河周作も同じ。戦時中は 雷撃機や戦闘機のパイロットとして活躍したものの、戦後は 戦争の話は一切しなくなった。戦争の事を自慢げに話す輩は 戦友であっても許せないし、航空自衛隊のパイロットとなった息子にも 心を開くことは無い。
そうした主人公と、同じような傷を抱える戦友2人は 青春=戦争 だった世代。人生を諦めた時が 青春の終わりと信じ、自らの青春にケジメをつけるために、戦後50年を経て、あの戦争の総決算をするために ハワイ、真珠湾へ向かう。
そこで出会った 日系二世、三世と、かつて 自分たちが攻撃した艦船に まさしく乗っていたアメリカ人。彼らはどうやって和解し、折り合いを付けるのか。

周作たちのハワイでの行動を綴った部分と、生涯をかけて周作を愛しつつも最後は自殺した周作の妻、小枝の日記が交互に表れ、物語は佳境に進む。

日記に綴られる小枝の心情は、あまりにも切なく美しい。昔の日本女性としても珍しいくらいに 純粋で 深い愛情だ。

ハワイに住む日系二世、三世の苦労と、彼らの中に残る古き良き日本の心。日本から離れたからこそ、日本人らしい心が残ったのか。


戦争をテーマにした小説は星の数ほどあるし、戦後50年、60年といった節目の年には 戦後を振り返って 戦前・戦時と現在を対比させるように描いた作品が数多く出版される。この小説もその中の一つなのだろうけど、悪くない作品です。









辻仁成にひと言 

飛行機は 風に向かって 離着陸します。
追い風では 飛びません。


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22:06

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『街の灯』   北村 薫

2008年08月26日

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この書名になっている『街の灯』は、チャップリンの名作『街の灯』。

この作品の時代背景は 昭和7年。 
チャップリンの『街の灯』が 封切された頃だ。

映画 『街の灯』のラストシーン
眼の治ったバージニアの前を ボロボロに落ちぶれたチャップリンが通りかかる 
バージニアは笑いながら小銭を恵んでやろうと チャップリンの手を取る
その手の感触から チャップリンが自分の恩人だと気付く...

この名シーンを あのように解釈するというのは ショックだった。 
でも、人間として そういう感情が表れるのは 決して不自然ではないし、
むしろ その方が 正直な気もする。 
そんな想いを踏まえて、もう一度あの映画を観てみたいと思った。


この本を読んで一番心に残ったのは このシーンだな。
 



士族出身の社長令嬢が、謎の女性運転手 ベッキーさんの協力を得ながら いろいろな事件の謎解きをしていくというシリーズものの第一作で、この本には 3篇が収録されているのだけど、推理小説としては少々物足りなさが残りました。 
ただ、昭和初期の上流社会を舞台にしたこのシリーズの持つ雰囲気は悪くないし、ベッキーさんの正体も気になるので、この続編である『玻璃の天』は とりあえず読んでみようと思います。 


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20:59

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『クライマーズ・ハイ』   横山秀夫

2008年08月11日

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1985年8月12日、日航123便は群馬県御巣鷹山山中に墜落し、520名の犠牲者を出した。

この事故に関しては、様々な立場、視点から数多くの本が出版されている。
例えば、墜落の原因に関しては 自衛隊標的機衝突説を初めとして様々な説があるが、『隠された証言-日航機123便墜落事故』(藤田日出男著)や、『壊れた尾翼-日航ジャンボ機墜落の真実』(加藤寛一郎著)は、それぞれの立場から 墜落原因を追究したノンフィクション。
『墜落遺体-御巣鷹山の日航機123便』(飯塚 訓著)は、全遺体の身元確認までの127日を、悲惨としか言いようのない最前線で捜査にあたった責任者が語る 極限の記録。
『沈まぬ太陽(3)御巣鷹山篇』(山崎豊子著)は、御巣鷹山事故の衝撃を出発点に、日本を代表する航空会社の腐敗した内実を描いた小説。
これらの作品も非常に興味深く、ある種の感慨を持って読んだのだけど、この『クラーマーズ・ハイ』は 地元新聞社の記者の眼を通してこの事故を描いた異色の作品で、これもまた非常に面白く、面白いという言葉は適切ではないと思うのだけど、一気に読み終えた。


