2007年09月20日

配信サービスの抗弁

ちょっとブログ巡りをしていたところ,気になった裁判記録を見つけました。

新聞3社に賠償命令 共同通信記事で名誉棄損

裁判を起こした人のブログがあったりしますので,そちらが一番詳しいような気もしますが。

要約すると,医療ミスで患者を死なせたとして訴えられていた事件(一審では医師無罪,現在控訴審)についての記事を書いた共同通信,および共同通信のものをそのまま載せた新聞社が,医師から名誉毀損で訴えられたというものです。

共同通信の記事を載せたんだから責任は共同通信に,と思いきや,共同通信は取材を元に書いており,取材元も信用するに足るもの(警察会見など)であったことから責任を問えるものでも無し。配信を受けた新聞社は取材もせず載せただけ,しかも配信された記事とのクレジットも無し,という無責任ぶりなので賠償,ということになりました。

社会で起こることを記事にするため,すべてを取材するわけにはいかないのが現実で,実際新聞によっては,ほとんどが共同通信の配信だったりするのですが,これが誤報の時に新聞社が責任を取らなければならないわけではありません。
これが「配信サービスの抗弁」です。

ただ,この配信サービスの抗弁は,なんでも認められるわけではなく,「社会の関心と興味をひく私人の犯罪行為やスキャンダルないしこれに関連する事実を内容とする分野における報道」なんかは,信用できる通信社であろうと,事実かどうか自らが検証する必要があるとされているそうです。
今回はこれにひっかかったのでしょう。
適当に記事を書いている新聞があるというのがよく分かる判決でした。

結局のところ,ニュースソースが明らかではない記事というのは信用ならん,ということになるのですが,どうも日本ではなにかというと情報源の秘匿を振りかざし,適当な記事をばらまく傾向があるような気がします。

情報源は極力明らかにし,その上でどうしても明かせないものについてのみ,その権利を訴えていくよう,取材時から努力してもらいたいと切に思うばかりです。

取材源の秘匿については,こちらのブログが興味深かったです。

小倉秀夫の「IT法のTop Front」取材源の秘匿
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/c7422900a2746df5661e0459c6412aea

posted by cudos |11:12 | その他 | コメント(0) | トラックバック(2)

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