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2006年02月14日

ルール改正

 「原田失格」

 今行われているトリノ五輪のスキージャンプ・ノーマルヒルに出場した日本の原田雅彦選手が失格した。
 その理由は「体重とスキー板の長さがルール違反だった」とのことだ。

 当然ルールには従うべきだし、原田選手も潔く「私個人のミスだ」と周囲を気遣うコメントを行ったことで、国内でも大事にはならなかった。

 しかし、釈然としないのはなぜか。

 このルール改正自体が選手の身体条件から来るハンディを是正するためのもののようだ。「スキーでは1cm、100gの身体条件が大きな差を生むから」というのが改正の理由のようだ。直接ジャンプ競技に関わらない一般の我々にはピンと来ない話ではある。

 ここで思い出したのがバスケットボールNBAに挑戦した田臥選手だ。
バスケットボールこそまさに身長の差が大きなハンディを生むスポーツだ。小柄な田臥選手はそのハンディに非常に苦しみながらも挑戦を続けた。
 しかし、バスケットボールはルール改正をして身長差からくるハンディを埋めることはしていない。
 スキーとバスケット。ルール改正をしたものとしないもの。
身長などの身体的条件も個人の武器として認めるか否か。

 私はバスケットボールのほうを支持したい。

 スピードスケートの清水選手の話をご存知だろうか?
スピードスケートは競技の特性上、大股のほうが有利だ。1歩の幅が非常に長いからだ。ということはつまり身長が高ければ高いほど有利なのだ。

 しかし、清水選手は非常に小柄な選手だ。
 彼が体の大きな選手に混じって世界トップレベルの実力を保っているのは彼自身の努力の賜物なのだ。歩幅を大きくするために、相撲で言う「股割り」をして足の長さを足のコンパスの角度でハンディの差を埋め、誰よりも厳しい練習で丸太のような足の筋肉を身にまとった。
 誰もが今までの常識では考えられない、常識を覆すことを清水はしてきた。
彼の努力には、今日までの結果が応えてくれている。

 世の中には私もまだ知らない、こうしたたゆまぬ努力をしている選手はたくさんいるだろう。
 「日本人に不利だ」とかそういうレベルの問題ではなく、人間という様々な・異なった要素をもった選手が、より早く・より高く・より正確に競技を行っていく。
 そこには田臥選手や清水選手のようにたくさんの人間ドラマもある。それをただ単にルールを複雑化して、競技を行う者にも、見るものにも釈然としない感情を抱かせる改正には私は反対なのだ。

 とってつけた話となってしまうようだが、サッカーはそういう意味では非常にシンプルなルールで長い歴史を戦ってきた。
 大きな改正といえば「オフサイド」の導入くらいではないだろうか?
オフサイドは競技を面白くするために生み出されたルールであり、今では自然に選手にも観客にも受け入れられている。
 願わくば、サッカーに不可解なルール改正が今後も発生しないように祈っている。


posted by ykk-i |05:40 | 私的コラム | コメント(5) | トラックバック(1)