カレンダー

プロフィール

息子がサッカーを始めたのでサッカーを観るようになり、1997年のフロンターレ戦でコンサにはまりました。自分自身は全くの素人です。観戦はSB席。ホームゲームの半分はCVSやってます。

最新のエントリー

月別アーカイブ

リンク集

カテゴリー

コメント

検索

『沈まぬ太陽 御巣鷹山篇』  山崎豊子

2009年08月11日

20090811-00.jpg


この『沈まぬ太陽』は 国民航空(NAL、モデルは日本航空)の腐敗した内情、体質を描いた作品で、文庫では全5巻の大作です。
その第3巻となるのが この御巣鷹山編で、冒頭に 「この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基き、小説的に再構築したものである。但し御巣鷹山事故に関しては、一部のご遺族と関係者を実名にさせて戴いたことを明記します。」 と記されているとおり、真実と創作が混在した作品となっています。


日航123便墜落事故に関係した本は これまでに何冊か読んでいるのですが、この作品は 日航と遺族の関係を丹念に取材し 克明に描いています。バラバラになった遺体の中から 必死に肉親を探し、悲しみに打ちひしがれる遺族、責任回避と 自己保身に走る会社の上層部、会社の指示に反してまで 遺族の力になろうと奔走する社員。
どこまでが真実なのかはわかりませんが、あの事故をリアルタイムで知っている者としては 当時のニュースや新聞が生々しく蘇ってきて、ほぼ真実に近い内容なのだろうな と想像してしまいます。だからこそ、一部遺族や関係者は実名での登場を認めたのでしょう。


面白いという感想は 非常に不謹慎ですが、一気に読み通してしまう迫力があります。それが作者の力量によるものか、それともこの事故自体が持つ (負の)エネルギーの大きさによるものなのかといえば、後者なのでしょうけど。





「沈まぬ太陽」は 今秋、渡辺謙の主演で 映画化されます。
今までに何度も映画化の話が出たのだけど、その度につぶされたという話を聞きます。

この大作を どのように映像化するのか。
アフリカ篇がメインとなると思うのだけど、中途半端な作品にだけはして欲しくないものです。



明日、8月12日は日航123便が墜落した日です。
あの事故から 24年。
本当に 事故原因は解明されたのでしょうか。
亡くなられた 520名のご冥福を 心よりお祈りします。


post by aozora

23:22

本の話 コメント(0)

『利休にたずねよ』  山本兼一

2009年07月26日

今日、大河ドラマで利休が自害しましたね。
だからと言う訳ではありませんが、『利休にたずねよ』。
第140回 直木賞受賞作です。



20090726-00.jpg


千利休は秀吉から切腹を命じられて、70歳で命を絶った。
この作品は、何故 利休は腹を切らねばならなかったかという謎と、利休が完成させた侘び茶の中に秘められた色艶の謎に迫る歴史ミステリーです。

著者は 利休が好んだという茶器を見て その一点一点の美しさに驚き、利休=侘び寂びだけではないぞ と疑問を感じたらしい。それが この作品を書くきっかけだったという。
利休の研ぎ澄まされた感性、色艶のある世界を生み出した背景には何があったのか。

切腹の朝から始まる短編24話は、時を遡って進んで行く。
各々の短編では利休を取り巻く人たちのエピソードや心情が語られ、それにより(著者が考える)利休像が浮かび上がっていく。


こういった歴史小説の場合、作者が描く利休像がどれくらい真実に近いのかを検証する術は無く、茶道の嗜みも全く無い僕にはどこまで信じて良いのか判らないけど、千与四郎が 利宗易となり、千利休となっていく人生に ひとりの女性の存在があったという設定は 俗っぽいけど 面白い。


利休が最後まで手離さなかった緑釉の香合。
著者が描く利休は 大柄な美男子で、骨太な男、侘び寂びとは対極にある。


茶の湯を人心掌握の道具として利用する秀吉、茶道具に払うくらいなら有為の者を召し抱えよという黒田官兵衛、その外にも徳川家康、石田三成、古田織部など、様々な人物が出てくるが、それぞれの「茶の湯」観がそれぞれの人となりを表していて面白い。


誰よりも美を追求した男、利休。己の美学を貫く事で時の権力者に気に入られ、天下一の茶頭に昇りつめるが、やがてそれ故に対立し、嫌われ、追い詰められて行く。
しかし、最後まで権力に屈することなく己の美学を貫いた男の生き様が、最も美しいのかもしれない。








post by aozora

22:43

本の話 コメント(1)

