スポンサーリンク

2016年04月01日

祝・北海道新幹線開業 経営問題は

先日の新聞報道では、北海道新幹線は当面、毎年48億円の赤字とのこと。

1日当たり1,315万円の赤字ですが、定員約730名の列車が13往復なので、満員なら約19,000人が乗車できます。
新函館北斗・新青森間の客単価が仮に7,000円とすると、10ポイント、乗車率が高くなれば収支がトントンになります。

ちなみに、開業から3日間の乗車率は43%で、昨年の北陸新幹線の48%よりも5ポイント下回っています。

想定した乗車率が何%かわかりませんが、想定の48億円の赤字で済むかどうか、ですよね。

ちなみに、上越新幹線が開業したとき、私は新潟に住んでいましたが、そのときも赤字と言われ、先行きが懸念されていました。(今は黒字になっているはず)

上越新幹線が開業したときは1日21往復あり、編成車両数も多く(12両)でしたから、キャパシティーは北海道新幹線のちょうど2倍ありました。
それでも当時は赤字だったのです。

早く札幌まで延伸し、増発してたくさんのお客に乗ってもらって経営状態を良くしないといけませんね。

ただ、北海道新幹線(整備新幹線すべてですが)は良い条件があるのです。

上越新幹線開業までは、建設費は鉄道会社が返済しないとならなかったのですが、その方式だと、その後、新幹線を新たに建設するのは困難なので、整備新幹線は国と地方が税金で建設し、実態に見合った線路使用料を鉄道会社に払ってもらう方式にしたのです。

で、線路使用料が安く、JR北海道は新幹線の線路使用料金は年間、1億1千400万円だけでいいのです。
新青森・新函館北斗間の建設に6000億円近くかかったことを考えると、本来なら年間200億円くらい払わないといけないところ、たったの1億ちょっとで良いのです。
ただ同然です。

ちなみに、北陸新幹線(高崎・金沢間)は420億円、九州新幹線は102億円も払うのですよ。

なぜこんなに違うかですが、新幹線を走らせた場合の収支と新幹線がなくて在来線を走らせた場合の収支の差を、使用料金としているからです。

ということは、もしも新幹線を走らせた方が、かえって収支が悪いと想定される場合は、使用料金を払うのではなく、逆に熨斗を付けていただくということになりますね。

ということで、JRは、新幹線ができたからと言って、経営が良くなるわけでもないし、悪くなるわけでもなく、同じなのです。

もちろん、想定よりもお客が少なければ経営は悪くなるし、お客が多ければ経営が良くなるわけで、すべては努力次第ですね。

JR北海道は30年間で34億2千万の施設使用料金を払います。
また、北海道新幹線開業によって収益がアップするJR東日本も受益負担金を払うので、こちらが30年間で660億円になり、合計約694億円となります。

北海道新幹線(新函館北斗まで)の建設費は6000億円弱なので、差し引き約5000億円が税金で新幹線(新青森・新函館北斗間)を作ったことになります。

そのうち2/3は国費、1/3は地方負担ですから、北海道は約900億円ほどの負担で(青森県の負担もあるので)、道民一人あたり2万円弱です。
国税分を入れると道民一人当たり、ほぼ2万円になります。

一人当たりで計算すると、たいしたことないようにも感じますが、5000億円もの巨費をプレゼントしたことになります。

札幌延伸には、あと1兆5千億円くらいの工事費がかかるので、施設使用料がいくらになるかかわかりませんが、たぶん、あと1兆円以上は税金(返ってこない税金)が必要でしょう。

こんな大金を投入する必要があるかどうか、いろいろ議論はあると思いますが、それに関してはまたの機会に書きたいと思います。

posted by かもめ |08:27 | 鉄道(船舶・航空機等) | コメント(8) |