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息子がサッカーを始めたのでサッカーを観るようになり、1997年のフロンターレ戦でコンサにはまりました。自分自身は全くの素人です。観戦はSB席。ホームゲームの半分はCVSやってます。
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2016年04月06日
「精霊の守り人」は 上橋菜穂子の長編ファンタジーで、守り人シリーズという異世界長編ファンタジーの 最初の一冊でもあります。 このシリーズは 1.精霊の守り人 2.闇の守り人 3.夢の守り人 4.虚空の旅人 5.神の守り人 来訪編 神の守り人 帰還編 6.蒼路の旅人 7.天と地の守り人 ロタ王国編 天と地の守り人 カンバル王国編 天と地の守り人 新ヨゴ皇国編 8.流れ行く者 (短編集) 9.炎路を行く者 (短編集) 10.春の光 (「守り人のすべて」というガイドブックに収録された短編) から成り、現時点で文庫化されているのは 1~8までの長編10冊と 短編集2冊です。
全編 (と言っても文庫化されているものだけなのですが) を通して読んだのは今回が初めてなのですが、いやぁ 面白かったです。 児童文学だけあって 難しい表現がなく スラスラ読めるせいもありましたが、久々に時間を忘れて読み耽ったという感じで、2週間もかからずに読み終えました。 NHKでテレビドラマ化され、綾瀬はるか演じる女用心棒バルサが 川に落ちた皇子チャグムを助けるシーンが番宣CMとして何度も流されていたので、バルサとチャグムという名前を覚えた方も多いと思いますが、そのシーンから始まる物語が 「精霊の守り人」です。 その後は、基本的に バルサを主人公とするものを 「~の守り人」、チャグムを主人公とするものを 「~の旅人」として展開し、完結編となる 「天と地の守り人」で 再び 2人が合流します。 各巻毎に 物語は一応完結しますが、「精霊の守り人」に始まって 「天と地の守り人」で終わるまで 物語の中で流れる時間は 6~7年、その間に 新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムが 父である帝との軋轢に悩みながらも 故国と民を守るために バルサや 薬草士タンダ、呪術師トロガイらの力を借りながら 様々な苦難を乗り越え 大きく成長して行く姿は 時に感動的ですらあり、全編を通して読んでこそ 初めて判るものがあります。 児童文学というカテゴリーに入っていますが、その世界観や ストーリー、しっかりと細部まで練り込まれた構成は 大人の読者にも十分に耐えられる作品で、特に 「蒼路の旅人」から 「天と地の守り人」に続く流れは とても児童文学という範疇には収まりきれません。 主人公のバルサが 10代のキャピキャピした女の子ではなく 様々な苦労を味わってきた大人の渋い女性という設定や、広げ過ぎていない精霊や呪術の世界、人間の心の動きを丁寧に追ってリアリティーを出している点などが 高評価につながっているのでしょうね。 小野不由美の 「十二国記」も良かったですが、それ以上のように感じました。 文庫化されていない2冊も早く探して買ってこないと・・・・・
2016年04月05日
第153回直木賞受賞作で、2016年本屋大賞にも ノミネートされています。 本屋大賞の発表は4月12日ですが、受賞はちょっと難しいかな。 舞台は 1970年代後半の台湾。国民党総統の蒋介石が死去した日に、かつて国民党に属し 大陸で中国共産党と戦った祖父は殺された。それを発見したのは 孫の秋生、17歳の高校生。 若かりし頃に様々な武勇伝を持つ祖父を殺したのは 誰か? その事件の秘密を追って、その秘密に追われるように、秋生は 自らのルーツでもある中国大陸へ流れていく、というミステリー仕立ての青春小説。 5歳まで台湾で育った 外省人三世の作者だからこそ書けた作品で、中国大陸にルーツを持つ台湾人(=外省人) の不確かなバックグラウンドが とても興味深く面白い。