2007年12月13日

J2に長くいること

Ohmynewsにマジレスするのもどうかと思いますが。
J2下位チームで低迷する観客動員数

 しかし、J2下位の現状を見ると、各クラブは地元から大した人気など得ておらず、地域振興にもほとんどなっていないという現実がうかがえる。J2下位チームの選手、フロント、サポーターは、下位リーグへの降格もないから、危機感すら感じていないのではないだろうか。

だそうです。
今年の下位チームは,愛媛,草津,水戸,徳島です。この4チームの今年の1試合あたりの平均観客動員は,3,808~2,415人とこれまた下位4チームです。たしかに人気も実力も足りていないのは事実です。

上記記事では,実力に劣り人気もないチームは消えろと言いたいようですが・・・J2を語るくせに,愛媛の天皇杯での快進撃や,今年の水戸のチャレンジなんかは見てないんですかね。

ということで。

J2で人気のないチームというのはほんとに地域に密着できていないのでしょうか?
せっかくですのでデータを見てみましょう。ここでご紹介するのは1999年から2007年まででJ2にいたチームの一試合あたりの平均観客動員数です。

浦和 16,923
新潟 15,985
仙台 13,333
札幌 11,106
広島 9,000
福岡 8,610
柏 8,328
C大阪 7,261
大分 7,122
神戸 6,910
京都 6,528
東京V 6,516
川崎F 6,196
湘南 4,858
鳥栖 4,823
山形 4,563
大宮 4,477
甲府 4,463
横浜FC 4,264
草津 3,831
愛媛 3,728
徳島 3,692
FC東京 3,498
水戸 2,750

最下位は水戸。はまあおいといて(というと怒られますが)。
ブービーはFC東京です。J2にいた頃は不人気球団でした。
そしてもう少し上に行くと横浜FCに甲府なんていう,J2では最下位の常連を張っていた名前が出てきます。これらのチームも観客動員は多くありませんでした。

J2をちょっと長く見ていた人なら分かるかもしれませんが,数年前に横浜FCや甲府がJ1にあがるなんていったら笑われたこと請けあいです。さらにちょっと前に遡って,10年前に浦和がJリーグ最強の実力を持ったビッグクラブになる,なんて言ってもやはり笑われたことでしょう。

それがいまやどうでしょう?
浦和にいたっては言わずもがな,FC東京は2007年度では25,290人,J1でも3位の集客力を誇る堂々としたビッグクラブ,横浜FCだってJ1では少ない方とはいえ14000人,甲府にいたってはホームの人口から考えると驚異的とも言える13,734人を集めています。今年のJ2でいえば,1~2位クラスの集客力を持っています。

J1に上がったから,というのは結果論に過ぎません。
横浜FCや甲府のように,どんなチームでもJ1へあがってしまうのがJ2ですし,例えすぐに降格したとしても,そういった昇格争いやJ1での経験を通して,チームは一回りも二回りも大きくなっていきます。

もちろん資金力その他の関係で,地力に劣ることは仕方のないことで,来年は横浜FC,甲府ともにJ2に落ちてきてしまいましたが,だからといって昔のように不人気球団に転落することはないだろうと思います。
チームにとって昇格という成功体験は大きいですし,またJ2他球団にとっても,J2での偉大な先駆者として,いろいろな面で目標となるチームになることでしょう。

また,J2への参加チームは年々増えており,どっかの野球リーグのように,劣ったチームでも特権的に居続け,新チームの参加を阻んでいるわけでもありません。
多くのチームがひしめき合って地力を磨きながら,いろいろな面で鍛え上げられ,ある時ふと花開くように昇格し,またある時には補習を受けに帰ってくる。悲喜こもごもを含みつつ歴史が積まれていくのがJ2です。

そのためには多少実力が劣ろうとも,人気が劣ろうとも居続けることは必要です。新しく生まれて来るには,雌伏の時というものは必要になります。それをたかだか数年で摘んでしまうことは,良い結果を生みません。
競争は様々なものを最適化する面はありますが,最終的には独占的,あるいは寡占的な結果をもたらしやすいものです。

Jリーグの理念には,などと書く前に実際にその理念に従い今のJ2がどう動いているのか,またその中で各チームがどういう努力をしているのか,少しは調べてから書いてほしいものです。

ちなみに,記事には「名門サンフレッチェ」なんてでてきますが,今年のJ1での観客動員は最下位です。実力も人気もJ1では下位レベルですが,なんでサンフレッチェにだけ名門が冠に付くんでしょうね。J創設期からいるから,とか,歴史があるからとかでしょうかね。

でも歴史なら,勝った京都なんて京都紫光クラブから続く日本最古のJのチームです。歴史ならサンフレッチェに劣らない超名門です。
広島はJ2降格が2回,京都は3回の降格と,実力的にも良い勝負です。
広島は確かに名門ですが,京都も十分に名門に値する部類です。
記者のJリーグ,あるいはスポーツに対する知識がどの程度か分かりますね。

しかしあらためて並べてみると,色々なチームが落ちてはあがっていったというのがよく分かりますね。。J2は奥が深いです。

posted by cudos |16:46 | コメント(2) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:J2に長くいること

サッカーのJ2が盛り上がらないのはやはりJ1、J2を足したプロリーグの選手数が多くなって、一般人では覚えきれないようになってしまってるのでは?

それにサッカーは選手の移籍が激しく、下位チームでも将来有望と思われる選手は上位チームに移籍してしまう。。。

J2だとニュースにもほとんど取り上げられないし、まわりとの話にもでてこないし。。。
話す事が無いと、ついつい放置しがち
という事で、とあるチームがJ2に落ちて以降関心がなくなってしまった

その点アイスホッケーは国内4チーム150人程度しかいないので主な選手を覚えるのは簡単なので、最近はこっちばかり   ぉ

posted by 各務| 2007-12-14 20:49

Re:J2に長くいること

J1とJ2を一緒にして考えなくても良いと思うんですよ。
私はJ2が必ずしも盛り上がってなくてもいいと思うんです。

小さいチームには小さいなりの努力や苦労や楽しみがあるわけで、そのへんの雑多なところがJ2の魅力ってもんです。
どんな文化に多様性が必要なもんで、プロサッカーで言えばそれを創り出しているのは、紛れもなくJ2です。

移籍についてはごもっとも。
ですが、チームには実力は一線級とは言えないまでも、なぜかみんなに愛される選手がいるもんです。そういう選手は滅多なことでは移籍しないもんですよ。

問題は、そういう選手を大事にできるフロントかどうか。某福岡みたいにスパスパ首を切ってると、後で大変なことになりかねません。仙台なんかもイマイチ選手が居着きませんね。。。この辺J2ではどちらかというと金持ちチーム(だったと過去形かも)というのも示唆的ではあります。

それに、下位チームにとって、将来性豊かな若手が出てった後は、意外と温かく見守るものです。
札幌の今野、水戸のトゥーリオみたいに、名選手がまだ無名だった頃に見ていたことを自慢する、なんてのは競馬やアイドルみたいな楽しみもありますしね。

そんなこんながあるわけで、いくらOhmynewsとはいえ仮にも記者として記事を投稿するのなら、あんな思いつきみたいな記事は書くべきではないと思います。
J2で問題を抱えているのは、下位チームではなく札幌を含めた中途半端に金を持っている中堅より上のチームです。

posted by cudos| 2007-12-16 00:11

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