コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2012年10月09日

「終(つい)の信託」

さすが周防正行!
今年度日本映画の代表作を競うであろう珠玉の一編!

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 先週試写会で鑑賞。
 昨年「ダンシング・チャップリン」を公開していますが、ドラマものとしては2007年の「それでもボクはやってない」以来となる周防正行監督の待望の新作。

 面倒くさいので詳細情報は公式サイトにリンク貼りますのでそっち見てくんちぇ。
 主演を託されたのは私生活では監督夫人である草刈民代。踊り抜きの純然たる女優としては映画初仕事とは思えぬ圧巻の演技で、恐らく年末年始は数多くの映画賞で主演女優賞の声がかかることでしょう(断定)。終盤のおよそ45分間、彼女演じる女医・折井綾乃と検察官・塚原(大沢たかお)との対峙シーンは、若干大沢がオーバーアクト気味であることを差し引いても手に汗握り鳥肌が立つほど緊張感が漲ります。

 周防さんが上手くてズルいのは、「それボク」でも痴漢裁判が核心に近づくにつれて一切の回想シーンを挟まなかったのと同様に、今回も検事室に物語が移行してからはまったく回想を入れず、前半部で提示された情報についてひたすら観客の記憶と鑑賞能力を試しているところです。正直に言って患者・江木(役所広司=この人も嫌になるくらい上手い!)の闘病と綾乃との交流を描いた前半部については「それ不要では?」と思える箇所も散見され、やや冗長な印象も抱いておりましたが、なんの、ここをしっかりと見ておかないと「45分」を見る価値が見い出せません(認定)。

<以下・作品の結末に触れておりますのでご注意ください>

 この物語、最終的には「検事の勝ち」になってしまい、国家権力の恐ろしさや検察による取り調べの問題点なども提起されたりします。検事・塚原が説破した通り綾乃が行った行為は医療行為を逸脱した「殺人」であり、法の下に裁かれるのは妥当であると感じますが、それとはまた別に、一人間としてもやはり綾乃は償いをしなければいけなかったのだと感じております。
 彼女はある約束を破ったのです。それが何のかは…劇場でどうぞ(予定)。

(10月27日全国公開/東京国際映画祭特別招待作品)


posted by higuma |12:29 | コメント(0) | トラックバック(0)