2008年02月21日

CONSAISM clasics #24

clasics #24です。シーズンオフの話から、ワールドカップで感じた違和感をかかえつつJ再開へと向かう気持ちを書いた今回のコラムです。


長かったような、短かったような、日本と韓国を中心にして世界を熱狂に、時には悲しみに染めたワールドカップという祭典が終わりを告げました。実際に現地で見る事ができた人も、テレビの前に毎晩かじりついていた人も、それぞれに感じるところは数多くあったのではないでしょうか。選手の見せるゴール、セーブ、ため息の出るようなスルーパス。スタジアムで感じた雰囲気。審判のジャッジ。そしてホスト国、日本と韓国の戦い、それを取り巻く国中の熱情、異常なまでの盛り上がり。
実際自分もスタジアムで、テレビの前で、街頭で、いろんなところでワールドカップの空気を肌に感じてきたつもりです。そしてどの場所に行っても、どこで見ていても感じられたのは、ワールドカップというのはサッカーだけにとどまらない、世界中の国の人々との交流であり、サッカーを中心にした全世界的なお祭り騒ぎであるということでした。

その中で自分が最も感じたのは、ワールドカップを、日本代表を取り巻く日本中の雰囲気の異様さのことです。本当に子供からお年寄りまで日本代表に関心を持ち、中田や小野や稲本を語り、みんなが青のユニフォームに身を包み、そしてひとたび勝てば渋谷で、新宿で、全国で人々が見知らぬ人とハイタッチを繰り返し、お祭り騒ぎになっていたこと。また別のところでは、ベッカムやバティストゥータといったスター選手を一目見ようと選手バスを待ちかまえ、あたかもアイドル歌手が顔を見せたかのような歓声をあげるファン(ビートルズ来日みたいだ、なんて思ったのは自分だけでしょうか)。日本人って、いつの間にこんなにサッカーが好きになったのだろう、いつの間にこんなにサッカーファンが増えたのだろうと思ってしまう盛り上がりで、なんだか嬉しいところもあるけれどそれよりも居心地の悪さというか、どことなく画一的で薄っぺらいファン感情への反発というか、そんな気持ちが渦巻いているこのごろです。
 
そう、自分が感じるのはなんだか「薄っぺらい」感じなのです。日本代表が初勝利を遂げた日、渋谷では多くの若者が狂喜して騒いでいました。韓国代表がベスト4に進出した日、新宿では韓国の若者と一緒に日本の若者も加わって騒いでいました。でも、そこには「自分の国が勝った!」という喜びではなく、「よくわからないけど騒いでおこう」という、サッカーとは全然関係のない、勝利の名を借りたただの馬鹿騒ぎにしか思えなかったのです。日頃のストレスがサッカーという代弁者によって都合良く排出されているような感じでしょうか。ワイドショーではワールドカップではなく、ベッカムの髪型、ベッカムの年収、ベッカムの奥さんと、サッカーとはとてもかけ離れたような話しかしない、それでいて「サッカーって面白いですね」なんてコメンテーターが言っているのを見ていて本当に嫌になりました。そんなピントはずれの盛り上がりを眺めて、これからの日本のサッカーがどうなるのかを考えると不安になって来ます。

おそらく、ワールドカップであることを「利用して」騒いでいる人たちや、選手の顔にしか興味のない人たちはこのままサッカーのことなんか忘れてしまってJリーグのことなど見向きもしなくなるでしょう。テレビもJリーグの事なんて、試合結果を見せてはい、終わりです。それでは次の話題・・・。それではワールドカップを自国で開催した意味などないのではないでしょうか。こうやってワールドカップを目の当たりにして、人々がもっとサッカーや、それ以外のスポーツに興味を持ってもらうこと、応援していたチームの勝利の喜びや敗北の悔しさを知ってもらうこと、サッカー(を含むスポーツすべて)が何故あれだけ人々に愛されるものなのかを感じてもらうこと、そういう人たちをたくさん増やすことで日本のスポーツがよりいっそう盛り上がることが究極の目標のはずではないのでしょうか。確かにあの日馬鹿騒ぎをしていた人のうち、幾人かはサッカーを本当の意味で好きになり、スタジアムに通うようになるのかもしれません。しかし、この盛り上がりを無駄にしないためにも一人でも多くの人たちがサッカーに興味を持ってもらうようにしなければならないのではないでしょうか。別に札幌の試合だけに来てくれ、というわけではありません。磐田でも鹿島でもいいのです。日本代表の礎を作っているのはJリーグであり、Jリーグもまた面白いものだと思ってもらえること、そのためには今まで以上にサポーターもJリーグを盛り上げなければならないと思いますし、それは札幌にも当然当てはまることです。札幌をより今まで以上に応援して、J1残留を果たすこともその一つです。

あっと言う間にJリーグは再開されます。それまでに気持ちをしっかりと切り替えてまずは神戸戦。リスタートはもうすぐそこです。
 

posted by retreat |23:11 | classics | コメント(0) | トラックバック(0)

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