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2009年09月28日

伊坂幸太郎

人気作家ゆえ、なかなか古本屋にも出てこなかったのですが、ここにきて結構出回るようになったので、まとめて購入して 読みました。
どれも面白い。ストーリー展開がスピーディで 意外性に富んでおり、明らかにフィクションという作品もあるけれど、結構リアルに感じられる作品もあったりして、楽しめます。
「オーデュポンの祈り」を読んだ時は一瞬村上春樹が頭をよぎったけれど、それ以外の作品は村上春樹とは異質です。誰に似ているという訳でもなく、独特の世界を持っている作家だと感じました。



伊坂幸太郎と音楽

(多分、昔 カカシが言った。)
「ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。」
(オーデュポンの祈り)


デビュー作である「オーデュポンの祈り」には具体的な音楽は出てこない。
舞台となる島には 大事なものが欠けているという設定だから。
しかし、その後の作品には 様々な音楽が登場し、それぞれの作品に 印象的な小道具、アクセントとして 彩りを与えている。

代表的なところでは
「チルドレン」の ヘイ・ジュード/ビートルズ
「ラッシュライフ」では ヒア・カムズ・ザ・サン/ビートルズ
「グラスホッパー」には 風に吹かれて/ボブ・ディラン
「ゴールデンスランバー」に至っては曲の題名がそのまま本のタイトルになっている。(ゴールデン・スランバー/ビートルズ)
その他にも、様々なロックやジャズ、クラシックの楽曲が登場してくる。

伊坂幸太郎は 1971年生まれの満38歳で、僕よりも 一回り以上若いのだけど、出てくる音楽は 僕の年代か、もう少し上の年代の楽曲が多い。
特に ビートルズと ボブ・ディラン。
彼と同世代にも良い楽曲がたくさんあると思うのだけど、何故なのだろう。世代を問わずに愛され、これからも長く残るであろう楽曲にこだわったのだろうか。
でも、クラッシュやラモーンズなんかも出てくるところを見ると、そうでもないのかな。


音楽を聴くと、その音楽を よく聴いていた頃を 思い出すというけれど、これらの曲を聴くと、作中で それが登場した場面を 思い出す。
♪ It's All Right.......
なんて効果的なのだろう、と 改めて感心してしまう。


死神はこう言う。
「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ。」
(死神の精度)




伊坂幸太郎と映画

伊坂作品と映画の関係もよく言われる。
伊坂幸太郎は映画が好きで、ジャン=リュック・ゴダールを尊敬しているらしい。作品の中で登場人物に映画や監督を語らせたり、映画がモチーフとして取り上げられる事も少なくない。

逆に、伊坂作品が 映画化されることも 多い。
現在まで 単行本として発表された16作品のうち 7作品が映画化(公開予定含む)され、1作品が wowowでテレビドラマ化されているけど、これは 相当の確率じゃないのかな。

もちろん 第一の理由は 伊坂作品が連続してヒットしている という事だろうけど、作品のテーマが現代的で 一般に受け入れられやすい事、映像が目に浮かぶような文章、作品の持つスピード感というかドライブ感が 映像化を刺激するという事もあるだろう。

しかし、
残念ながら 映画化されてヒットした作品は 今のところ無い。少なくとも 僕は予告編以外は まだ一作品も観ていない。
独特の雰囲気を持った世界観や 様々な仕掛けを、2時間前後の映像の中に詰め込むのは 難しいのだろう。小説では可能なトリックも 映像では不可能なケースもあるし。いずれにしても ストーリー展開を映像化することは出来ても、そこに漂う味わいを映像化する事は至難の業なのだろうと思う。


ところで、
伊坂作品では 別の作品のキャラクターが脇役で登場したり、別の作品の事件がエピソードとして使われたりする事が 度々あり、多くの作品が 微妙にリンクしている。
映画化される時も この辺の遊び心を踏襲してくれると嬉しいのだけど、なかなかそうは行かないのだろうな。
同じ配役で登場させてくれないと、直ぐにはピンと来ないだろうし、そうなると 著作権だとか何だとか いろいろ面倒な事が たくさん発生するのだろうな。



【作品一覧】

※オーデュポンの祈り (2000/12)
※ラッシュライフ (2002/7)(2009/6公開)
 陽気なギャングが地球を回す (2003/1)(2006/5公開)
※重力ピエロ (2003/4)(2009/5公開)
※アヒルと鴨のコインロッカー (2003/11)(2007/6公開)
※チルドレン (2004/5)(2006/6wowow)
※グラスホッパー (2004/7)
※死神の精度 (2005/6)(2008/3公開)
※魔王 (2005/10)
 砂漠 (2005/12)
※週末のフール (2006/3)
 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006/5)
 フィッシュストーリー (2007/1)(2009/3公開)
※ゴールデンスランバー (2007/11)(2010公開予定)
 モダンタイムス(2008/10)
 あるキング(2009/8)


※は読んだ作品、1つ目のカッコ内は発行日、2つ目は映画公開日

posted by aozora |21:17 | 本の話 | コメント(4) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:伊坂幸太郎

…じ、実は…お借りしている本、宮部みゆき以外はまだ読んでないんです…(小声で告白)。
「ゴールデンスランバー」を次に読もうと思っていて、思っているままなのです(さらに小声で…)。
でも、そっか!!!「陽気なギャングが~」の人なんですねっ! 「アヒルと鴨~」の人なんですねっ!
俄然、興味が沸いてきました。今日、読み始められるかもっ(チカラを込めて言ってみる)。

あぁ…本当に…読書力が沸いてこなくて、ごめんなさい。
これから頑張ります。

posted by ブラコン2号| 2009-09-29 08:43

Re:伊坂幸太郎

>ブラコンさん 
あの本は返していただかなくてもOKです。気が向いた時にゆっくり読んで下さい。
というより、何を貸したのか 既に覚えていません。

posted by 青空| 2009-09-29 21:32

借りた3冊は…

宮部みゆき「おそろし」
伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
恩田陸「いのちのパレード」
です。

…返さなくてもいいんですか? 本当に?

posted by ブラコン2号| 2009-09-30 10:22

Re:伊坂幸太郎

>ブラコンさん
僕も家内も読んだので、本当に返却不要です。
誰かに回してもらっても OKですよ。

posted by 青空| 2009-09-30 12:30

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