――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。


若き日、著者は上毛新聞の記者として御巣鷹山の日航機事故の現場を取材した。その壮絶な体験は、 18年という長い時を経て初めて感動的で壮大な長編小説として結実した。
2005年にテレビドラマ化されている他、今年映画化され、現在公開中。




以下、ネタバレあります。





この作品のテーマは 日航ジャンボ機墜落事件ではない。
日航ジャンボ機墜落という 史上稀にみる大事件が起きたとき、それを報道する現場にいた 人間たちの物語だ。

40歳になる不器用な遊軍記者が、日航機事故の全権デスクに抜擢された。過去の栄光を引きずる上司のエゴ、特ダネと誤報の狭間で揺れる葛藤、編集局と営業局の対立、有力政治家に翻弄される紙面など、地方新聞社の現場の裏側がリアルな描写で綴られる。
それを縦糸に、親子夫婦など家族の問題、社内の権力闘争に翻弄され倒れた友人、その友人の息子との交流、日航機事故の遺族の悲しみ、大きな事故の陰にかくれて報道されない小さな事故の遺族の悲しみなどが横糸となって物語りは紡がれる。

日航機墜落事件に興味があって読み始めた人にとっては 肩透かしを喰わされたようで、きっと面白くないだろう。しかし、実際に現場にいた著者は、この事故を風化させないためにも、記者ではなく、作家としてこの事故を描きたかったのだと思う。それがこの小説の この形だったのだろう。




クライマーズ・ハイ 
登山の興奮が乗じて恐怖心が麻痺してしまうこと。一気に頂上まで達せれば良いが、途中で解けてしまったら、そこから一歩も動けなくなるため、実際はなかなか恐ろしい症状だという。
日航機墜落事件という 未曾有の大事故に遭遇した人達も、それと似た興奮の中にいて 思いがけない行動を取ったり 発言をしてしまう。冷静になって考えると 冷や汗ものだった という事もあるのだろう。


山は下りるために登る
無事に下山するまでが 登山。山は登る時よりも 下りる時の方が危険で事故も多い。最後まで油断するな、ということか。
或いは、登る時は頂上だけを見つめて進むが、下りる時は広い視界が開け、気持ち的にもいろいろなものを楽しむ余裕が出来る、ということかな。





post by aozora

22:48

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『ユージニア』  恩田 陸

2008年08月07日

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装丁は凝っています。
カバーの表は一見シンプルですが、裏に印刷された写真が透けて見えるような印象。
表紙を開くと、小さな変形のページにこの小説のキーとなる詩が書かれ、続いてプロローグがあります。
本文に入ると印刷された文字列が微妙に傾いていますが、これも印刷ミスではなく、意図的なもの。
「壊れかかった不安定な本」というコンセプトなのだそうです。


ある夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。
一人生き残った 盲目の美少女、青澤緋紗子。
ある自殺した男の遺書によって、事件は一応解決したかに見えたが、真相は闇の中。
事件が起きた時、小学5年生だった雑賀満喜子は、大学4年の時に事件関係者の証言を集めて『忘れられた祝祭』という小説を書き ベストセラーとなる。 
更に20年ほどの時が流れ、新たな人物が再び事件の真相を追究し始めた。
町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。





以下、ネタバレ有り。要注意! 



