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2008年08月27日

闘志

ある日、

切れた蛍光灯を取り替えようと、椅子に上がり手を伸ばした時、

私の中の「恐怖のスイッチ」が入ってしまった。



・・・高所恐怖症。



普段、無意識に生活している時には平気なのだが、

何かのタイミングで、スイッチが入ってしまうと、

椅子の高さでさえ、クラクラッとして気絶しそうになるのだ。



手にした替えの蛍光灯を、落としそうになりながら、

私は必死に椅子の上で、恐怖と闘った。





そうだ人生とは、闘いなのだ!!!



ワタシもガンバる。

ミンナもガンバる。


コンサもガンバる。





闘いが終わる度、現実は残酷にその色を変えていくけれど、

コンサドーレは諦めない。


鋭い視線も、突き刺す言葉も、



涙や痛みさえも、闘志に変えて、




コンサドーレは、前へ進む。





posted by た |14:12 | コンサドーレ達 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年08月13日

ダンボール

例えば、スーパーの片隅に、

無造作に置かれた、ダンボールの箱。

その前を横切ろうとして、ふと立ち止まる。


・・・ずっと忘れていたことが、胸をよぎった。





高校を卒業した私が進学の為、室蘭を離れ、札幌で一人暮らしを始めた頃、

時折、送られてきた母からの小包のダンボールの箱。


箱の中いっぱいに詰められていた、食料や衣類や薬。

そして、箱の底に忍ばせてあった封筒。

いつも、お金と手紙が入っていた。



  元気にしていますか。
  風邪なんかひいてませんか。
  ちゃんと食べてますか。
  困ったことはありませんか。

  今度、いつ帰ってこれますか。



不自由な手で書かれた手紙の文字は、弱々しく今にも消えそうだった。



こっちでも買えるから、送らなくていいと言っても、

何度も何度も送られてきたダンボールの箱。



たふん、きっと、

それは、どこの親子の間にもあった、ありふれたやりとりで。




心細い初めての一人暮らしは、いろんな試練があって、

強がる若さは、ホントは弱くて、

そんな時に届く、ダンボールの箱に、

まるで、子供みたいに泣いた、

ひとりぼっちの夜が、誰にもあって。




コンサドーレの選手にも、届いているかもしれないダンボールの箱。





・・・まったく、あの子ったら、電話ひとつ、よこさないんだから・・・


ぶつぶつブツブツと、文句を言いながら、


今日も、どこかで誰かが、箱いっぱいに詰め込んでいる。





楽しそうに、幸せそうに。





posted by た |14:00 | ボール | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年08月06日

隠してた

高校野球。

北海道の高校が負けた。


こらえきれない涙を、どんなにどんなに帽子で隠しても、

肩や背中は正直で。




・・・勝って涙、負けて涙。




私には、こういう涙の経験がない。


だから、涙のシーンを見ると、切なさと同時に、

うらやましく感じたりもする。





一緒にがんばってきた仲間と、同じ涙を共有できるということ。



そういう機会もないまま、今までの人生、過ごしてしまったなぁと、

思いかけて、気が付いた。



そんなことはなかった。


機会は何度もあった。




ただ、私が人前で絶対、泣けないだけだった。





ずっと、涙を隠していただけだった。





posted by た |16:44 | | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年08月01日

待合室

激しい雨が降った先日、

手術を終えた母が病室に戻ってきた。

大きな手術ではなかったので、会話はすぐに交わすことが出来た。


母と二人きりの病室。


母は迷うように、けれど、しっかりとした声で話しはじめた。


それは、母が結婚して間もなく、妊娠した時の話だった。

まだ若く、やりたいことや夢もあった母は、

出産への結論をすぐに出せずに、かなり悩んだという。


そして、最終結論を出す日、

母は病院の扉を開ける瞬間になっても、まだ迷っていたらしい。


病院の待合室には、ひとりの見知らぬ老婆が座っていた。

着物をきちっと着た、とても上品な老婆だった。

その老婆は、初めて会う母に突然こう言った。


・・・子供は産みなさい・・・子供は産みなさい・・・


母はその時の言葉を、耳ではなく直接、心で聞いたような気がすると言っていた。


不思議な感覚の中、気が付けば、いつのまにか老婆の姿は、待合室からいなくなっていたらしい。


迷っていた母は、まるで最初から決めていたかのように、出産という道を選んだ。



それから、



無事、出産を終え、母親になった幸福感に包まれていた最中、

母は発病し、長い長い闘病生活を迎えることになる。


母にとって生涯たった一度だけの出産になった。





何故、母が今になってこの話をしたのか、

そして、あの時の老婆がどういう存在だったのか、

それは、わからない。


でも、ただひとつ確かなのは、あの老婆がいなかったら、

今、自分がこの世にいなかったかもしれないということ。







久しぶりだった、母の入院。

医療の現場は、相変わらずの激務で、

みんなハードワークを繰り返していた。

ベッドの上の人も、それを支える人も。





人は誰も強くない。

ヒーローなんて、ホントはいない。

それでも毎日、みんな戦ってる。

自分のため、そして誰かのため。




ある者は、白衣を着て、



ある者は、赤と黒のユニフォームを着て、




また、ある者は・・・






posted by た |14:58 | ココロ | コメント(0) | トラックバック(0)