『楽園』  宮部みゆき

2009年07月15日

北村薫氏、6度目の正直、おめでとうございます。
デビュー作『空飛ぶ馬』に始まり、『スキップ』『ターン』『リセット』の3部作、『街の灯』などなど、割と好きな作家です。

軽くまとまった印象の作品が多かったので、直木賞は難しいかなと思っていましたが、やっと受賞。良かったですね。
次は『鷺と雪』を買って来ます。



さて、本題。

20090713-03.jpg


さすが、宮部みゆき。
常に ある程度のレベルは維持している。
これは ミステリー?SF?強引だ、都合良すぎるなど、なんだかんだ言いながらも、結構一気に読み進め、最後は 思いがけずウルッとさせられたり、面白く読み終えました。



『模倣犯』の9年後 という設定なのだが、続編ではない。
なのに、『模倣犯』を読んでいないと 今ひとつ理解できないような 楽しめないような ストーリー展開。
先に『模倣犯』を読んでおいて 良かった。


一番の疑問は、重要な伏線と思われる 謎の行方。
えーっ!あれは どうなったの? 



書きたい事は もう少しあるのだけれど、この本は これからブラコンさん家に出張するので、詳しくは またの機会に。




post by aozora

22:14

本の話 コメント(4)

『模倣犯』  宮部みゆき 

2009年07月14日

『楽園』を 買ってきた。
『楽園』は 『模倣犯』の 9年後の話。
『模倣犯』を読まずに読んでも それなりに楽しめるのだろうけど、読んでから読んだ方が もっと楽しめるだろうと思い、今更ながら 『模倣犯』を読んだ。

『模倣犯』、あれほど売れて 映画化までされたのに、本も読んでいないし、映画も観ていない。
この本も 実は数ヶ月前に購入していたのだけど、本の厚さに負けて、なかなか手が伸びなかったのだ。


20090713-01.jpg


20090713-02.jpg




読み終えて、
勝手な思い込みだったのだけど、『模倣犯』というタイトルから 勝手に抱いていたイメージとは 随分 違ったストーリーだった。

単行本で読んだのだけど、カバーの青年は誰だろう?
ピースかヒロミなのだろうけど、どちらもイメージと違うんだよな。


愉快犯、劇場型犯罪、軽い犯人の 重い犯罪。
被害者と加害者、警察にマスコミ、様々な登場人物の様々な視点から、一つの事件を これでもか という程に 掘り下げていく。
テーマは重く、作品は長い。
しかし、登場人物の一人一人が丁寧に(時に冗長に)書き込まれており、非常に読み応えがあった。
こういう作品に面白いと言う表現はそぐわないのだろうけど、面白かった。
さすがに2~3日で と言うわけには行かなかったが、一気に読み終えた。


ラストはあっけない。
しかし、一つ一つ積み上げていくのは 根気が要って 時間が掛かる作業だけど、それを崩すのは 一瞬。
子供の積み木も、大人の信用も、三途の川原の石ころも。

蟻の一穴。
ピースの完全犯罪計画だって同じことだ。



騙す人間、
騙される人間、
騙されたがる人間、
騙されている事に気付かない人間、、、、、

人は様々だ。


さて、『楽園』を読もう。



post by aozora

21:44

本の話 コメント(1)

『おそろし』  宮部みゆき

2009年07月13日

20090713-00.jpg


ぼんくら、日暮らし、あかんべえ、孤宿の人
宮部みゆきの時代物、人情物は結構好きなのだけど、これはどうだろう.....
正直、物足りなさが残った。

副題に「三島屋変調百物語事始」とある通り、怪談というか 少々怖い話の連作短編集という形式で、ひとつひとつの話は 味わい深く 結構楽しめる。
しかし、最終話が 宮部らしくない 少々強引というか 安易なストーリー展開で、そこに不満が残って 読後感は 微妙。

5話で完結させて 1冊の本にまとめようとした所に 無理があったのでないかな。
10話でも 20話でも 良いから、もっと時間をかけて じっくりと話を展開し 収斂させても 良かったのではないだろうか。

現在、読売新聞に この続きである「三島屋変調百物語事続」を連載中。
毎年5話で一冊の本にし、20年かけて百物語を完結させるという構想があるらしい。
それなら尚のこと、、、ねぇ。



post by aozora

18:38

本の話 コメント(0)

『すばらしい新世界』  池澤夏樹

2009年06月11日

池澤夏樹の娘が TV番組に出て ずいぶん景気の良い話をしているものだから、池澤夏樹ってそんなにセレブだったっけ と思いながら買ってきた。
池澤夏樹は 「スティルライフ」と 「母なる自然のおっぱい」くらいしか読んだ事がなくて (「星の王子さま」の翻訳も読んだな)、それもずいぶん前の事だから 印象は薄くなっている。