この小説は『Q&A』と同じく、事件関係者のインタビューや証言によって成り立っている。

しかし、
例えば、第一章と第十四章は 最後の日のK公園での満喜子を描いているが、
同じ時間を書いていても内容は微妙に食い違う。
14章の中には作中作『忘れられた祝祭』のものではないかと思われる章もいくつかある。
ある人の証言を次の人の証言が裏切り、齟齬が生まれる。
事実はひとつではない。関わった人の立場、性格、価値観などによって様々に変わる。

作者はこの作品の中でもいろいろな実験をしているが、果たして成功しているのかどうかは微妙。

ミステリーを装っているが、ミステリーを期待してはダメ。
事件に関わった人々のその後の人生に 事件が与えた影響を描いた小説だと思う。

ミニカーは? 事件前にかかってきた電話は? 編集部にかかってきた電話は?
何か意味がありそうなのに、そのまま放置された伏線の数々。
僕がその意味に気付いていないだけなのか?

白い百日紅の花と、赤い百日紅の花は? 
青い部屋は?
多くの謎が最後まで解明されずに、曖昧なまま終わり、不完全燃焼という感は否めない。


でも、それが恩田ワールドの真骨頂。
無理に解決させると、それこそ裏切られるからなぁ。。。。。
と 勝手に納得して良いのだろうか?






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23:00

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『黒い輪 ~ 権力・金・クスリ オリンピックの内幕』  広瀬 隆監訳

2008年08月07日

バルセロナオリンピックの開催直前 1992年5月の刊行です。
著者は ヴィヴ・シムソン と アンドリュー・ジェニングズ という英国人で、
広瀬 隆が 監修し 解説を書いています。 

16年前の夏に一度読んでいるのですが、北京五輪も始まったという事で、
本棚の奥から引っ張り出して もう一度読んでみました。 





この本は、オリンピックの裏側 暗黒面をリアルに書いた ノンフィクションで、一貫して追求されるのは「汚れた金」。
その主張は、次の4点に要約されます。 
神話 ~ オリンピックは、公平平等、フェアプレーの精神のもとに若人が競い合う人類の祭典だというのは、今や幻である。
真実 ~ 今やオリンピックは12の巨大多国籍企業の玩具であり、ドーピングは野放しの状態である。
「クラブ」 ~ オリンピックをコントロールしているのは特権的立場を享受している少数の「クラブ」のメンバーである。
指導者 ~ オリンピック・ムーブメントの支配者は、長年フランコ将軍に仕えたファシスト政治家である。


主な登場人物は 
ファン・アントニオ・サマランチ (IOC会長)  
ホルスト・ダスラー       (アディダスの創設者) 
ジョアン・アヴェランジェ    (FIFA会長)  
プリモ・ネビオロ        (国際陸連会長)  
など。
これらの人物の権力闘争の歴史や実態が、かなり具体的に赤裸々に書かれています。

さすがに16年も経つと、引退したり 亡くなったりして、皆 過去の人になっていますが、人が替わった現在も、その内情や 実態は 当時と基本的に変わっていないでしょう。強大な権力を、莫大な利権を、そう簡単に手放すはずがないですから。


ただ、解説で広瀬隆も書いていますが、本当の問題はもっと深いところに、表からは決して見えないところにあるのでしょう。サマランチなども、実際は 表には決して出ることのない黒幕の 操り人形だったのかもしれません。
オリンピック誘致に関わるルールやドーピング規制などは年々厳格化されていますが、そんな事は些細なこと。商業化などという言葉ではあらわせない深刻な問題がある、というのがこの本の主張だと思います。


また、全体に共感し納得できる部分が多いのですが、サマランチとファシストとの関係など、必要以上に強調しすぎている気がします。
アラブやアジアに対して差別的な見方や主張が多いように感じる部分もあり、緻密な取材に基いた力作だけに、その辺は残念でした。





post by aozora

17:12

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『明日の記憶』  萩原 浩

2008年07月29日

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朝目覚めると 自分がどこにいるのか分からない 
ふと気が付くと 自分が今どこにいるのか分からなくなっている
というのは 結構 怖い事ではないか
そんな恐怖を 父は 毎日 何度も 味わっていたのだろうか

