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2009年10月22日

坂道で

子供の頃、母の車椅子を借りて、

自宅前の小さな坂道で、よく遊んでいた。


車椅子に乗ったまま滑走する坂道は、

とてもとてもスリリング!!!で、たまらなかったけれど、


大人用の車椅子に乗って上る坂道は、

小さな子供の腕の筋肉には、けっこうキツかった。






 上っては下り、下っては上り。






そんなある時、

杖をついた、見知らぬお婆さんが、私に声をかけてきた。



 「足が悪いのかい、可哀想に・・・」



優しいその声は、かすかに震えていて。




私は突然の事で、どう返事をしていいのか、わからないまま、

気が付けば、小さく「ハイ・・・」とだけ、答えていた。





それから少し話をしたが、私は最後まで足が不自由な子供を演じ続けた。



どうしてだろう。



本当のことは言えなかった。




やがてお婆さんは、私の手をそっと握りしめ、真っ赤な目で、


 「頑張るんだよ・・・」と、言うと、



涙を隠すように、その場を去った。








 嘘を、ついた。








杖をつき、足を引きずりながら去って行く、

お婆さんの後ろ姿は、とても小さく寂しそうで。



けれど幼かった私は、そんなことなどすぐに忘れて、車椅子滑走を楽しんだ。







しばらくして、疲れた私はそろそろ家へ帰ろうと、

車椅子から降り、片付けをしている時だった。



私は強い視線を感じ、振り向いた。



するとそこには、買い物袋をさげた、さっきのお婆さんが立っていた。





・・・!!!?





お婆さんは、普通に歩いている私の姿を見て、

一瞬、何がなんだか、わからなく混乱していた。



が、やがて全てを理解したお婆さんは、何故だかちょっと笑って、

そして、とても哀しい顔をした。








坂の上と下で、


ただ見つめ合ったまま、私達はずっと動けなかった。








全てが止まって見えた。









その日から、


私は車椅子で遊ばなくなった。











・・・と、


そんな思い出話より、




 しゅんピーです!!


  岩ピーですッ!!!
   沼ピーですッ!!!
    俊ピーですッ!!!
     介ピーですッ!!!



 しゅんピーです!!!!!







試合に出られるって、


たたかえるって、



凄いことなんだってこと、



当たり前じゃないんだってこと、




忘れてしまうところだった。





おめでとう、しゅんピー。






posted by た |14:20 | ココロ | トラックバック(0)