スポンサーリンク

2015年02月08日

ソバをつゆにどっぷり漬けてはいけないのか?

ソバはつゆにどっぷり漬けずに、少しだけ漬けるのが良いとされ、落語にもありますが、本当にそれが美味しいのでしょか?
それが粋だからというだけで、実際は美味しくないと、ほとんどの人は考えていると思います。

ではなぜ、どっぷり漬けるのがダメと言う考えがあるのか、それは、ソバの香りがしなくなるからとされています。
東京(というか、関東と言ったらいいか)のソバは、白くて細いソバが主流です。
ソバの実の外側を沢山削って、中心に近い部分の粉を使っているので白いのですが、そういうソバは香りが少ないのです。
外側のソバ粉も含む、黒っぽいソバなら香りが強いので、つゆにどっぷり漬けても良いのです。

もう一つ理由があります。
東京(関東)では、そばつゆが濃い目(しょっぱい)です。
北海道でも、大丸に入っている布屋太兵衛はかなり濃いですね。

だから、どっぷり漬けるとしょっぱいので、どっぷり漬けない方が良いのです。
しかも、東京(関東)のソバは細いから、表面積/体積比が高く、よりしょっぱくなりやすいのです。

先日紹介した浅草の並木藪蕎麦は、東京で一番辛い(しょっぱい)つゆだと言われています。(ということは日本一辛い?)
なので、どっぷり漬けるとしょっぱくて美味しくないと言われています。
たしか、美味しんぼで「そばつゆ」の話のとき、某有名店というのは並木藪蕎麦がモデルだったかと思います。

でも、塩分のバランスが合っているのなら、少しだけ濃いつゆに漬けるスタイルは、本当に美味しいものなのか、私は疑問です。
つゆに浸かっていない部分が多いと、ぱさついて食べにくいと思います。
ソバ全体が均一な味でなく、口のなかでしょっぱい部分と塩分の少ない部分に分かれているのもなんだかあずましくありません。
それに、だし(鰹節、または鰹節+鯖節など)が不足します。
江戸時代のソバつゆは鰹節を使わない「精進つゆ」と鰹節を使った「生臭つゆ」の2種類が存在したそうですが、やはり鰹だしがしっかり効いた方が美味しいと思います。

だから、あまり濃くないつゆにどっぷり漬けるのが一番美味しいと私は思います。

そもそも、ソバの香りって、そんなに重要でしょうか?
昔、冷蔵庫がない時代は夏場、味が落ちたソバは香りもしなかったので、ソバの良い香りは美味しいソバの証拠でもあったと思いますが、現在は季節でそれほどソバの味は変わりませんから、ソバの香りをありがたく思うこともないと思います。
香りよりも味や歯ごたえ、のどごしなど、他の要素の方が重要だと思います。
わずかな香りを重視するあまり、他の要素を犠牲にするのはトータルではマイナスだと思います。

どのくらいソバをつゆに漬けるかの適量は、そばやつゆによって変わってくるので、結局は食べてみて一番美味しいと感じる程度に調整するのが良いのです。

粋がって無理に少量にするなんてナンセンスで、特に田舎ソバでそれをやるのは愚の骨頂です。

posted by かもめ |12:56 | 料理の神髄 | コメント(5) |