認知症の父は物忘れが激しく いくら説明しても数分で忘れてしまう 
空間認識能力の欠如というか 現在の状況を把握する事が出来なくなった
入院しても 自分が入院しているという事を すぐに忘れてしまい
周囲を見渡しても そこが病院だ という事が認識できないため
眼が覚めるたび ふと気付くたびに “ここはどこだ?” と パニックに陥ってしまう
父のベッドの周囲には 今の状況を説明する紙が 何枚も何枚も貼られている



記憶を無くすということは
自分の世界が失くなっていくということ
自分が自分でなくなっていくということ

この本に出てくる病気は若年性アルツハイマー
認知症とは違うが 記憶を無くしていく恐怖に変わりは無い





 以下 若干のネタバレあります   




アルツハイマーは単に記憶がそこなわれていくだけの病気ではない
人格も失われていくのだ 

この小説の主人公は僕と同じ50歳のサラリーマン
若年性アルツハイマーに蝕まれ 次第に壊れていく

さっきまで覚えていた事が どうしても思い出せない
覚えていたという事さえも 思い出せなくなる 
愛する家族や仲間の事も いつか忘れてしまい
自分が失われていくという恐怖

ぷつん   
頭の中で音がする度に 記憶がひとつ失われていく
プツン ぷつん ぷつっ
ひとつひとつ記憶を失くしていく音が 怖い

主人公は備忘録として 日記を書き始めるが
次第に誤字が増え 文章が乱れ 内容が無くなっていく
記憶が失われていくとともに 気力も失われていく 
症状の進行が リアルに伝わってくる 

病気と真剣に向き合い
戸惑いながらも 病気と闘い 支えようとする家族や仲間がいる半面
そこに付け込む輩もいれば あっさり切り捨てる会社がある
決して他人事ではない 

淡々とした静かな語り口で進むが 内容は非常にシビア 
深い余韻のある作品だ




本を読む前に 妻と一緒に映画を観た 
映画館から出てしばらくは 二人とも無口だった 

映画も 本も きれいな終わり方をしているけれど
本当に大変なのは 日常的な介護が始まる その後 

僕がそうなった時 妻は支えてくれるだろうか
妻がそうなった時 僕は支えてやれるだろうか
正直 自信は無い


post by aozora

23:11

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『ハリー・ポッターと死の秘宝』  J.K.ローリング

2008年07月27日

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シリーズ第1巻 『賢者の石』が発売されたのは1999年12月 
それから9年 シリーズ第7巻 完結編となるのがこの作品
まさしく最終話にふさわしい内容 

テーマは 愛、友情、勇気 
結末は 予想通りと言えば 予想通りなのだが 予想外の展開も多く
第1巻からの 様々な伏線が 次々と明かされ 驚きの連続 
後半は 怒涛の展開で 圧倒される 

第5巻 『不死鳥の騎士団』 第6巻 『謎のプリンス』と 
少々重くて 暗い内容が 続いてきたけれど 
それを 一気に挽回する 読後感だった 

意外だったのは 校長ダンブルドアと スネイプ先生 
特に スネイプ先生に関しては 第1巻から もう一度読み直してみたいくらい

細かいことを言えば キリが無いけど 
そんな事は 無視して ただただ ハリポタの世界に浸って 楽しんだ


ただ 戦争だったのだから 仕方ないとはいえ 多くの人が死んだのは 残念 
最終章 ダーズリー一家や ハグリッドの消息も 知りたかったかな





このシリーズに関しては 誤訳や 訳者の文章力の拙さなどが 指摘されている
この作品でも 確かに 気になる文章や 言葉の選び方はあった 
でも それを補って余りあるストーリーで 面白く読めた 
(だからこそ もっと正確で 分かりやすい日本語で訳してくれないと
もったいない ということなのだろうけど。。。)



映画の方は 今年11月に 第6作 『謎のプリンス』が 公開予定 
本を読まずに 映画しか観ていない人と 話すときは 
余程気を付けないと ネタばらしをしてしまうので 要注意 
だって ダンブルドアが死んだことさえ まだ知らないんだもの 大変だ



post by aozora

02:45

本の話 コメント(2)