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2008年11月26日

ママレモン

遠い遠い日。

私はひとり、イタンキ浜に立っていた。


小さな左手には、祖母からもらった、ママレモンの容器。

その中に丸めて入れた手紙には、幼い文字が並んでいた。



何を書いたのかは、覚えていない。



私は全身をバネにして、ママレモンを海へ放った。


すぐに波に押し戻される容器を、拾っては放り、拾っては放り、

何度も何度も繰り返した。




誰が読むわけでもない手紙を、

あの時、私は必ず誰かに届くと信じていた。

ただ伝えたい想いがあった。





やっと波に乗り、ママレモンの容器が沖へと向かったのは、

もう、日が傾く頃。



もしかしたら、ただ容器を見失っただけなのかもしれない。

水が入って、沈んでしまっただけなのかもしれない。



でも、あの時、私は生まれて初めての達成感に包まれていた。

まるで、でっかい勲章をもらった気分だった。






あの日、

沈む夕陽の中、

水平線の、更にもっと向こうを見ていた私の目は、

きっとキラキラして、最高にいい顔をしていたと思う。













日曜日のサンピアザ。

初めて行った、パブリックビューイング。


光の広場の隣にある本屋さんで、


ずっと欲しかった、しまふく寮通信の『本』を見つけた瞬間の私の顔も、



あの日に負けないくらい、




きっと、いい顔をしていたと思う。







posted by た |14:08 | ココロ | トラックバック(0)

2008年11月20日

雪の向こうに

暖かいなぁと思っていたら、

ある日突然、冬景色になってしまう北の国。


子供の頃は、雪が積もるとテンションも上がり、

すぐさま外へ飛び出し、雪だらけになって遊んでたっけ。



・・・雪だるま、かまくら、雪合戦、ミニスキー。



まるで寒さなんて関係なかった。





母の子供時代は、竹スキーだったらしく、

急な坂道を、それはそれは華麗に滑走したと得意気に話すのだが、

イマイチ想像がつかなくて。





私は、車椅子の母しか知らない。







楽しいばかりではない、雪の季節だけれど、

寒い冬だからこそ感じる、ぬくもりがある。


 凍えた体、急ぐ家路。

 待ってる人がいても、ひとりきりでも。


あったかい場所があることは、あたりまえじゃないって、

冬はニンマリ顔で、教えてくれる。




 毎年、毎年、アリガトさん。









とは言っても、雪なんて、

ホントは降ってほしくないというのが、本音なのだが、



エジが、喜んでくれるなら、



すべてを白く染める、雪降る季節も、




そう、わるくはないのかも。








posted by た |14:11 | ボール | トラックバック(0)

2008年11月17日

見えない人

いつからだろう。

近所で、よく遭遇する人がいる。


あっちでも会い、こっちでも会う。





毎日の同じ行動パターンの中でならば、

さほど珍しいコトでもないのかもしれないが、


いつもと違う時間、違う道、違う店でも、

何度も繰り返し会ってしまう。


まるで、懐かしいトレンディドラマのようだ。






で、その人は、

いつも同じ服を着ていて、

長い長い髪に覆われた顔は、青白く無表情だった。







ある時、ふと思った。


この人はもしかしたら、私にしか見えていないのではないだろうか、と。

こっそり隠れて見ていたら、スーッと消えてしまうのではないだろうか、と。















近所の別のおじちゃんと、普通にオシャベリしてました、ハイ。








たまたま、その人がとても特徴のある人だったから、

強く印象に残り、何度も遭遇していることに気付いただけで、

ホントは、同じような出会いが、他にも繰り返されているのかもしれない。





出会いって、どこか不思議。










今年、私はコンサドーレに出会った。



だから、他のサポーターのみなさんのように、

いくつもの熱い思い出や、重ねてきた歴史もない。



みなさんのブログ等を読む度に、

もっと早くに、コンサドーレに出会いたかったと思ってしまうのだが、


たぶんきっとこれが、私のタイミングだったのでしょう。



たとえば、3年前、5年前では、

私は、コンサドーレに出会ったとしても、素通りしていたかもしれない。


何もキャッチ出来なかったかもしれない。










そして来年、


私は、J2にめぐりあう。






posted by た |14:58 | ボール | トラックバック(0)

2008年11月09日

ドームの声

浦和戦。

札幌ドーム。

お出迎えの選手達。


考え事をしながら歩いていた私は、

彼等の存在に気付くのが一瞬、遅れた。




・・・握手できなかった、ショボーン。



でも、こんな間近で会えたのは、初めてのこと。

寒さも、どっかに飛んで行きました。









ドーム内は、たくさんの人、人、人・・・

やがてピッチに現れる、両チームの選手達の姿に反応するサポーター。







このままではいけない、変わらなくてはいけない、

何かをしなくてはいけない、という思いを、

試合を静かに見守ることで、強いメッセージを伝えようと、決意した者達と、





その思いを理解しつつも、それでもなお、

今、目の前で戦っている選手のために、

今、サポーターとして出来ることをすると、決意した者達。







バラバラに見えたかもしれない。


中途半端に感じたかもしれない。




でも、私にはひとつに見えた。


結局、チームを愛する気持ちは同じなのだと。



理屈ではなかった。





不意に、

涙で、彼等の姿が見えなくなった。







いつか、


いつの日か、



胸を張って、彼等の隣に立てる時が、私にも来るのだろうか。















・・・監督。


 三浦監督。



今年からコンサドーレを応援している私にとって、



貴方は、これからもずっと特別な存在として記憶に残っていくと思います。






ありがとうございました。







posted by た |12:59 | コンサドーレ達 | トラックバック(0)

2008年11月05日

レミオもコンサも

レミオロメン、

なにげに好きだったりします。


といっても、CDも持っていなければ、コンサートにも行ったこともなく、

ちゃんと口ずさめる曲といえば、サビでいきなり、切なさMAX!!にしてくれる、

「粉雪」くらいしかないという、

レミオの彼等にとって、まったくアリガタミのないファンなのですが、


それでも、やっぱり好きだったりするわけで。



たぶんきっと、彼等の周りを包む空気とか、流れてる時間とか、

見えない色とかが、私を静かに癒してくれているのでしょう。




どこかまだ、未完成な彼等をゆっくりと、知っていけたらいいなと思っている。





コンサドーレを、ゆっくりゆっくりと知っていったように。








街も人も、

足早に、セワシナク過ぎていく現在、

ゆっくりとしか生きられない人がいる。


今の時代に、まだこんな人が残っていたのかと驚いてしまうほど、

純粋で、透明で、まっすぐな人。


私は、そんな人に出会うと胸が震えてしまう。



めったに出会えないその人は、

ある意味、不器用だったり、生きるのが下手だったりするから、

時に、いいように利用されたり、騙されたりしてしまう。


嫌味や皮肉にも気付かずに、エヘヘと頭をかいて、ニコニコして、



だけど、心の奥の深い深いところでは、やっぱり傷ついていて。




それなのに、いつだってニコニコしてる。







分刻み、秒刻み。




誰も皆、ラッシュアワーの中。




立ち止まる場所さえ、見つけられない。







どうか、どうか、


正直で屈託のない、あの優しい笑顔が、



これから先もずっと、




消えることが、ありませんように。






posted by た |14:43 | ボール | トラックバック(0)