抗日戦争の後の国共内戦、台湾の成立と大陸との対立、外省人と本省人、中国人ならではの感性や考え方など、物語の背景にある 中国と台湾、家族の歴史が この作品に深みを与えています。いくら丁寧に取材をしたとしても、日本人には決して書けない作品でしょう。 一方で、太平洋戦争=抗日戦争後の中国で 毛沢東らが率いる共産党軍と 蒋介石率いる国民党軍が戦った 内戦があったという事、戦いに敗れた国民党は 台湾に流れて国民党政府を作ったという事、大陸から流れて来た外省人と 台湾土着の本省人との軋轢など、基本的な知識が無いと この面白さは判らないかもしれません。 いろんなエピソードを雑多に盛り込み過ぎなのと、ところどころ日本語がおかしいのは ご愛嬌。 直木賞受賞作なのに、、、、というご意見はあるでしょうが、直木賞は そもそも無名・新人及び中堅作家による 大衆小説に与えられる文学賞ですので、あまり目くじらを立てないように。 中国繋がりで もう一冊。![]()
『時が滲む朝』 楊逸 中国ハルピン市出身の中国人作家、楊逸の作品で、 第139回(2008年上半期)の芥川賞受賞作です。 1988年に 中国の貧しい農村から地方の名門大学へ進んだ 梁浩遠と謝志強という 理想に燃える二人の大学生が 主人公。 二人は まだ若い大学教授や 多くの学生と議論を重ねる中で 愛国や民主化を考えるようになり、中国民主化運動に参加するものの、1989年の天安門事件で 挫折。運動に対して冷やかな一般市民と悶着を起こして大学は退学処分となり、学生を指導した大学教授は外国へ亡命、二人が憧れた女子学生リーダーは行方不明となる。 その後の二人の人生の苦悩や哀歓、成長していく姿を描いていますが、北京五輪を前にした現代中国の実像、心情がリアルに伝わって来るようです。何かを諦め、大人になるということの現実が寂しく、どこか切ない一冊でした。 ♫ 就職が決まって髪を切ってきたとき、もう若くないさ と君に言い訳したね ♬ いつかどこかで聞いたような、読んだようなストーリーで、「学生運動に熱狂した若者が挫折し、その後の平凡な生活に幸せを見出だしていくという小説の 中国版」 という印象は拭いきれませんが、だからこそ読んでみる価値があるように思います。
2016年03月23日
妻をめとらば 才たけて 顔(みめ)美わしく 情けある 友をえらばば 書を読みて 六分の侠気 四分の熱 与謝野 鉄幹の 「人を恋うる歌」 の冒頭です。 後に曲が付けられて、いろいろな人が歌っているので、 結構有名だと思うのですが、今の若い方はご存じないかな。 かく言う僕も 与謝野鉄幹の作品は これしか知りません。![]()
第154回直木賞受賞作。 「ひともうらやむ」 「つゆかせぎ」 「乳付」 「ひと夏」 「逢対」 「つまをめとらば」 の6編からなる短編小説集です。 連作ではないので 主人公は 各編毎に替わるのですが、いずれも 満足なお役目は無くとも 何か一芸に秀でた下級武士と その妻女たちです。 太平の江戸の世を舞台にした時代小説で、基本的に男からの視点で 女性の姿が描かれますが、男と女の関係は 今の時代と さほど変わらないのか、あえて現代的な感覚で描いているのか、「こんな女や こんな男、いるよなぁ」 と 思いながら読みました。 簡潔な文章で リズムよく書かれているので サラサラ読めます。女性のずるさや嫌な面も書かれますが、一方で 女性の凛とした強さや覚悟、逞しさが 心地良く、どれも味わい深い作品に仕上がっており、読み応えがありました。
2016年03月16日
