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2006年03月16日

最近読んで泣いた本  『疾走』 重松清 著

こんなに辛くて悲しくて途中で読むのをやめたくなる本は初めて!

久しぶりに、最近読んだ小説の感想でも書きます。

重松清さんは『ビタミンF』という短編小説で直木賞をとった作家さんです。
家族や少年犯罪などをテーマにした作品が多く、飾らなくやさしい文体で
本をあまり読まない方でも非常に読みやすく、とっつき易い作家さんだと思います。
ボクは以前、本嫌いだったのですが、『ビタミンF』に出会ってから小説をよく読むようになりました。

今回読んだ『疾走』は、文庫の表紙に興味を惹かれて購入しました。彫刻でできたような男が叫んでいる絵です。本屋によく行く方なら目にしていると思います。

この小説は、一言で言えば、「一人の少年の絶望」の話です。
家庭崩壊、いじめ、孤独、暴力、殺人、セックス。
暗くどうしようもなく辛い展開が続きます。
さらに、簡単でやさしい文体のせいで、いじめや暴力の描写などが直接的で読者に逃げ場を与えてくれません。

ボクはあらすじを知らずに読み始めたこともあって、話が進むにつれて強烈な内容に思わず本から目を背けたくなる衝動に襲われました。でも、何度もそういう場面に遭遇しながらも、最後まで一気に読みきってしまいました。それだけこの物語に引き込まれてしまったわけです。

クライマックスでは涙が止まりませんでした。
絶望の中にも希望が見えた気がしました。
走って走って走って駆け抜けた物語。
シュウジはとってもやさしい少年だった。
孤独だった少年が最後に最悪の形であれ、人とつながることができたのかも知れません。

あまりオススメできませんが、是非読んでもらいたい作品です。


『疾走』は映画化されているみたいですね。
今度DVDが出たら借りてみよう。
なんとなく『リリーシュシュの全て』(岩井俊二)の世界にちょっと似ているけど、『疾走』には救いがあるのが違いかな。
『疾走』のほうが、salyu(リリーシュシュ)の歌が合いそう。


posted by gotokuji |23:19 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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