コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2018年11月07日

コンサドーレの原点=地決を見に行こう!

 「地獄の」「過酷な」と称される地域リーグ決勝大会。昨年から「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」と言う華々しい名称に変わりはしたが、それらの物騒な枕詞に変わりはない。

 「過酷な」と言われる背景は主にその試合日程。前後半90分のフルマッチを3日間連続で開催(!)。90分で勝敗が決しない場合は延長戦こそさすがに行わないが、即PK戦まで行いあくまで白黒をつける。上位勝ち抜けチームは全国リーグ、かつアマチュア最高峰リーグであるJFL(注・日本フットボールリーグの略称。かつてコンサが属していた頃のJFLとは厳密な意味では異なる)への昇格権利を得るが、その数は例年わずかに2(注・年によって増減があるが、説明が面倒くさいため省略^^;;)。グループラウンドの初戦・2戦目で敗れたチームは3試合目は砂を噛むような実りのない戦いを強いられる。選手たちは…中にはプロ契約もいるが基本的にほぼ全員アマチュアだ。サッカーで生計を立てているわけではない。疲労困憊の身体で週が明けるとすぐに職場に戻らなければならない。

 たとえば2001年大会だ。埼玉県の川越会場が記録的な大雪に見舞われ、双方の関係者はおろかサポーターまでがピッチに降りて人力オンリーで除雪作業を行い、キックオフの時間が大幅に遅れた。「明日は仕事だ」とその日のうちに地元に帰らなければならないSC鳥取の選手たちのために試合時間が35分ハーフにまで短縮されたこともあった(しかも相手は北電だった。おまけに惨敗するし -_-;;)。

 今年から1次ラウンドを経た4チームで争われる決勝ラウンドのみ、試合日程に中1日づつ休養日を挟むようになった。大会を通じて試合の交代要員も「ベンチ入り7人・交代最大5人」となっている。さらにPK戦も廃止となって、90分終了時に同点の場合は双方勝ち点1の引き分けになるなど、総じてレギュレーションは改善された。それでもまだ1次ラウンドは3日間連続のガチンコ勝負なのである。

 中2日や中3日の試合が2つ3つ続く程度で「地獄だ」「過酷だ」などとほざいているどこかのJリーグクラブなど片腹痛い真の地獄がここにはある。

 そういう、やる方は「地獄」、あくまで見る方にとっては「日本一面白い」大会である地決に、今年もかつて赤黒のユニフォームに身を包んだ若人たちが挑む。


松尾雄斗(十勝スカイアース)。

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(2014年5月、Jグリーン堺で撮影)


 帯広市出身の彼は札幌U-18には2011年から2013年まで在籍した。164cmの小柄な体躯ではあるが、持ち前のスピードとゴール前の反応の良さでスタンドを沸かせたFWだ。卒業後はトップには昇格できなかったが、可能性を信じ他のJクラブのテストも数チーム受けたと聞く。結果、阪南大学に進学し今年の春に郷里に戻った。タイミングよく将来のJ入りへと本格強化するクラブに出会い、今期の北海道リーグではランキング2位の19ゴールを量産した。チームは前身の「十勝フェアスカイ」時代を含めて今年で3度目の地決出場となる。素顔の彼の近況はこちらの記事を参照されたい。

 北海道でこの大会が行われるのは…地域リーグ決勝大会の時代を含めて初めてではない…と思われるのだが、ひぐまがナマ観戦するようになってからのおよそ四半世紀は記憶にない。開催場所こそ帯広から離れた函館ではあるが、地の利を生かして決勝ラウンドへの切符を掴みたい。


中山和弥、菅原康介(ブランデュー弘前)

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(左:中山和弥くん、右:菅原康介くん。2018年7月、弘前市運動公園にて)


 東北社会人1部リーグを制し、初の地決に挑むブランデュー弘前。その不動のレギュラーに2人札幌ユース出身者がいる。

 中山くん、菅原くんとも2005年から2010年まで札幌のU-15、U-18で戦った。Jで活躍する選手で言えば三上陽輔(現・長野パルセイロ)も同期だ。彼らが札幌ユースの礎を築き上げ、直後に黄金時代を迎えた。旧Jヴィレッジでクラブユース選手権を戦った最後の世代でもある。

 中山くんは190cmの長身を生かしたハードなマークで相手FWに仕事をさせないDF。コンサのアカデミーを卒団後は仙台大学へ進み、J3入りする前のYSCCから栃木ウーヴァを経て弘前は2年目だ。
 菅原くんはボランチや攻撃的MFで貴重なゴールも決める選手。札幌大学を経ていわきFCに属したが、膝を痛めたせいで一度は現役を引退し、いわきFC・U-15チームの監督に就任した。しかしながら現役への思いは断ち切れず、昨年の春に退団し、中山くんのいる弘前に活躍の場を求めた。天皇杯でコンサドーレと対戦するほんの2ケ月前の話である。

 弘前は最初のチャンスでJFLへと勝ち抜けたい。今年は「飛び級制度」が廃止されたため地決への出場権がなかったいわきFC(現・東北社会人2部)が、来年は東北社会人1部リーグへ参戦してくるからだ。この両チームは今年の全国社会人大会の東北予選で顔を合わせ、いわきが快勝している。

