スポンサーリンク

2016年03月01日

『雪と珊瑚と』 梨木香歩

1456833250-IMG_20160301_202351_2.jpg



「西の魔女が死んだ」以来の 梨木香歩です。

食べる事をテーマにした小説は 「かもめ食堂」 や 「食堂かたつむり」 など たくさんありますが、これも その中の一冊です。

不幸な生い立ちの 21歳のシングルマザー(珊瑚)が、周囲の人たちに助けられて カフェをオープンするというお話で、いろいろと大変な問題や 嫌な事も起きるのですが 概ね順調に進み、現実ではこんなに上手く行くはずがない、というのは 誰もが感じるところでしょう。
ただ、基本的には 「生きる事ことは食べること」 をテーマとしたファンタジーだと思います。だからこそ シンプルなストーリーで、珊瑚の頑なな心も 優しい人たちとの出会いにより解けていき、ハッピーエンドに向かうのでしょう。一生懸命に戦い 生きる姿を見ると 応援したくなりますもの。
最後の「おいちいねぇ、ああ、ちゃーちぇねえ」という 幼い雪の言葉は秀逸です。心がホッコリと暖かくなります。



話しは変わります・・・・・・・

口から物を食べられなくなったら 死ぬ。
というのは 昔から変わらない理(ことわり)だと思うのだけれど、昨今は 胃ろうや 点滴により 人工栄養を補給し、生きながらえる事が出来ます。
生きる意志や 意欲がある人にとっては とても有り難い事ではあるのだけれど、既に意識の無い、回復の見込みのない人まで 人工的に生きさせるというのは、どんなものなのでしょうか。
僕の父も 晩年の1年半は寝たきりで、点滴のみで命を繋いでいました。意識が無くなってからも 点滴ははずされず、ただ生かされている という状態でした。
父は寝たきりになる前から もう十分生きたと言って 食べる意欲を失っていて、寝たきりになってからは 食べ物を口にすることはありませんでした。大好きだったチョコレートなら食べるかもしれない、食べさせてあげたいと思っても、誤嚥して肺炎になるかもしれないとの理由で 止められ、家族は 複雑な思いを抱えたままの介護生活でした。
父が入院していた病院に限らず、日本の老人病院には 同じような寝たきり老人が大勢入院していて、これでは医療費が増えるのも当たり前です。寝たきり老人に治療をするなとは言いませんが、そろそろ無駄な延命措置は止める勇気が必要なのではないか と思います。
少なくとも 母は そうした延命治療はしないで欲しいと言っていますし、僕や家内も そう話しています。

posted by aozora |22:53 | 本の話 | コメント(5) | トラックバック(0)

スポンサーリンク

スポンサーリンク

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.consadole.net/aozora/tb_ping/1970
この記事に対するコメント一覧
Re:『雪と珊瑚と』 梨木香歩

☆ 梨木香歩と言う名前は記憶にございません、『西の魔女が死んだ』の作品は記憶にございます。8年前に読んだ作品です。
群ようこ小説は『かもめ食堂』しか読んだことがない、昔の彼女のエッセイは私にとっては斬新に思える内容だった。最初は「グンヨウコ」と読んでいました。
小川洋子さんの作品は『博士の愛した数式』と『かたつむり食堂』のみ。
私が今年に入り読んだ本のお薦めは『七つの会議』池井戸潤作品で、『空飛ぶタイヤ』と同じテーマですが『空飛ぶタイヤ』を超えているかも知れません。
もう一つは荻原浩さんの『花のさくら通』かなCVSのヒントになるかも?

☆ 私自身の問題だとしても延命措置はNG。直葬でもOK牧場です。

☆ 交流会⇒感謝会
看板を掛け替えるのでしょうか。
感謝会だと、ご招待と感じるのは早計でしょうか?

posted by 野 風| 2016-03-03 11:08

Re:『雪と珊瑚と』 梨木香歩

「かもめ食堂」は 本よりも映画の方が良かったです。
「食堂かたつむり」は 小川 糸の作品ですよ。小川洋子は好きですが、小川 糸はこの本を最後に手にも取っていません。
「七つの会議」も面白そうですよね。
「花のさくら通」は 探して読んでみます。

僕の終活。延命措置はNG。葬儀は神道。長生きしてしまったら 葬儀は不要。墓は不要で、散骨希望。合葬墓でも可。

CVS交流会⇒感謝祭、内容はわかりませんが、招待は無理でしょうね。

posted by 青空| 2016-03-04 08:58

追伸

父は 既に認知症を発症していた 82歳で大腸がんの手術を受けたのだけれど、手術で大きく体力を損ない、入院で気力も失い、一気に認知症の症状が悪化しました。
大腸がんの手術を受けさせる事に 家族内でも賛否はあったのですが、結果を見ると 手術を受けなければ 自宅で もう少しゆっくりと晩年を過ごすことが出来たのかもしれないと思います。
それぞれの事情や症状もありますから 一概には言えませんが、僕が同じ状況となったなら、手術は受けずに 静かに過ごしたいです。

posted by 青空| 2016-03-04 09:17

Re:『雪と珊瑚と』 梨木香歩

「糸」と「洋子」さん混乱していました。老頭化ですね。

反省の意味もあり、図書館で小川糸著『ファミリーツリー』なる小説を借りてきました。1/3ほど読みましたなかなか面白いです。曲のイメージで表現すると。井上陽水の『少年時代』です。ここから先は曲名変更となりそうですが。
『雪と珊瑚と』をネット予約しました。順調にゆけば13日に熱く感想を語れるかもしれません(迷惑ですね)。

私の父は63歳で鬼籍に入りました。私にとって63歳という年は高い壁となり私の前に立ち塞がりしたまた、傍から見れば壁でも何でもないのですが。兎に角これを超えないと親不孝だと(すでに十分親不孝なのでが)。
その年齢はクリアーしましたが。
母が健在なのでこれからもですね。

posted by 野 風| 2016-03-04 19:26

Re:『雪と珊瑚と』 梨木香歩

親より先に死ぬのが 一番の親不孝。
子供は 元気に生きているだけで 親孝行をしています。
子供を持ったら 実感しますよね。
僕も 母は健在なので、もう少し長生きしないといけないようです。

posted by 青空| 2016-03-06 22:22

コメントする