カレンダー

プロフィール

息子がサッカーを始めたのでサッカーを観るようになり、1997年のフロンターレ戦でコンサにはまりました。自分自身は全くの素人です。観戦はSB席。ホームゲームの半分はCVSやってます。

最新のエントリー

月別アーカイブ

リンク集

カテゴリー

コメント

検索

『クライマーズ・ハイ』   横山秀夫

2008年08月11日

20080711-02.jpg

1985年8月12日、日航123便は群馬県御巣鷹山山中に墜落し、520名の犠牲者を出した。

この事故に関しては、様々な立場、視点から数多くの本が出版されている。
例えば、墜落の原因に関しては 自衛隊標的機衝突説を初めとして様々な説があるが、『隠された証言-日航機123便墜落事故』(藤田日出男著)や、『壊れた尾翼-日航ジャンボ機墜落の真実』(加藤寛一郎著)は、それぞれの立場から 墜落原因を追究したノンフィクション。
『墜落遺体-御巣鷹山の日航機123便』(飯塚 訓著)は、全遺体の身元確認までの127日を、悲惨としか言いようのない最前線で捜査にあたった責任者が語る 極限の記録。
『沈まぬ太陽(3)御巣鷹山篇』(山崎豊子著)は、御巣鷹山事故の衝撃を出発点に、日本を代表する航空会社の腐敗した内実を描いた小説。
これらの作品も非常に興味深く、ある種の感慨を持って読んだのだけど、この『クラーマーズ・ハイ』は 地元新聞社の記者の眼を通してこの事故を描いた異色の作品で、これもまた非常に面白く、面白いという言葉は適切ではないと思うのだけど、一気に読み終えた。


――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。


若き日、著者は上毛新聞の記者として御巣鷹山の日航機事故の現場を取材した。その壮絶な体験は、 18年という長い時を経て初めて感動的で壮大な長編小説として結実した。
2005年にテレビドラマ化されている他、今年映画化され、現在公開中。




以下、ネタバレあります。





この作品のテーマは 日航ジャンボ機墜落事件ではない。
日航ジャンボ機墜落という 史上稀にみる大事件が起きたとき、それを報道する現場にいた 人間たちの物語だ。

40歳になる不器用な遊軍記者が、日航機事故の全権デスクに抜擢された。過去の栄光を引きずる上司のエゴ、特ダネと誤報の狭間で揺れる葛藤、編集局と営業局の対立、有力政治家に翻弄される紙面など、地方新聞社の現場の裏側がリアルな描写で綴られる。
それを縦糸に、親子夫婦など家族の問題、社内の権力闘争に翻弄され倒れた友人、その友人の息子との交流、日航機事故の遺族の悲しみ、大きな事故の陰にかくれて報道されない小さな事故の遺族の悲しみなどが横糸となって物語りは紡がれる。

日航機墜落事件に興味があって読み始めた人にとっては 肩透かしを喰わされたようで、きっと面白くないだろう。しかし、実際に現場にいた著者は、この事故を風化させないためにも、記者ではなく、作家としてこの事故を描きたかったのだと思う。それがこの小説の この形だったのだろう。




クライマーズ・ハイ 
登山の興奮が乗じて恐怖心が麻痺してしまうこと。一気に頂上まで達せれば良いが、途中で解けてしまったら、そこから一歩も動けなくなるため、実際はなかなか恐ろしい症状だという。
日航機墜落事件という 未曾有の大事故に遭遇した人達も、それと似た興奮の中にいて 思いがけない行動を取ったり 発言をしてしまう。冷静になって考えると 冷や汗ものだった という事もあるのだろう。


山は下りるために登る
無事に下山するまでが 登山。山は登る時よりも 下りる時の方が危険で事故も多い。最後まで油断するな、ということか。
或いは、登る時は頂上だけを見つめて進むが、下りる時は広い視界が開け、気持ち的にもいろいろなものを楽しむ余裕が出来る、ということかな。





post by aozora

22:48

コメント(0)

この記事に対するコメント一覧

コメントする