「こんな時だけど、そろそろ未来の話をしようか。」 『亡国のイージス』 や 『終戦のローレライ』 の 福井晴敏の作品で、 東日本大震災直後の 2011年6月から同年11月にかけて 週刊ポストに連載されたものです。 震災後の状況が ほぼリアルタイムで書かれており、ノンフィクションではありませんが、震災後の緊迫感、人々の不安、心の闇が 行間にあふれています。 文庫化に際し、敢えてタイトルに “小説” を冠していますが、小説という形を借りて 作者の思うところをストレートに書いているという雰囲気で、未来に向けて立ち上がろう、前を向いて進んで行こう というメッセージが 熱く伝わって来ました。 東日本大震災から5年が過ぎ、計画停電があった事、Fkushima 50 と呼ばれた 生命を賭して最悪の事態を防いだ69人の作業員がいた事など、忘れてはいけないのに 忘れてしまいそうな事を 改めて 思い出します。 解説を 石破茂が書いていて、この解説も良かったです。
2016年03月10日
東日本大震災から 明日で5年。![]()
これは 仙台在住の作家、瀬名秀明による、2011年から2013年にかけて発表された作品を集めたSF小説集で、どの作品にも東日本大震災がトピックとして出てきます。 タイトルの「月と太陽」は 「絆」で扱われる双生児を象徴していますが、一方で "月や太陽の引力が 東日本大震災発生の引き金になった可能性が高い” という説があり、それが関係しているのかもしれない・・・・・ というのは 僕の勝手な想像です。 1年ぶりに飛行機を操縦する作家と飛行教官の訓練風景を描く「ホリデイズ」は 雰囲気が良く、好印象の一編。 制御不能となって地球を周回する人工衛星を 仙台上空で捉えた奇跡と その利用の夢を描く「真夜中の通過」は、昨年末に成功した金星探査機「あかつき」の 金星周回軌道への再投入とも重なり、面白い。 「未来からの声」は タイムマシンもの。ちょっと 難しかったかな。 皆既日食とともに世界を巡る結合双生児の〈夢〉を描く「絆」。その夢とは 世界の人々が "絆” を実感するプログラムの開発なのですが、ストーリーは飛躍し、時間が複雑に前後しながら展開される為、読み進めるだけでも難儀。意識と身体をテーマに 心の繋がりの大切さを扱っているのは判るのですが、ストーリーを追うのに必死で、残念ながら 僕には面白さがよく理解できませんでした。 テレパシー装置と、ネット上に放たれた個人情報などのビックデータ、エージェントプログラムなどから〈個性)を考える「瞬きよりも速く」は、原発事故に象徴される“科学技術への失望” に対する反論と希望を描いていると思うのですが、これも微妙。 瀬名秀明は好きな作家の一人なのですが、この作品集は ちょっと難しかったな。 「絆」にしても 「瞬きよりも速く」にしても、もう一度読んでみると 面白さが判るのでしょうか? それにしても、それぞれに別個の科学的テーマを扱っているのですが、「未来からの声」に登場する 脳から脳へ直接言葉を送る〈フラッシュ〉や、「絆」に登場する 見たものを全て記憶する〈瞳のレンズ〉など、作者がイメージする近未来の技術は 怖いです。
2016年03月01日
「西の魔女が死んだ」以来の 梨木香歩です。 食べる事をテーマにした小説は 「かもめ食堂」 や 「食堂かたつむり」 など たくさんありますが、これも その中の一冊です。 不幸な生い立ちの 21歳のシングルマザー(珊瑚)が、周囲の人たちに助けられて カフェをオープンするというお話で、いろいろと大変な問題や 嫌な事も起きるのですが 概ね順調に進み、現実ではこんなに上手く行くはずがない、というのは 誰もが感じるところでしょう。 ただ、基本的には 「生きる事ことは食べること」 をテーマとしたファンタジーだと思います。だからこそ シンプルなストーリーで、珊瑚の頑なな心も 優しい人たちとの出会いにより解けていき、ハッピーエンドに向かうのでしょう。一生懸命に戦い 生きる姿を見ると 応援したくなりますもの。 最後の「おいちいねぇ、ああ、ちゃーちぇねえ」という 幼い雪の言葉は秀逸です。心がホッコリと暖かくなります。
