コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2014年05月19日

JFAプレミアカップから見る北海道サッカーの危機(4)

 第一回目↓
  http://www.consadole.net/higuma/article/352
 第二回目↓
  http://www.consadole.net/higuma/article/353
 第三回目(前回)↓
  http://www.consadole.net/higuma/article/354


 予定通り更新された試しがありませんが4回目です(^^;;

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 「財前やめろ!」とは香ばしいセリフですね。  こーゆーことを軽~く口にしている人は「監督さえ変えればすべてが変わる。連勝街道驀進となりチームは再生する」というバラ色の夢物語を心の奥底から信じてまったく疑わない幸福な人たちなのかなとも思います。うらやましいです。ウチは西の方のカネ持ってるクラブとは違います。そもそもが「指導者も育てていく」という方針のクラブなんですから。  札幌的には過去の指導者中、J2からJ1へ昇格を果たしたのはすべてトップレベルでの監督経験がある人で(岡田、三浦、石崎)、まぁそれはそれとして、「指導者がすべてを変えられる」というのはどうなんでしょうね? お金のないクラブ=指導者の望む選手を揃えることがほぼ不可能なクラブにとって、それは恐らく幻想以外の何モノでもないのかもしれません(推定)。  育成でも同じことが言えませんかね?  今回のプレミアカップ3連敗の責任は関監督にあるんじゃないの? という声も確かに上がってはおりますし、僕も彼にまるで責任がないなどということはないと思っています。  そこで、今回はまずU-15を率いた関浩二監督の声を聞いてみることにしましょう。三角山放送局で放送した公式コメントからです。  「負けだすとみんなの雰囲気が悪くなる。下を向いて声が出ないというのが一番の問題点でしたね。もっと子供らしく元気出して声を出して、負けていても『おい!行くぞ!』というような声でチームを一つにしないといけない。守備でも組織で『右切れ』『左切れ』と、声を出して守っていかなければいけないところがバラバラになっていた。攻撃でもボールを出す人、受ける人の2人の関係ぐらいで、3人め4人め5人めという関わりが薄れていた。帰ってからの練習が大切かなと痛感しました。足りないところが多々ありました。彼らは北海道で3-0、4-0で予選を勝ってきている。でも全国では通用しない。北海道のレベルで満足していたら痛い目に合うという経験はできた。今後の練習での取り組みに生かされるのではないかなと思う。今後は夏の帯広(全国クラブユース選手権U-15)に出て、決勝トーナメントで2個3個勝っていけるようにしたい」  ICレコーダーに残っている声はこれだけ。オフレコでの本音話ではもっと具体的な点に踏み込みました。幾つか重要なポイントもあったのですが、その中のひとつをご紹介すると、「ムダ走り」がないということでしょうかね。  「ムダ走り」と言えばかつて関浩二の代名詞的なプレーでした。現役時代の関選手と言えば真冬でもユニフォームのシャツは常に半袖で、全身がカラ元気でできているような選手でした(失礼^^;;)。何度勢いよく走りだしてもボールは出てこない。たまにいいボールが出てもオフサイドに引っかかる。しかし10回徒労に終わっても11回12回とムダ走りを繰り返しているうちにビッグチャンスを迎え、最後の最後には決めて見せる。決して器用な選手ではなかった彼が行く先々のチームで重宝され、サポーターに愛された理由はここにあったなような気がします。その彼が指導する子供たちに「ムダ走り」が見られなかったのは、ユースヤクザとしては残念でしたね。ま、「声がない」も「ムダ走りがない」も、根っこは同じだと思うのですが。この話はまたの機会にしましょう。
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 さて。関監督の話を聞き、また試合を3つばかり見てみて、本当に元々口数が少ない子が集まっている静かなチームなのかもしれないな…とは理解できました。むしろそういう子ばかりを進んで集めたチームなのか…。いや、そんなはずもないだろうと思います。  Jリーグクラブの育成組織というのはトップチームに選手を供給し、チーム強化と地域密着を図るために存在する…と、これが第一義。それでも毎年多人数を昇格させられるはずなどないですから、成長期においてサッカーを通じて自己実現を図り、どの道に進んでも自立した逞しい肉体と精神の持ち主を育て上げるというのが存在意義の大きな柱として上げられると思います。オレ的には後者の方が本当に重要だと思うのですがね。そして完成された理想のサッカー選手とはどの世界でも立派に通用する社会人であり、その完成形を定義して、そこから逆算をして「U-15では…」「U-12では…」と、各年代で身に着けなければならないことを体得させ、選手とともにクラブの指導者も一体となって成長していく…。これが俗に言う「一貫指導体制」と言えると理解しています。オレ、こう見えて育成のプロではないですし、そもそもガキもいませんから(笑)。でも大筋において誤ってはいないと思います。どのクラブでも大体似たり寄ったりのことを言うでしょう(推定)。  上記の指導方針の下、札幌ユースの育成組織は「ただ目の前の試合に勝てばいい」という指導は決してしていません。中にはあるんですよ。Jリーグクラブの下部ではない独立系のいわゆる「街クラブ」には結果最優先で指導しているところも。それらは大概がスポーツクラブと言っても私企業ですし、監督やコーチも雇われ人です。「業績」は全国大会での実績ということになります。卒団した子供たちの将来など考えず、ただカネを払ってくれる親御さんたちにご満足いただけるように結果最優先の指導を図っているところもあるんですよ。残念ながら。  他のクラブの「悪い例」はともかく、札幌の場合を挙げると、一番わかりやすい例が2002年度のU-15。