 彼らが函館に集い、決勝ラウンドへの切符を競う。勝ち抜けは首位か、もしくは他のグループと比較して成績上位の最大2位チーム。合計4チームが千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムでJFLへの2枚の切符を目指す。


 他のグループの元コンサユース組も簡単に紹介しておきたい。


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(曳地裕哉くん。2018年10月20日、卜伝の郷公園で)

 グループB(岐阜県・長良川競技場)からは鈴鹿アンリミテッドの曳地裕哉くん。彼は昨年も紹介済み。相変わらずのナイスガイだ。


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(内田錬平くん。2018年9月23日。Jグリーン堺で)

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(下田康太くん。2018年10月20日、卜伝の郷公園で)

 グループC(島根県・松江市営競技場)からはおこしやす京都の内田錬平くん。内田くんは旭川U-15から旭川実業高校→金沢星稜大学で小松崎保(元札幌)監督の指導を受け、カターレ富山から移籍してきた元J戦士。今期は京都でキャプテンを務めている。
 おこしやす京都からはもう一人。下田康太くん。彼も昨年VONDS市原所属時代に紹介している。今年は足を怪我をしているそうで、出場が危ぶまれる。

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(鶴野太貴くん。2017年11月10日。栃木グリーンスタジアムで)

 クラブ存続の危機に瀕していると伝えられるサウルコス福井からは鶴野太貴くん。彼も昨年の地決で顔を合わせている。先に紹介した曳地くんとはユースの同期。

 この他にもコンサドーレや同ユースと何か関係している選手がいるかもしれない。わかる範囲で綴ってきたのだが、もしこぼれている選手がいたらコメント欄で知らせていただきたい。


 地決は全国9地域協会による第一種リーグ戦のチャンピオンたちが集まる大会だ。当然各々のリーグ戦終了後に実施されるため、過去の多くは年末年始に行われた。そのため北海道開催は希少だ。
 チーム名はどれも耳慣れないものばかりだろう。
 プログラムを買い求めページをめくると、どこかで聞いたような名前の選手たちがいる。前所属=元Jリーガーの選手たちだ。彼らの多くは現役生活晩年の輝きを求めてグラウンドを駆けている。全国高校サッカーで勇名を馳せた選手たちもいる。満員の国立競技場とは対照的に、閑散としたスタンドを背に黙々とボールを追っている。名門クラブや大学から実戦の場を求めてやってきた成長途上の子もいる。みなプロではない。プロでこそないがサッカーを愛する熱量に変わりはない。スタンドにはそんな彼らを愛するサポーターたちが陣取る。旗を振り、化粧をし、…恐竜までいる(本当=サウルコス福井のサポーター)。数こそ圧倒的に少ないが、彼らの姿もまたJリーグと何ら変わりはない。

 今週末。11月9日開幕の「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2018」。お時間のある方、千代台の近くにお住まいの方は、そんな彼らの姿を見に、ぜひ会場まで足を運んでいただきたい。くどいようだがアマチュアの試合である。だから入場は無料だ。

 そこにはコンサドーレ札幌の原点ともいえる空気が流れている。

 コンサドーレ札幌は急に強くなったわけではない。朝起きたらいきなり人気チームになっていたわけではない。きのうきょう「ACLだ!ACLだ!」と浮かれたつクラブに変貌したわけでもない。
 その時代その時代にプレーしてきた選手がいたからであり、チームを支えてくれる周囲の人たちがいたからなのである。名も顔も知らずとも、過去を築いてきた彼らにリスペクトの気持ちを忘れてはいけない。


 1977年に行われた第一回地決の準優勝チーム。

 「東芝堀川町サッカー部」

 それこそがコンサドーレの前身となったチームなのであるから。


posted by higuma |10:38 | コメント(3) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:コンサドーレの原点=地決を見に行こう!

歴史的なこともわかる詳しいレポートありがとうございました。直接、試合会場で見たことのあるのは下田選手と松尾選手ですね。コンサに在籍した曳地選手が、懐かしいです。この大会も過酷だと思いますが、同様に5日間連続トーナメントの全社の3位以上のこの大会への飛び級って無くなったんですね。いわきFCが全社の3位になったので、てっきりこの大会にでていると思ってました。東北2部リーグ南で18戦全勝、得失点差139という圧勝だったので、飛び級かなと思っていました。

posted by まさひろ| 2018-11-07 12:01

Re:コンサドーレの原点=地決を見に行こう!

コメントどうもです。今年からその「飛び級」は廃止となったのですよ。今年の詳しい参加資格は下のリンクをたどっていただくとして、資格④で今年の最優先推薦枠は北海道だったのに、道リーグ2位のノルブリッツが参加を辞退したのが残念です。そのためアルティスタ浅間にお鉢が回ってきたんですね。いわきは横浜から意外と近いですし、按田頼選手もいますから、これからもウォッチしていきます。

posted by ひぐまさん@1ヶ月フリーパス | 2018-11-07 12:22

Re:コンサドーレの原点=地決を見に行こう!

あ、こちらです↓
http://www.jfa.jp/match/regional_league_2018/about.html

posted by ひぐまさん@1ヶ月フリーパス| 2018-11-07 12:23

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