20090611-01.jpg


今回 この本を選んだのは「風力発電」の話だったから。

以前から “個人住宅用の安価な小型風力発電機があれば良いのに” と思っていて、風力発電のような不安定な電源でも ロードヒーティングなら問題無いわけで、そうすると 吹雪の日はどんどん雪が融けるという ありがたいものが出来上がるのではないかと。
風の無い日に しんしんと降る雪には無力だけど、風のある日に融かせば良い。

1997年まで 新日本技研㈱ (コンサドーレの株主だった)という会社があり、そこが そんな風力発電機を作っていたような記憶がある。東橋のところにあったパチンコ店(屋上にライオンがいた店)の周囲で回っていた風車も この会社のものだったような記憶があるのだが(記憶だけで裏付けはなし)、この会社も この店も 今は無くなってしまった。


この小説は 
大手メーカーに勤務する技術者が、NGOで 環境問題に取り組む妻が持ち込んできた話が縁で、チベットの奥地の ナムリンという辺境の地に、灌漑用の小型風力発電機を設置するというお話。
物を作る喜び、ボランティアが抱える課題、ODAの問題、民族問題、宗教問題など、たくさんの問題が盛りだくさんに詰め込まれている。

せっかく風力発電機を設置しても 故障したときに修理できなければ無駄になる、という理由で、現地の若者に風力発電機の原理や修理方法を教える下り。
陸上自衛隊が イラク支援で設置した浄水器が 壊れて使えなくなっているというニュースを思い出した。
イラクだけでなく、世界中のあちこちで同じような問題が起きているらしいが、困ったものだ。


『すばらしい新世界』という書名。
オルダス・ハクスリーが 1932年に発表した小説と同じ。この小説は ジョージ・オーウェルの 『1984年』とともに アンチ・ユートピア小説の傑作として挙げられることが多いらしい。
『1984年』といえば 村上春樹の新刊 『1Q84』。
池澤の『すばらしき新世界』には オウム真理教が出てくるが、春樹の『1Q84』にも オウムをモデルにした新宗教が出てくる。
内容は全く異なるし、こんなのは単なる偶然でしかないのだけど、たまたま 『すばらしき~』を読んでいる途中で 『1Q84』を読んだものだから、ちょっと気になって書いてみた。


なんだか本の内容とは全く関係ない事ばかり書いたけど、池澤夏樹の文章はとても読みやすかった。理系の作家という印象。実際、そうなのだけど。
全体としては なんとなくまとまりの無い 楽観的なストーリー展開なのだけど、主人公の誠実で、ある意味潔い姿勢は 好感が持てる。
家族の温かさもあり、ほのぼのとした読後感でした。

もう何冊か 池澤作品を読んでみようと思いました。




post by aozora

00:34

本の話 コメント(2)

『1Q84』  村上春樹 

2009年06月05日

20090605-00.jpg


先ほど 読み終えました。
初期の作品の匂いがする小説でした。
個人的には 初期の作品群が好きなので、この本も楽しみながら面白く読みました。
最初は久々の村上春樹という事もあって 文章を味わいながらゆっくり読んでいたのですが、途中からぐいぐい引き込まれ、一気に読み終えました。



まだ 読んでいない人が大半でしょうから、いろいろ書きたいけど 書きません。
何を書いてもネタバレになってしまうから。





しかし、果たしてこれで完結なのでしょうか?
上下巻ではなくBOOK1とBOOK2。もしかしたらBOOK3も出るのかな、と思わせるような終わり方。
これで終わりというのもアリだけど、続きも読みたくなる。


でも、続きはそれぞれの中に・・・・・だろうな。
だって、説明しなくてはわからないということは、説明してもわからないということ だから。

あっ、これだけでもネタバレになってしまう・・・・・・もう止めます。





誰か もう読んだ人いないかなぁ。
この本について 語り合いたいものだ。





post by aozora

01:21

本の話 コメント(4)

『月へのぼったケンタロウくん』   柳美里 (ユウ ミリ)

2009年05月18日

昔、東京キッドブラザース というミュージカル劇団があった。
東由多加とか 下田逸郎といっても 今の若い人は知らないだろうけど、30数年前には NYのオフ・ブロードウェイで公演を行なうなど、一世を風靡した劇団だった。
柴田恭平や三浦浩一などは この劇団の出身。
この本を書いた柳美里もこの劇団員で、主宰者 東のパートナーだった。