高円宮杯で決勝にコマを進めた札幌は鹿島に1-2で屈し全国準優勝に終わるのですが、その時のチームには他にはない強力な武器があったのです。ハーフナー・マイク(現・フィテッセ)。その頃すでにして190cmを超える長身を有していた彼にハイ・ボールを集めていけば、もっと簡単にゴールを奪え勝ち星を重ねていけたはずなのです。それを当時のU-15の森下仁之監督(現・ツエーゲン金沢監督)はやらせなかった。「選手たちが成長して、行く先々でマイクがいるわけじゃない」と、労を惜しまずボールをつなぎ、自分たちで考えて走って相手ゴールに迫るサッカーを志し、マイクの高さを使うプレーはあくまで戦術の一つ、それ以上には置いておりませんでした。そんな中から決勝の国立の大舞台で自分たちの判断で相手DFの裏に走り抜け、ループシュートを決めて見せた選手が西大伍(現・鹿島アントラーズ)でした。  話を戻します。  そんな将来を考えた指導をしてくれる「札幌ユースの選手」というだけで社会的にも一目置かれるようになった昨今、自立した大人になるために選手たちも自覚してできることが、あるいはやらねばならないことがあるのではないでしょうかね? 球を蹴ったりする日常の練習のほかに。
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 そんなことを考えながらさらに話を先に進めると、傷心で堺から横浜の自宅穴に戻った次の日、全国農業協同組合連合会(JA全農)が特別協賛する(主催は日刊スポーツでJFAは後援)「チビリンピック」の併催イベントである「小学生8人制サッカー全国大会」に行ってきました。眠かったです(苦笑)。3日、4日と出場10チームを2つのグループに分け総当たりラウンドが開催され、各組2位までが準決勝に進出します。5日は準決勝と決勝が行われる日。グループ敗退チームはフレンドリーマッチに出場します。  全国で小学生年代にあたる4種のJFA登録チームが8,500を超える昨今で参加チームがたった10、かつ北海道の予選が前年10月というJFAプレミアカップ以上に今日の全国のサッカー平均値を無視したような大会ですが、全国の指導者たちからは春休みの「ダノンネーションズカップ」、夏の「全日本少年サッカー大会」と並び、3大タイトルのひとつに数えられています(ちなみに2種=高校生年代は4,149/いずれも2012年度のJFA調べによる)。  今年で11回目となる大会で、過去札幌U-12は5回も準決勝に進出しています。2003年の初回には道協会推薦で東川下サッカースポーツ少年団から古田寛幸も出場しています。とはいえ、これも前述のスキームがありますから断じて実力通りのランキングというわけではなかったのですがね(^^;;。  この大会、初日となった3日の夕刻に、札幌U-12は超ビッグサプライズを成し遂げました。今大会、最終的に優勝したレジスタFCに土をつけたというのです! レジスタFCは埼玉県八潮市で活動する歴史の浅いクラブですが、ここ数年急激に力をつけ、一昨年はチビリンピックで優勝し、ダノンネーションズカップ世界大会では準優勝に輝いているほどです。組み合わせ抽選ではいきなり札幌の初戦に対戦することになり、「こりゃ何点取られるかな」とこちらもビクついてはいたのですが、前日大阪で相川雄介(昨年までU-12を指導)に聞いたところ「あ、勝ちましたよ」と言うので「えええええーっ!」と飛び上がるくらい大ビックリした次第。しかしその後、名古屋グランパスには勝ったもののサンフレッチェ広島とエスプリ長岡(新潟)に連敗しグループ3位となって準決勝には進めず、本日はフレンドリーマッチに出場するということになりました。  浅沼達也監督によると「ウチのシュートは2本だけ。それがうまいこと入ってくれて逃げ切った」らしく、「選手たちは相手を怖がっちゃっていたから、ひたすらクリア、クリアばかりで…」と、強豪を破って日刊スポーツにドン!と掲載された(らしい)というのに威勢のいいコメントは聞けません。ついには選手たちに「クリア禁止令」を出したとか出さなかったとか。これは「楽を憶えてはいかん」ということなのでしょう。  翌4日のグループ戦は組み合わせの関係上3試合が行われ、暑さの中疲れから足が止まった…と、札幌ユースのOBで今年からコーチを務める大地優貴くんは語っていましたが、あっさんは「暑さは関係ない」とバッサリ。「来年から全日本少年サッカーが冬開催になるでしょ。鹿児島で。日程的にウチらに有利なことは何一つないです。その時分、屋外で練習も試合もできないですから。まだ現状の夏の方がいい。暑いのさえガマンすれば実戦経験をそのまま本番にぶつけられますし」と語り、「今年の夏(少年サッカー大会)の出場は難しいかもしれません。予選の組み合わせが厳しいんです」と言っていた通り、全道大会に進む前の札幌地区予選でA、Bの両チームとも敗退してしまいました(泣)。  で、肝心の選手のセレクションなんですが…  「おとなしい子ばかりというのはそうでしょうね。ウチ(U-12)から上がっている子も少ないでしょう。広く受け入れるようにしてはいるのですが…」とのことでした。確かにU-15は大会の登録20人中、U-12からの昇格者はたった5人でした。「一貫指導体制」に風穴が空いてしまっているのでしょうか。  「チビリンピック」は各チームとも選手のご家族も多数お見えになっており、スタンドから盛んに声援も飛びます。間違ってもJクラブのような妙に組織だった応援ではなく、「○○がんばれー!」「△△負けるなー!」という声が多数。プレーする選手たちもまだ自立過程の年頃で「親離れ」「子離れ」がそれほど進んでいない様子も見えます。仕方がないといえば仕方がないのか。選手は「選手」と言ってもまだ小学生ですからね。  と、次回へのヒント的なことを書いて次回はたぶんあさって(推定)。
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 ちなみにフレンドリーマッチは兵庫FCとの対戦で双方スコアレスでした。


posted by higuma |16:56 | コメント(0) | トラックバック(0)

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