コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2014年02月16日

銀熊賞!

黒木華が最優秀女優賞獲得!

皆さん見ましたか?
住友商事さん出資の映画「小さいおうち」です。

現時点までの彼女の最高の仕事になっていると感じましたが、やりましたね(確定)。

posted by higuma |13:06 | コメント(1) | トラックバック(0)

2014年02月04日

ペコロスの母に会いに行く

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 2013年度キネマ旬報ベストテン・日本映画ベストワン
 2013年度映画芸術日本映画ベストテン&ワーストテン・ベストテン1位
 2013年度ヨコハマ映画祭第3位&監督賞
 第68回毎日映画コンクール日本映画優秀賞'
  ……等々

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 見ておいてよかった。
 監督は「時代屋の女房」「ニワトリはハダシだ」などの鬼才・森崎東監督。86歳(!)。

 昨年度、ひぐまわベストテン的な順位こそ付けておりませんが、この作品が一番ズシンと強く響くインパクトを残したものとなりました。鑑賞したのが年末、それも大阪(シネマート心斎橋=ユース応援のついで)まで行って見たものでしたから「見に来てよかった!見ておいてよかった!」となおさら感服しました。
 2回目は2月2日(日)のヨコハマ映画祭@関内ホール。別名「映画ファンのための熱いまつり」で、上位作品3つのうちの1本として上映されました。ちなみに日本アカデミー賞は単なる「映画業界内のお祭り」です。
 今回はF山雅治くんが主演男優賞を受賞してしまっており、チケットが瞬殺でソールド・アウトとなってしまいました。全席自由とあって早朝から関内ホールをぐるりと回るほど多数の観客が詰めかけ、開場時には座席争奪戦で会場が騒然とし、上映に先立ち主催者が謝罪するなど、例年にないおかしな盛り上がりとなってしまいました。ひぐまさんわ涼しい顔をしてチケットを取っていますが何か?
 F山くん登場の表彰式は1本目が終了してから行われる予定でして、騒乱の末に前列の席を占拠したFクヤマギャルの皆さんの多くはこの1本を半ば強制的に見なければいけなかったわけです。どう考えても若い人向けの映画ではありませんでしたから、果たしてちゃんと伝わるのか、どう伝わるのか不安に駆られながら首尾よく正面17列目の席(例年このあたり)を確保しました。

 映画は長崎が舞台。岡野雄一さんが自身の体験をもとに自費出版された同名マンガが原作。「ペコロス」とは小さなタマネギのこと。要するに主人公の頭髪がアレってことで(笑)。
 赤木春恵さん扮する老婆のみつえ(88歳で映画初主演となり、ギネスの世界記録に認定された)がボケ始め、バツイチの息子の岩松了さん(と、言っても還暦すぎという設定。岩松さんは長崎県出身)が母を施設に預け介護をし、その間にもボケが段々進行していく…というただ単にそれだけの内容。暗く陰鬱になってもおかしくないこの話を大胆にも基本的に喜劇に仕立て、爆笑に次ぐ爆笑の後に満場大泣きのエンディングまで持っていく森崎監督の手腕は誠に持って鮮やかでした(確定)。先のFクヤマギャルの皆さんたちからも鼻をすする音が聞こえ、主題歌である一青窈の「霞道」が終わり、「おしまい」の文字が出る前から、会場は天井が揺れるくらいの圧倒的な大拍手に包まれました。オレも10年以上ほぼ毎年この映画祭には通っておりますが、前述通り毎年3本上映されるうち一番観客が多い1本目(表彰式が終わると帰ってしまう人も多いため)にこれほどの長く熱い大喝采が来るのは「フラガール」(2006年度)以来久々のような気がします。

 みつえが幼い年頃に登場する女学生たちの美しい「早春賦」の合唱、立ち上る長崎原爆の爆煙に重なる今は亡き妹や掛けがえのない親友との思い、先立たれた夫との日々…それは「歌」となってみつえの脳裏を彩っていきます。美しい思い出だけを抱えてやがて来る旅立ちの日を静かに迎えようとしているみつえに、息子の雄一は「ボケるとも悪か事ばかりじゃなかかもしれん」と気づくのです。それは自身も最晩年に差し掛かった森崎監督の「映画とは記憶の芸術である。そして記憶は愛である」という確かな主張をスクリーンに映しているとも言えるでしょう。脚本を担当した阿久根知昭氏の「すぐに話が脱線していってしまう」(月刊「シナリオ」より)森崎監督の手綱を抑えた手腕もさすがでした。

 出演は他に若き日のみつえに原田貴和子、その夫(酒乱・笑)に加瀬亮。雄一の息子が大和田健介。他に竹中直人、その母親に佐々木すみ江、グループホームのスタッフで根岸季衣、松本若菜、直江喜一。実在する桜町の喫茶店「銅八銭」(すぐそばを通った!)のマスターに温水洋一。特別出演に宇崎竜童、“愛情”出演で貴和子の妹・原田知世が約20年ぶりの姉妹共演となっています。この2人も長崎の出身です。ちなみに岩松さんの頭はメイクです。竹中さんは(自粛)。

 撮影は一昨年の秋から冬にかけて長崎で行われました。それほどご当地映画という感じでもなかったのですが、前述通り偶然にも昨年春と一昨年冬の来訪時に撮影が行われた場所の目と鼻の先を通っておりまして(他にグラバー園や眼鏡橋など)、何か懐かしささえ感じてしまいました。ベテラン浜田毅カメラマン(近年では「おくりびと」「子ぎつねヘレン」など。ヨコハマ映画祭では撮影賞を受賞)が丁寧なカメラワークで、岡野家の家族と移りゆく長崎の色合いを切り取っています。
 また、この作品の製作委員会にはTV局などの大手資本が入っていません。地元を中心にクラウドファンディングで資金を集めて製作された本当の地方発の映画で、北海道でも函館を舞台に描かれた「海炭市叙景」で実現されております。

 比較的スタンダードなキネ旬と、ヒネクレ者ばかりが集まっている映芸のベストワンが同じってのは非常に珍しくも2年連続のことで(昨年は「かぞくのくに」)、一般人が考えている以上に森崎東監督が他方面からリスペクトを受けている巨匠であることの証と言えるでしょう。それをまったく知らないFクヤマギャルたちが大狂騒した後に監督賞受賞で登場した森崎監督の貫録たるや(自粛)。

 森崎監督と本映画の関係者の皆さん本当におめでとうございます。今年長崎を訪れたら銅八銭でトルコライスを食べようと思います(限定)。


 道内での上映予定
  1/25~ 函館シネマアイリス
  ~2/14 苫小牧シネマトーラス
  2/22~ 札幌シアターキノ

 見るべし(決定)。つべこべ言わずに見るべし(特定)。


posted by higuma |15:53 | コメント(0) | トラックバック(0)