話しは変わります・・・・・・・ 口から物を食べられなくなったら 死ぬ。 というのは 昔から変わらない理(ことわり)だと思うのだけれど、昨今は 胃ろうや 点滴により 人工栄養を補給し、生きながらえる事が出来ます。 生きる意志や 意欲がある人にとっては とても有り難い事ではあるのだけれど、既に意識の無い、回復の見込みのない人まで 人工的に生きさせるというのは、どんなものなのでしょうか。 僕の父も 晩年の1年半は寝たきりで、点滴のみで命を繋いでいました。意識が無くなってからも 点滴ははずされず、ただ生かされている という状態でした。 父は寝たきりになる前から もう十分生きたと言って 食べる意欲を失っていて、寝たきりになってからは 食べ物を口にすることはありませんでした。大好きだったチョコレートなら食べるかもしれない、食べさせてあげたいと思っても、誤嚥して肺炎になるかもしれないとの理由で 止められ、家族は 複雑な思いを抱えたままの介護生活でした。 父が入院していた病院に限らず、日本の老人病院には 同じような寝たきり老人が大勢入院していて、これでは医療費が増えるのも当たり前です。寝たきり老人に治療をするなとは言いませんが、そろそろ無駄な延命措置は止める勇気が必要なのではないか と思います。 少なくとも 母は そうした延命治療はしないで欲しいと言っていますし、僕や家内も そう話しています。
2016年03月01日
前作 「生存者ゼロ」は 作者のデビュー作で、第11回このミス大賞受賞作。 北海道や札幌を舞台にしている事もあって、途中までは 面白かったのだけれど、ネタバレした時点で 興醒め、ガッカリな出来でした。![]()
この本は それに続く2作目で、中国の陰謀に操られた北朝鮮の精鋭部隊が 東京壊滅を狙ったテロを起こす というストーリー。 北朝鮮軍が核砲弾を入手するという展開や、米軍との集団的自衛権の問題などは なかなかタイムリーです。 敵の陽動作戦に簡単に惑わされる 平和ボケした日本、政局や保身が優先し 危機管理のできない政治家、法律上の制約から常に後手に回る自衛隊の対応、マスコミが声高に叫ぶ 報道の自由や国民の知る権利により 敵に筒抜けになる自衛隊の作戦行動 などという展開は、こうしたテーマを扱った作品では ありふれたものではあるのだけれど、この作品は 奇をてらっていない事もあってか、隣国やテロ組織が本気で攻めて来たなら 本当にこうなるかもしれないという妙なリアリティがあり、結構 怖い。 前作同様、後半の展開が今一歩で、少々アラも目に付き、ラストも ちょっと違和感を感じたのだけれど、腹を括った総理大臣の 自衛隊員に対する熱い檄 は良かったし、結局は 北朝鮮や中国による攻撃だとはせずに 正体不明のテロ組織による犯行として納めようとする日本政府の弱腰外交などは いかにもありそうで、なかなか面白かったです。
2015年12月16日
クラブW杯、 準決勝で サンフレッチェ広島は惜敗。 たらればは言いませんが、本当に惜しかった。 それにしても 観客が少なすぎ。 開催国のチームが戦っているのに、空席が目立ち過ぎて恥ずかしいです。 なでしこジャパン、 澤穂希が 突然の引退発表。 こちらも惜しいですが、年齢や状況を考えると 仕方ないでしょうか。 結婚したのだから、子供も欲しいでしょうしね。 永い間 お疲れさまでした。 これからは 自分の生活を大事にして、もっともっと 幸せになって下さい。 さて、 本当に面白い本を読んだり、立て続けに本を読んだ後では、文学的満腹感というか、しばらく別の本を手に取る気になれない期間があります。 『だれもが知ってる小さな国』 を読んだ後は まさしくそのような状況だったのですが、その後に読んだのが 事もあろうに 五十嵐貴久の 『リカ』 。いやぁ 選択を間違えました。 口直しにと思って 石田衣良の直木賞受賞作 『4TEEN』 と 続編 『6TEEN』 を読んだのですが、こちらも悪くはないけれどイマイチ。まぁ 軽く読めて 気分転換にはなりましたが・・・・・ その次に 『月と太陽』 (瀬名秀明)を読み始めたのですが、村上春樹の新刊を買ったので、途中で中断して 村上春樹を読みました。![]()