柳と東の関係は 『命』 4部作に詳しいのだけど、
その関係に対しては いろいろと批判や意見があると思う。
相当普通じゃないから。

そんな 柳美里と東由多加との約束。
―― 二人で 生まれてくる子どもに 絵本を残そう。

しかし、約束を果たすことなく、東は逝ってしまった。


最愛の人を失った 深い喪失感と、二人の愛の証である 幼い息子に対する希望。
その狭間で揺れ動いた柳が やっと約束を果したのが この絵本


20090519-00.jpg


東の死後、柳がこの本を書くまでにかかった時間が 6年間。
それは柳が 東の死を受け入れることに要した時間。


最初からそういう背景を知りつつ読んでいるので、僕なりに感じるところがあったのだけど、そういう事情を知らない人が読んでも、伝わってくるものが この本にはあると思う。








「おまえのママは、いつも悲しがっている。悲しがったら、どうなると思う?ポトッポトッ、やみがしたたりおちる。ポトッポトッ、やみがふえていく。さて、どうなると思う? うちがわから、やみにとかされるんだよ」

黒い蜘蛛は お母さんの心に 巣食っている。

ケンタロウくんは 寂しい。だけど、寂しいのは ケンタロウが生まれたのと入れ替わりに 大事な人が亡くなったからではない。お母さんが いつまでもその人の事を思って 悲しがっているから。


この絵本は ケンタロウくんが生まれてから 6歳になるまでの 冒険と成長のお話し。
ケンタロウくんが おじいさんがいるという月を見上げ、健気に頑張っている姿を見て、いつかお母さんの心にも 希望の灯がともる。



コイヌマユキのイラストが優しいです。





post by aozora

23:31

本の話 コメント(2)

『鯨の哭く海』  内田康夫

2009年05月14日

TVでお馴染みの 浅見光彦シリーズです。

『○○○殺人事件』 なんて書名だったら まず 100%読まない。
でも、『鯨の哭く海』 という書名が どうやら僕のツボにはまったらしい。

20090519-01.jpg


『鯨の哭く海』、ステキな題名だと思いませんか?



店頭で見て以来 ずっと気になっていたのだけど、
内田康夫を新刊で買うのは ちょっと勿体無いので、
古本屋で見つけるまで 我慢、ガマン。


で、やっと読みました。



適度に時事ネタを取り入れた話題性。(ツッコミは浅いけど)
風光明媚な舞台設定。
個性的な登場人物。
美女が絡む愛憎劇。
次々に起こる(殺人)事件。 (殺し方はシンプル)
親切に散りばめられた伏線の山。



予想通り、良くも悪くも 2時間ドラマの原作でした。


それ以上でも それ以下でもない、というのが正直な感想です。




post by aozora

00:37

本の話 コメント(0)

『キメラの繭』   高野裕美子

2009年05月06日

20090506-00.jpg


トリぺストの異名を持つA型インフルエンザが流行の兆しを見せ始めている2009年冬。都下の生息数3万羽にも及ぶカラスが一斉に凶暴化し、人間を襲いはじめた!インフルエンザにそんな特性は、ないはずだが・・・・・。


本の帯に書かれているこんなコピーを見たら、読んでみたくなりませんか?
豚と鳥は違っているけど、なんとタイムリーなテーマなのだろう、って。
しかし、この本が出版されたのは2000年11月。
確かにそれ以前からトリインフルエンザはあったのだけど、高病原性型に突然変異したのは1999年12月、人への感染が騒がれ世界的に大流行したのはその後ですから、やはり先見の明があったのでしょう。


ウイルス研究所の助手・立科涼子は、弟の不審なアレルギー死の原因を探るうち、世界最大のバイオ企業の遺伝子組み換え作物とインフルエンザウイルスの変異との関わりを疑うが……。
〃遺伝子組み換え〃がもたらす恐怖を描く推理サスペンス!


遺伝子組み換え作物や、バイオテクノロジーは世界を、人間を救うというように言われていますが、生物に与える影響はどの程度のものなのか、実のところ 誰も 何も わかっていないのではないかと思う。
今回の新型インフルエンザにしても、最初に発生した場所も 変異した原因も 分からないという。
ならば、全く別の原因があるのかもしれない。それは・・・・・

想像したくない世界ですが、ありそうな気がしてしまうのが怖い。


現代ならではのテーマを扱い、なかなかスピード感もあって 面白く読み進められますが、いろいろ詰め込みすぎたのか、全体に突っ込みが浅く 消化不良気味。安易なストーリー展開で 妥協している部分も少なからず感じられ、その点は 残念でした。




post by aozora

23:02

本の話 コメント(0)