村上春樹は 『遠い太鼓』 『雨天炎天』 『辺境・近境』 『シドニー!』 など、何冊か 旅行記、紀行文集を出しているのですが、この本も その一冊です。ただ、『シドニー!』 は2001年1月なので、実に 14~15年ぶりになります。ご本人曰く、旅行記には飽きていたようですね。 この本には 10篇の紀行文が収録されていますが、JALの機内誌向けに書かれたものが多いせいか、肩ひじ張らずにあっさりと読める半面、ちょっと物足りない印象が残りました。 それでも 文章や比喩は 村上春樹そのもの。斜に構えたような 皮肉っぽい物の見方を含め、良くも悪くも 村上春樹の人となりや感じ方、考え方が率直に表れていて 面白いです。ちょっと変わっている人なんだ と感じるところもありましたが、こういう人だからこそ ああいう作品が生まれてくるんだな というのを改めて感じた作品でもありました。 最後の熊本編の中に つばめや鯉の話が出てきます。 村上春樹はヤクルト・スワローズのファンで、つばめを見るとスワローズの事を考えるのだけれど、広島ファンは 鯉をみてカープの事を考えるのだろうか という疑問を書いていますが、考えるのは 当然じゃないですかね。 少なくとも僕は 梟(置物を含む)を見る度に、コンサートなどの単語を見かける度に、コンサドーレ札幌の事を考えますもの。
2015年11月29日
二十年近い前のことだから、もうむかしといっていいかもしれない。ぼくはまだ小学校の三年生だった。 というのは 佐藤さとるの『だれも知らない小さな国』という本の書き出しです。 コロボックル物語という元祖シリーズの最初のお話ですね。 昨年春に 有川浩が そのコロボックル物語を引き継いで再開する という事が発表されました。その時もブログに書きましたが (これ)、この『だれもが知ってる小さな国』は その新シリーズの最初のお話です。 どのように展開していくのか、佐藤さとるのコロボックルの世界を壊す事にならないのか、期待しつつも心配していたのですが、予想以上の出来でした。 タイトルも 書き出しも 原作に対するオマージュですが、せいたかさんのコロボックル小国を舞台にするのではなく、舞台も時代も変える事で スムーズな移行、展開を可能にしています。 何度も こう来たか と驚きつつ、読み終えてみれば 素直に納得。コロボックル世界のやさしい世界観と雰囲気をきちんと引き継ぎながらも 新しい物語の始まりを期待させるような展開で、さすが有川浩です。 詳しい事は書けませんが、急いで読み進めるのがもったいないように感じながらも、一気に読み終えました。 多くの人に読んでもらいたいお話ではありますが、元祖のコロボックル物語を知らない人には判らない事がたくさん出て来ますので、是非 元祖のシリーズを読んだ上で読んでいただければと思います。
2015年11月26日
下町ロケットに続く第2弾、 今回は 医療用の人工心臓、人工弁の開発がテーマです。 佃製作所の面々はもちろん、引き続き 帝国重工の財前部長や 陰険な富山主任も登場します。![]()
以下、多少のネタバレがあります。
前作同様、善悪がはっきりとした 勧善懲悪の 判りやすいストーリー展開で、疲れずに すんなり読めます。 佃製作所に勝つために データの偽装をするライバル会社、ドロドロとした医学界と厚生労働省の繋がりなど、旧くて新しいテーマも加えられ、面白かったですよ。 ただ、判りやすくするために 構造をシンプルにしているだけに 物足りなさがあるのも前作同様で、特に NASA品質を売り物にしているライバルのサヤマ製作所の中身が薄っぺらで 弱すぎます。 結末は予想通りで 特別な展開はないのですが、仕事をする理由は お金だけではないという事に気付き、自らのプライドを胸に、夢に向かって誠実に頑張るエンジニアたちを ついつい応援したくなります。ソニーも ホンダも トヨタも パナソニックも、最初は そんな中小企業だったはず。 コンサドーレの選手たちが頑張ってもなかなか勝てないように、何事にも相手がありますから、現実世界では 努力しても報われない事も多い訳ですが、それだけに この小説のような 「信じて頑張り続ければ 夢は叶う」 というシンプルな夢物語も たまにはいいものです。